新聞配達のお兄さん

子どもの頃、新聞配達のお兄さんから直接新聞を受け取るのが好きだった。
そんなに早起きではなかったから、多分夕刊の記憶だろう。

家から少し離れたちょっと小高いところで受け取って走って家まで帰る。
ある日、受け取った新聞を抱えたまま、転んでしまった。
下り坂。
雨上がりの泥道だった。
新聞は泥だらけ。
服も泥だらけ。
泣いたかどうだかわからない。が、どうしよう、という気持ちはハッキリと憶えている。

オロオロしていた幼稚園の年少くらいの私。
どのくらい泥だらけでボサっとしていたかわからないけれど、新聞配達のお兄さんが新しい新聞を渡してくれた。

助かった。
やっぱり優しいお兄さんだった。
毎日いそいそと新聞を受け取っていたのは、新聞配達のお兄さんが好きだったから。

50年以上前の薄ぼんやりした初恋か?

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