子どもが食事に集中しない、とお困りのお母さんへ
「子どもが食事中しゃべってばっかりで、ぜんぜん集中しない」
とか
「食べることに興味がなくて、すごく時間がかかる」
など、
お子さんの食事のことで困っているお母さんが多いので、何かのヒントになれば・・・と思って書きます。
食べることに集中する、の意味
お恥ずかしながら、わたしが「食べることに集中」できるようになってきたのはわりと最近の話です。
以前は、家で一人で食事するとなると、なんとなく暇つぶし的にYoutubeを流したり、ときにはスマホ片手に食事することが多かったです(テレビはもっていない)。
からだの師匠(食べるの大好き)が「リラックスして食べるのが大事なんですよ~」っていつも言っていて、そうですよね、分かってますよ、大事ですよね、って、分かった気になっていました。
(食事のときは、交感神経優位の状態から副交感神経優位に切り替わる必要があります。副交感神経のスイッチが入ることで、内臓が食物を受け取る準備ができる。)
でもわたし、師匠の言っていた「リラックス」の意味を本当には理解できていなかった。
座ってのんびり食べてたらリラックスしてるくらいに思ってたんですね(恥)。でもスマホやYoutube で「情報」を得ようとしながら食事しているときって、左脳フル回転、思考ぐるぐる、からだはとてもリラックスなんてできていなかったんです。
食事しながら何かほかのことをやるって、からだが栄養を得ようとする行為と、脳が情報を得ようとする行為を同時進行でやってるってことですよね。
副交感神経のスイッチいれて消化吸収のプロセスを進めたいのに、脳は情報が欲しい、刺激が欲しいとコントロールを手放せなくて、どっちつかずの状態。
やっかいなことに、こういう状態は長く慣れ親しんでいるとそれが普通になってしまっているので、自分で自覚ができません。
わたしもそうで、でも食事以外のところで思考が静かになる体験を繰り返して、ようやく食事中の自分の神経系の状態に気が付くようになりました。
で、ある日、食事中に流れてくる音を「うるさい」って感じたんです。
頭は知りたがっているし聞きたがっているんだけど、からだが「うるさい!やめてくれ!」って拒否している。
で、「そうか、うるさいのか」と音を止めて、改めて食べだしたとき、
「リラックスして食べるって、こういうことだったのか!!!!!!」
と目からウロコが落ちたのです。
わたしはこの時まで、生まれてこのかた本当にリラックスして食事をしたことがなかった。食事に集中したことがなかった。
ほんとうにほんとうに、衝撃でした。
「ながら食い」育ち
家族全員テレビを見ながら食事していた子供時代。「意識を食べ物以外に向けながら食べる」のが普通のこととして育ってきました。
実家を出て一人暮らしするようになってからも、それは当たり前の習慣として続いていました。
会社員時代、パソコンの前で仕事しながら食べる、なんていうのも当たり前だったし、スマホが手に入ってからは、自然とスマホ見ながら食べるようになっていました。
いろんなことをやって、思考から抜け出す時間が少しずつ増えてきて初めて、自分が食べるときも頭はフル回転だったことに気付きました。
そして、音を消してみて、ほんとうに目の前の食べ物に向かい合ったとき、今までなんて雑な食べ方をしてたんだろうかと愕然としました。
目は、脳は、外のテレビやスマホに持っていかれたまま、または思考に囚われたまま、ただ咀嚼して嚥下する行為を繰り返しているだけ。
食べ物を見ていない、感じていない、味わっていない。
なんということだ!!!!
いままでどれだけ多くの食べ物を、なんの感慨もなく消化器のパイプを通過させていたのだろう。
なんということだ!!!!
それに気付くのに40年以上かかったなんて。
それ以来、わたしは今もまだ「味わうこと」の練習中です。
子どもは親のマネをする
で、子どもの食事の話にもどりましょう。
結局何が伝えたかったかというと、大人でも食事に集中するのってけっこう難しいよね、ってことです。
子どもは親に言われたことじゃなくて、親がやってることをマネします。
親が「食事を味わう」ってどういうことか、言葉だけでなく行動で、日々目の前で実践していなかったら、子どもは食事を味わうことがどういうことか知ることはできません。
子どもに早く食べさせることや、そのあとやらなきゃいけないことで頭がいっぱいの状態で食卓についていることはありませんか?
食べてはいるけど、上の空。それが子どもに伝わって、集中できなくなっている・・・としたら?
まずは自分が「味わう」
ここまで読んで、もしなるほどと思うところがあったなら、まずはひとりのときに、味わうことに集中する時間をつくってみてください。
テレビを消して、スマホも遠くにおいて。
食べるものをちゃんと見て、わたしはこれを食べるんだな、と認識して、口に運ぶ。そして、味わう、味わう・・・と心の中で唱えながらいただいてみてください。
やってみると、食事に集中し続けるのが、いかに難しいかに気付くと思います。
スマホを手に取りたくなっちゃったり、次から次に思考がわいてきたり、さっさと詰め込んで終わりにしたくなっちゃったり。
もしそんな衝動を感じたら、「何をそんなにあわてているのかな?」「いま目の前にある食事よりも何を自分は優先しようとしているのかな?」って自分に聞いてみてください。
ますは最初の5分、10分だけでもかまいません。
集中することの難しさを実感したら、食事に集中しない子どもに対する気持ちも変わってくるかもしれません。
一人の時間で「味わう」ことに慣れてきたら、子どもとの食事のときにもやってみてください。これも最初の5分だけでもいいから、一緒にいただきますをして、「美味しいな」「食べ物があってありがたいな」「一緒に食べる家族がいて嬉しいな」そんな気持ちで味わってみてください。
ゴールを、「早く食べ終わる」ことに設定しないでください。大切なのは、少しでもいいから「味わう時間」を共有することです。
何かが変わるかもしれないし、何も変わらないかもしれない。
でも何も変わらなかったとしても、自分自身が味わうことを楽しめるように、喜べるようになったらいいや。
そのくらいの気持ちでね、ぜひやってみてください。
大切に味わうということもまた、自分を大切にすること。
わたしも味わうリハビリ、続けていきます。