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タロット解説③ 11・力〜21・世界

前回の続きでタロットカードの大アルカナ解説です。
0〜10までは前回の記事をご覧下さい。
引き続き、カードは左:ライダー版、右:マルセイユ版です。

【11 力/力の女神】【正義/裁判の女神】

11 strength 力

マルセイユ版とライダー版では8と11が入れ替わっています。
マルセイユ版の方が古い体系なので、引き続きマルセイユ版に重きを置きつつ読んでいきます。
11は数字が二桁になってから2番目の数なので2の性質を根底に持っています。1+1=2でもあります。
1〜10でいったん物語が完成し、ここからは逆向きに進んでいく形になります。1〜10の物語とは、宇宙からやってきた魂が地上に固定されるという流れでした。11〜20では逆に、地上のものが宇宙に帰っていく、上昇の流れになります。
1では魔術師の男が物語をスタートさせましたが、11では女性がスタートになっています。1〜10が物質的な方向への進み方だったのに対し、11〜20が精神的な方向へ向かうことと対応しています。
絵柄では女性がライオンを手なづけています。現実的なパワーや筋力では女性はライオンに勝てないでしょう。これは女性が精神的な力を発揮していることを暗示しています。

【12 吊るされた男】

12 the hanged man 吊るされた男

12は1+2で3の性質を持ちます。3は創造性ですが、これが一桁数字の時とは逆に働きます。
つまり自分の内側だけで創造性が働き、外から見ると何も生産活動はしていないように見えます。吊られた男は吊るされているだけで、何も活動はしていないように見えますね。
2では女教皇が書物を読み、そこに書かれたルールに忠実に従っていました。しかし、吊られた男は外から与えられるのではなく、自分の中からだけで何かを生み出せるのです。
吊られた男に身体の自由はありません。身体を不自由にすることで、逆に知性や心は活発化します。今まで得てきた富や名声など物質的なものは消えていきます。
瞑想中の修行僧や、引きこもって孤立した人などを連想させます。

【13 死神】

13 death 死神 

12はカレンダーや占星術などの体系でよく出てくる数字で、強い安定感があります。13はその安定を終わらせる数字です。13を不吉な数字とする文化圏もありますが、この特徴からきているのかもしれません。
ですが不吉とは限りません。何かを終わらせなくては次にはいけませんから、始まったものは終わらせなくてはいけません。
絵柄はまがまがしい死神です。死は悪いことのように思われていますが、死は次の再生へとつながります。
何かがうまくいっている間は新しい展開は望めません。誰でも物事がうまくいくことを望みますし、うまくいったらそれが続くことを望みます。ですがそれは見方を変えれば、全てが予定調和とも言えます。
死は強力なスイッチです。死があるからこそ生が輝きます。

【14 節制】

14 temperance 節制

14は1+4で5の性質があります。5と言えば遊びや子供などの意味があります。
絵柄では羽の生えた天使が液体を器に移し替えています。11以降はもう物質的世界は離れていく物語ですから、節制とは物理的な禁欲などを示すのではなく、その人の本質に関係のないことには手を出さないという精神的態度のことになります。
あくまで自分の目的に沿って、淡々と、水を器に移し替えるように繰り返すことで良いものが醸成されていきます。

【15 悪魔】

15 the devil 悪魔

悪魔というと何か人にとんでもない危害を加える存在に思えるが、実のところ悪魔というのは人間の内にある欲望を煽ることで力を持ちます。殴ったり痛い目に合わせてくるわけではありません。むしろ快楽を与え、気持ち良くすることで人を縛りつけるのが悪魔のやり方です。
絵柄を見ると、つながれた二人の首の鎖は緩く、逃げることは可能です。それでもその場に居残るのは、快楽に飼い慣らされているからです。
全ての物事やカードには良い面と悪い面があることを考えると、快楽に流されるのは悪い面。逆にうまく使うには、自分の本質を主体的に押し出し、説明し、納得させることとなります。
変化や刺激は他者が与えてくれるものだと思っていると、結局は他者依存になり、支配されます。

【16 塔】

16 the tower 塔

通説では全カードの中でも最も強烈なマイナスの意味に捉えられていますが、これも捉え方を変えると意味が変わってきます。
この段階では、通常では壊せないような固いものをも壊せます。人は安定を望むものですが、壊して1からやり直すことが必要なこともあります。
11以降のストーリーで言えば、固い自我の殻を壊すという意味でもあります。固くて安定したものほど、強い衝撃を与えなければ壊せません。
壊れてみれば、それで解放された、自由になれたということはよくあります。何がなんでも維持したい人からすればこの塔の作用は恐怖でしょうが、破壊は必要なのです。

【17 星】

17 the stars 星

16で固い殻を破った後には裸の女性が出てきます。これはもう防御する必要がなくなってオープンになっている状態です。
富、名声、家、社会的立場、強い自我を彼女は持っていません。守るものが何もないからこそ、星の光や水の恵みが豊かに受け取ることができます。
星は夢や憧れなどの象徴でもあります。女性が水を汲んできては大地に流すという作業は節制の時と似ています。自分の本質に立ち返り、抱いた夢を実現するために、水を注ぐという地道な行為を繰り返す必要があります。

【18 月】

18 the moon 月

17で大地に水を注ぎ続けた結果、ザリガニが上がってきました。犬が吠えていますが、これは愚者でも登場したように、警告を表します。
固くて安全だったものを塔で壊し、いろんなものをオープンに取り入れたことで、予期せぬ侵入者が入ってきたことをザリガニが表しています。
ザリガニは人間以下の低次の存在として描かれています。野生的、本能的なものの象徴です。
月が出ていることは眠りの暗示でもあり、ボヤッとしたイメージの世界で模索が続きます。

【19 太陽】

19 the sun 太陽

マルセイユ版では2人の子供が描かれています。1〜10で物質世界に根を下ろした存在と、11以降精神性を高めてきた存在をそれぞれ表していると考えられます。
その二つがここに至り、太陽のもとで邂逅します。
地上の自分と、神話的な自分を融合させることは難しく、残念ながら現代人はほぼこのレベルには到達できていません。
真反対だったものがここで融合されます。

【20 審判】

20 judgement 審判

19では物質と精神、下降と上昇という相反するものが統合されました。
20では過去や未来という時間概念が溶けてなくなります。
絵柄を見ると、過去に死んだ人が現在に蘇ります。
要らない、悪いといって捨ててきたはずの過去は、ここで光を浴びます。

【21 世界】

21 the world 世界

1から続いてきた物語がここで完成します。
絵柄では楕円の輪っかが描かれており、これは完成された円を表します。これ以上付け足すことは何もありません。
四隅を取り巻く獣は4元素の象徴です。
真ん中にいる人物の股には布がかぶさっていますが、両性具有だと言われています。4元素を全て統合した人物なのです。


これで22枚全て解説が終わりました。
いかがでしたか?
書いてて特に後半の11〜21は説明が難しかったです。
全てのカードを体感的に理解することで、一人一人の偏りを良い意味で補正し、自己成長につながると思います。

タロット占いも開設したので興味ある方はお気軽にどうぞ。

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