ラーメン三銃士を連れてきたよ。絶対に成功する映画のはずだったアニメ「バブル」
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ラーメン三銃士を連れてきたよ。絶対に成功する映画のはずだったアニメ「バブル」

akiko_saito

散々Twitterなどで議論されているアニメ「バブル」を見た。「バブル」は絶対に成功するという前提で作られている映画だった。

「ヒカルの碁」「DEATH NOTE」を手掛けた漫画家の小畑健がキャラクターデザインを担当。脚本は「魔法少女まどか☆マギカ」の虚淵玄。監督は「進撃の巨人」「甲鉄城のカバネリ」の荒木哲郎、音楽は「プロメア」の澤野弘之。アニメーションは「王様ランキング」「Vampire in the Garden」のWIT STUDIO。OP主題歌は呪術廻戦の《Eve》!!

声も豪華!主演は『HiGH&LOW THE WORST』の志尊淳、広瀬アリスが助演。ヒロインはTikTok歌い手のりりあ。その他に宮野真守・梶裕貴・畠中祐ら豪華声優陣が出演。

真ん中が志尊淳さん

映画だけじゃない!マルチメディアで「バブル」を展開!あらゆる層にリーチします!まずはジャンプ+でコミカライズを連載!さらに小説『バブル』も発売!手掛けるのは『響け! ユーフォニアム』シリーズや『君と漕ぐ』シリーズを世に送り出した小説家・武田綾乃。

そしてこの豪華メンバーを統括するのは「ドラ泣き」というワードの親であり、新海誠の性癖を矯正し世界的に知らしめた爆裂ヒット作『君の名は。』を生み出したプロデューサー、川村元気!!!!!!!!!!!!絵本とかも出しています!

つまり!!川村元気がラーメン三銃士を連れてきたby もちろん のがこの映画なのだ!

そして投入される超絶大プロモーション!109をジャックし、山手線をジャックし、新宿駅をジャック!

さぞかし盛り上がった企画会議!「ぼくの考えた最強のメディアミックス」をNetflixとワーナー、コカコーラなどもスポンサーにつけて莫大な予算を確保し、とにかくすごいメンバーが集結!

そして史上初の試みをやります!Netflixでプレミア上映し、その後映画館で公開というホップステップ大ジャンプ!Netflixで「バブル」を見た人たちが「めちゃくちゃ面白いアニメがある!」「これはすごい!劇場でも見ないと!」と劇場に駆けつける、

はずだった。

しかしその結果は!

ヤフー映画1.7!!!!!!

Twitterで検索するとサジェストに「つまらない」が出てきてしまう!そしてあふれる酷評の嵐!

Netflix→劇場という展開が完全に裏目に出て‥劇場でそのまま公開していればメンツだけで見に行った人も多いだろうし、「なんかつまんなかった」という感想がそういう人から出るだけなのでダメージは少なくて済んだのかもしれないが、うっかりNetflixで先出ししてしまったために、悪評が日本の隅々まで届いてしまい、その結果‥

初日の興行収入1500万円!着席率4%未満!全国どの館も3席ぐらいしか人間がいないという状況に!これは大変だ‥109の広告費ぐらいしかペイできないのでは‥

ちなみに「100日間生きたワニ」は半分の150館ぐらいで初日の興行収入500万円。17日間で4900万円。こんだけやってワニの3倍しか稼いでないんだよ?!ていうか公開規模は倍なんだから実質ワニだよ!すごすぎない?!

