「ゾーンに入る」ー刺し子の世界ー

刺し子というものをご存じでしょうか。
その昔、厳しい寒さをしのぐために防寒や補強として衣服などに刺繍をしたことが始まりと言われています。

お母さんが家族が寒さで凍えないように、一針一針愛情をこめて刺していたのかも知れません。または戦争に行く子供が何とか無事に帰ってこれますようにと、そんな切実な思いがあったのかも知れません。

模様はたくさんありますが、それぞれ意味が込められています。
麻の葉ーまっすぐ丈夫に育つように
矢羽根(やばね)ー弓矢のような模様で、魔を払う意味
七宝つなぎー無限の連鎖、平和や円満 
など他にもたくさん……

模様はこんな生活に根差したものですが、どこか宇宙を感じられるような不思議な感じです。
宇宙に由来のある幾何学模様とどこか似ているのでそんな感じを受けるのかもしれません。

神秘的な幾何学模様フラワーオブライフ、様々な情報が詰まっているとも言われていますね。

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現代の刺し子は実用的な意味は薄れ、飾りとしての模様を創作します。
主にふきんや小物など、色とりどりの糸で模様を浮き上がらせ、その連続した幾何学模様を楽しみます。

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私は二年ほど前から初めたのですが、毎日4~5時間は縫っていました。
当時、瞑想の習慣はなかったのですが、この縫い物をしていると瞑想をしているような感じて、完全に時間の感覚がなくなり黙々と、ただひたすらどこまでも縫い続けることができます。
単純な縫い方の繰り返しで、頭を使わなくてもいいからかも知れません。

長時間になると体も凝ってくると思うのですが、その感覚はなくてただ頭はスッキリとして、何かとても気持ちの良さを感じていました。

よく「ゾーンに入る」という言葉を聞いたりしますが、そんな感じなのではないでしょうか。
スポーツ選手など感覚が研ぎ澄まされて、周りの音が聞こえなくなったり、時間の感覚がなくなりスローモーションに見えたりする状態と聞きますが、こんな縫い物でもそのようなプチ体験ができるようです。

私は元々、ついネガティブな方向に引っ張られる性格なのですが、チクチク縫い続けて数年経ち、今では起こる出来事をあまり深刻にとらえず軽く受け流すことができるようになってきました。
これも「縫いもの瞑想?」の効果が多少は関係しているのかも知れませんよね。(笑)

そんな心の癒しと、実用性を兼ねた刺し子の魅力を多くの人に知ってもらいたいな。
ますます世の中が複雑になり心もそこにとらわれがちですが、心を静める一つの方法として良い趣味になるのではと思います。

ぜひ手芸や縫い物が好きな方は体験してみてください。


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