キャッツのミュージカル知らない人が映画「キャッツ」を見たらうなされた話
映画のミュージカルは好きなんですが、リアルのミュージカルってほとんど見たことないんですよ。「演劇が苦手」(舞台の上で人間がずっと絶叫してるから)というのが大きな理由だと思うんですが。
NYのブロードウェイで、映画では何十回も見た「シカゴ」を見たんですよ。
でも途中で飽きて帰ってきたからね。
映画はすごい最高なんだよ〜〜ボブ・マーシャル監督、振り付けの神と言われるボブ・フォッシー神による振り付けでさ、おしゃれでセクシーでさ、超かっこいい女しかでてこなくてさ、神曲しかなくてさ、まあこれ見てよ、見ればわかるよ。これは刑務所に収監された犯罪者たちが、なんで収監されることになったのかをとってもスタイリッシュに説明するシーンだね。うーんかっこよすぎる
ブロードウェイで
シカゴを見て
途中で帰る女
そうです、私はそういう女です。
多分生の人間に興味がないんだと思います。
そんな私が映画「キャッツ」を見に行きました。
そしたら、開始3分で映画館に来たことを後悔し、後悔したまま2時間苦痛とともに過ごし、見終わったあとは宣伝などで流れてくるビジュアルを見るだけであの苦痛が蘇り、本当に夢でうなされそうになりました。
原作となるのは、1981年にロンドンで初演されて以来、観客動員数は世界累計8100万人に達し、日本公演も通算1万回を記録する大人気ミュージカル。
「レ・ミゼラブル」「英国王のスピーチ」のトム・フーパーが監督!
スティーブン・スピルバーグが製作総指揮!
英国ロイヤルバレエ団プリンシパルのフランチェスカ・ヘイワードが主演!
ジェニファー・ハドソン!!
テイラー・スウィフト!!
ジュディ・デンチ!!
イアン・マッケラン!!
という豪華キャストが共演!!
この、
何をどうやってもコケようがないメンツで、
なぜこんな地獄が生まれてしまったのか
今日はそれを考えて行きたいと思います。
映画を見た批評家たちのコメント
「死霊の盆踊り」より低い。すごい
トム・フーパー監督は2012年に「レ・ミゼラブル」という素晴らしいミュージカル映画を作っています。アン・ハサウェイのこの曲、泣かなかった人はいないでしょう。いやあ素晴らしかったですねえ。
この「民衆の歌」のシーンも覚えておいでの方、多いのではないでしょうか。群衆シーンも上手なんだな!ソロだけじゃなく!
それがどうしてこんなことに、、
人間と猫の悪いところをくっきりと合わせた地獄のような見た目になっているのか本当にわからない
これが英国ロイヤルバレエ団プリンシパルのフランチェスカ・ヘイワードさんだそうなのだが、「子猫」という設定らしく体に凸凹がなさすぎて怖い
人間の骨格に、毛が生えているので本当に見た目が不気味なのだ。頭蓋骨にそのまま毛を生やした感じ
しかも顔がなんか中心からズレてない?
その違和感がボディーブローのようにすごい効いてくるんだよ。今でも広告を見るとビク!!!ってなる。
で、フランチェスカさんはプリンシパルなので仕草が基本バレエの動きなのよね。つま先立ちでトトト...って移動するみたいなやつ。立つときもつま先立ち。
それが「めちゃくちゃ違和感ある」
んですよね。
見た目がキモい上に動きもキモい。
もう画面で見るところがない
で、見た目については「猫っぽい陰影をつけて獣っぽさを増すだけでキモさが減る」という指摘がありました。たしかに。右はあんまキモくないですね。
キャッツのCGの適当さは定評があり、手だけ人間とか
縮尺がめちゃくちゃでイマジナリーラインがどこにあるのかわからないとか
そもそも這って移動するのか、二本足で移動するのかだけでも統一してほしい、わけがわからないから
這うの?!
歩くの?!
どっちなの?!
という、
1.最初に見た目の気持ち悪さで具合が悪くなって
2.イマジナリーラインの設定がわからないところで脳が混乱したところで
映画が始まるのですが、そうすると猫人間がわんさか出てきて
「ジェリクル・キャッツ」というものについての歌を延々歌うんですよね。でも、「ジェリクル」という意味を説明されないので意味がまったくわからないんです。
そもそも「キャッツ」はT.S.エリオットが書いた「猫紹介の絵本」みたいなのが原作なので、特に話に意味はないらしいです。
・気持ち悪い生物が
・不自然な縮尺と動きで
・知らない歌を
・あるんだかないんだかわからないストーリーに合わせて歌う
いやでも知ってる歌ならそのシーンは楽しいのかっていうとそうでもないんですよ、、画面が苦痛すぎて、、
せめてもっと毛が多ければ
せめてもっとメイクとかしてたら
せめてもっと縮尺がちゃんとしてれば
せめてもっと...
そういう
「惜しい」
が塊になった結果
2時間の地獄体験
が生まれました。
本当に本当に長かった。
ちなみに、キャッツは大学院で猫を研究している編集者の服部円さんと行ったんですが
服部円さんは、
・そもそも猫は群れないのでミュージカルなんかやらない
というコメントのあと、
・私は劇団四季のミュージカルも見たが、映画はミュージカルに比べてかなり劣った。生態を研究しているしてないのレベルではなく、特に悪かったのがしっぽの演出。劇団四季ではしっぽを振り周したりしてダンスの演出に取り入れているが、映画ではデタラメに動かしている。
猫は機嫌が良いときにしっぽを上げる習性があるのだが、映画「キャッツ」では機嫌が良かろうが悪かろうがしっぽがあがってて、あれは「猫はしっぽが立ってるほうがかわいい」という適当な偏見に基づいているものだろうから特に許せなかった
ということで、猫好きにもささらなかったようです。ということで私の結論は
人間にも猫にも失礼な映画
です。
犬でこれをやっていたら愛犬家から本気で怒られたと思う。猫だったからこそなんとなく許されているだけじゃないんでしょうか。ネコ好きの心の広さに胸打たれる思いです。(当方犬好き)
2020年のラジー賞では、堂々9部門ノミネートの本作。ある意味すごい。
なんだモッコリって...
「死霊の盆踊り」を超える低評価の本作、伝説として劇場で見ておくのも後々孫とかに語れていいかもしれません。
ちなみに私が大好きなドラマ「Unbreakable Kimmy Schmidt」では、「キャッツなんかどうせテキトーにステージで歌をでっち上げてるはず、だから客席からキャッツの扮装して紛れこめば舞台に出れる」と考えた売れない役者・テイラーが見事大成功という回があります。
でもいい映画もあるからさ、みんなミュージカル映画のこと嫌いにならないでね。下記はおすすめです。
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