さすがに覚悟を決めて観た

まあネットの情報だけでグダグダ言ってても仕方ないので、Netflixで実際に観てみました。その結果、やっぱり本当につまんなかったっていうか壮絶な虚無が生まれていたので逆にすごかった。本当にすごかったんだよ。

1.設定がグダグダ

あらすじ:世界に降り注いだ謎の泡の影響で、重力のバランスが崩壊してしまった東京。ライフラインが断たれた東京は、ビルからビルを駆け回る若者たちによるパルクールチームがバトルに興じる場となっていた。パルクールチームの一員ヒビキは、無軌道なプレイをするあまりに海へと転落。そこへ不思議な力を持つ少女ウタが現れ、彼の命を救う。やがて彼らは自分たちにだけ特別な音が聞こえることに気付く。

で、東京には孤児たちが残って、危険なパルクールをやって生活物資を得て暮らしてるんですよね。

パルクールは作中で「バトルクール」という超絶ダサい名前がつけられているのだが、このバトルクール、
・物資がないなら東京から出れば良いのでは(「あの子たちには行く場所がないのよ」という一言で説明される)
・そもそもその物資誰から出てんのかわからない
・強力なスポンサーをバックに持つ悪の組織アンダーテイカーが唐突に出てきて主人公の仲間を誘拐するのだが、和解の場面もなく突然主人公たちに最新ギアを売ってくれる
・作画が派手という理由から倒壊するビルの下をすり抜ける描写があるが危なすぎてかっこいいとか思えない
・重力の設定が適当なため、岩や鉄塔や浮かぶ泡などどれが重くてどれが軽いのかわからず、ただ飛び石を飛んでいるようなアクションになっている
など、ツッコミどころしかない出来になっている。

2.2022年に彗星のように現れた驚愕のヒロイン

まあとにかくヒロインの破壊力がすごい。この物語、誰もが知るアンデルセンの悲恋物語「人魚姫」をモチーフにしており、というか人魚姫の物語をなぞってストーリーが進められるのだが、それを「絵本を読んでもらったヒロインが絵本のト書きを棒読みする」ことでストーリーを進行させていくのでめちゃくちゃにたまげました。こんな映画見たことない。

そんですごいのが、「こんな女2022年に存在していいのか‥」と観ている方が罪悪感を覚えるほどの「都合のいい女」だということだ。まず溺れている主人公をキッスで助けて恋してしまい、その後人間の形になって主人公の元にやってくるのだが、もともと泡なので知能がない。

赤ちゃんとか猫ぐらいの知能しかなくて、でもパルクールやるとバリバリに活躍して主人公チームを勝利に導く。見た目がかわいい女子高生みたいで、主人公に意見することもなく自分の意思を持たなくて、ただひたすらに主人公をけなげに愛する。20年前だったらいたかもわからねえ‥しかし2022年に存在してはいけない感じのヒロインだ‥

でもそういえば、服装見るだけで「あっコイツやべー奴だ」ってなるのでまあ気づかなかった私が悪い。まずなぜ、人外なのにセーラー服なのか。セーラー服以外のヒロインをお前らは作れないのか。そんで右と左で襟の色が違うのが絶妙にキツい。昭和みたいなチェックのスカートもきついしかたっぽずつ違うしましま靴下も全部キツい‥

これ、小畑健先生の原案だとけっこう違ってて、貧乏生活で穴が空いたみたいじゃなくてなんかファンタジーっぽいデザインなんだよな。でもそうすると作画コストがすごいのでこの改変は仕方がないだろう。

そんでもう、ヒロインの媚びっぷりがすごい!きつい!つらい!

イヤー
5億年ぶりぐらいでは?このポーズ

こういう媚びポーズみたいなのが、躍動感あるアクションシーンからなぜか演出が打って変わって「止め絵」になるのだが、そこから溢れ出る「これは20年前くらいのエロゲかなにかなのか」感がものすごかった。ただでさえ話に違和感があるのに作画まで分裂するのでつらい。

「無垢であどけないピュアな少女」で、しゃべる言葉も2才児ぐらい。主人公を一途に愛して?そんで戦闘では初手からめちゃくちゃ戦力になって?どんだけ都合良いキャラクターなのか、願望詰め込みすぎではとなって見ていてすごくつらかった。

