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今月の13日の金曜日は仏滅だった

今を遡ること約20年前のある日の出来事が、この悲劇の発端でした。

その日、京都の芸術大学に自転車で通う私はいつのもように急な坂道を飛ばして自宅へ向かっていました。交通量が気になってきたので、車道から歩道へ乗り上げようとしたとき、段差で自転車のハンドルを取られ身体がふわりと宙に浮きました。道路が視界に近づくスローモーションの中、まだ2回生の私がとっさに思ったことは

美大生たるもの、制作に大事なこの二本の腕は何が何でも守らねば!

迷わず顔面から道路にダイブ。流血はなかったものの、めちゃめちゃ痛い。顔痛いって言うか、前歯痛い。

翌日になっても痛みがひかないので、歯医者で診てもらうと「なんでもっと早く来なかった。折れてはないけど、あんたの前歯逝ってもうてる。前歯の神経抜かなあかん。」。10代の終わりのある日、左前歯はご臨終となったのでした。

神経の無い歯とはいえ、10代20代の頃は見た目は特に変わらず。なんの問題もなく過ごしてきました。30代になると、うっすら周りの歯と比べると陰りを帯びるようにになり、せっせとホワイトニングしてメンテナンス。死んだ歯と約20年つきあってきました。

そして迎えた2019年9月13日金曜日・仏滅・中秋の名月。子育てサラリーマンでほとんど宴会に縁のなかったここ数年、久々に開かれた会社の宴会で、なにげなくアーモンドチョコレートをかじったその時、左前歯は永遠に私の元を離れたのでした。左前歯は二度死ぬ。

同僚の前で、「へへ。前歯折れちゃいました〜」と甘栗むいちゃいました気分で告白すべきか非常に迷ったのですが、抜けた前歯をはめてみるとスポッと古巣に収まるではないですか。いっそこのままくっついてくれーと願いを込め、歯の裏から舌で押さえながら、キリよく帰れそうなタイミングを見計らって小一時間ほどやり過ごしました。

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家が遠いことを理由に早めに宴会から離脱。電車で一人になったとき、そっと左前歯を外しました。翌日、歯医者で仮歯を入れてもらい、私の左前歯の第二シーズン(差し歯)がスタート。まだ40代でこんなことになって恥ずかしいわあと思いつつも、他に何を失っても構わない!と守った両腕で、今もなんとか食べていけてるので、まあ仕方ないかなあとも思います。

しかし、「13日金曜日・仏滅」という縁起でもない日に大勢でワイワイしたから、ジェイソン来たんやろか。。としみじみ思ったので、久々note書きました。



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