この声をつとめるのが、エンディングを歌うTikTok歌い手「りりあ。」さん。

2019年秋頃よりTikTokやYouTubeで顔出しなしで弾き語り投稿を始めるとそのエモーショナルな歌声と豊かな表現力が話題となり、幅広い年代からフォローと絶賛コメントが殺到。今では、SNSだけに留まらず、若者の心を掴んで離さないネクストブレイクアーティストとして、総SNSフォロワー数170万人を超えるほどの多くのファンの支持を集めています。

総SNSフォロワー数170万人ってこの規模の映画やるには少なくねえか‥?当初はエンディングテーマのみの担当として白羽の矢がたちましたが、普段のやりとりでの声に惚れた監督がヒロインに抜擢したそうです。そうですか‥

でもまあこの映画の特徴で、キャラクターが全然立ってないっていうか存在感がないというか内面が全然描かれないので思い入れのしようもなく、かわいそうな結果になるんですけどマジでふーんって感じでしたね‥そんな感じのヒロインです。

キャラデザでいうと、これはヒロインではないですが、「そのみつあみキッツいな‥」と思いました。

3.何かが起こっているのだが何も起こらない脚本

「バブル」を見た人が口を揃えていうのが、「何も残らなかった」ということだ。これはキャラクターに深みがなく、支離滅裂な設定で突発的に事件が起こって回収しないままただ時間だけが過ぎていくので、画面で何が起こっていようが感情移入ができない。「なんか起こってるけどなんもわからん」という宇宙猫の顔のまま、本当に誰も意味がわからないエンディングに突入して、画面からただ「さあここで泣け!!!」という圧だけを感じるのですごい。そんで何もわからないままの状態で、棒読みの人魚姫の朗読がぶち込まれるので頭がどうにかなるのではないかと思った。この話、一応事件はあって、筋書きはあるんですよ。でも見ている人をとにかく置き去りにしていきます。伏線とかそんな高度なものはないので見逃したシーンがあっても大丈夫なのでありがたいです。ミサトさんの家でペンペンとビール飲んでるくらいの情報量が1時間40分にわたって繰り広げられててすごいんだよな。こんなに派手な画面なのに何も入ってこない。

4.聴覚障害を適当に描きすぎではないでしょうか

主人公の寡黙なイケメン、ヒビキは聴覚過敏症という設定でヘッドフォンをしている。聴覚過敏というのは何でもない音が大きく聴こえたりして苦痛を感じるというつらい病気だ。だが、劇中ではそのヘッドフォンをいたずらで取り上げたり、ヒロインに恋して「俺、本当の自分がわかったよ」と突然聴覚過敏症が治癒しているので何いってんのかわかんなかった。他にも義足なども取り入れていたが、描写するならちゃんとやってくれ。

5.脚本家は「3人いる」

虚淵玄!!バアアアアン!!と出ている脚本だが、実は脚本家は3人いる。これは虚偽に近いのではないでしょうか。ニトロプラスの大樹連司さん、無重力ゲーム『GRAVITY DAZE』の佐藤直子さんとの共同脚本だ。まさかここで『GRAVITY DAZE』が出てくるとは思わずまた死んだ。本当に想像を超えてくる映画である。だからニトロプラスも入ってるし『GRAVITY DAZE』も入ってるコミコミ映画なんだよ。それなのに、虚淵!!!って言って売り出すのってどうなの?良くないと思います!

とか色々書いてきましたが本当に何も感想が残っていない。「机上の空論」が崩れ去った、マーケティングというものの死を象徴する最高の事例だと思いますね。これだけのクリエイターを集めれば、これだけの宣伝を打てば、これだけの露出をすれば、絶対に当たるはず。そんな黄金の方程式なんか存在しないんですよ。それが日本中に知れ渡るかたちでコケたのは今後の良い教訓になるなと思いました。

なのでEveさんによる呪術廻戦のOP置いておきますね。このオープニング、本当にかっこよかったよなあ。


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akiko_saito
ブロガー。伊達藩出身。比類なき「ゲーム帝国」で本名明かしの刑を受けた実績を持つ手負いの獣。メール: akikosaito1120 at gmail