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アプリの使い方を変えるAI技術: 注文から決済まで全部ChatGPTがやってくれる!?

All-Inというポッドキャストの1時間48分にも及ぶ長い動画の中の下記の2つの話題について解説してみたいと思います。

  • 高度なエージェントがアプリとのインターフェース方法をどのように変えるか

  • OpenAI の次なるもの: 推論、AI を搭載した iPhone の競合他社の可能性など

GPT-4の無料化を目指す

サム・アルトマンはこの様にいっています。

GP4レベルの技術を無料ユーザーに提供する方法をまだ見つけられていないことが悲しいです。それを実現することは非常に費用がかかるのです。

サム・アルトマン

OpenAIがGPT-4などの高度なテクノロジーを無料で提供する方法を模索していることは5月8日に出された声明をみても明らかです。この声明については下記のNoteを合わせてご覧ください。

広告に依存しないビジネスモデルを探求している点が特に注目されていますね。以下のようなアプローチが考えられます:

  1. サブスクリプションモデルとの併用:完全に無料で全ての機能を提供する代わりに、基本的な機能を無料で提供し、高度な機能や追加のリソースを必要とするユーザーには有料プランを提供することが一つの方法です。これにより、基本的なAIサービスへのアクセスを広く提供しつつ、コストを賄うための収入を確保できます。

  2. スポンサーシップやパートナーシップ:特定のプロジェクトや研究に資金を提供する企業や機関とのパートナーシップを結ぶことで、無料サービスの提供を継続する資金を得ることができます。これにより、直接的な広告表示を避けつつ、サービスを維持できます。

  3. 財団や助成金による支援:教育、研究、非営利活動を目的とした団体からの支援を受けることで、公共の利益のために無料サービスを提供することが可能です。この方法では、社会的な価値を提供することがファンディングの正当化につながります。

  4. フリーミアムモデル:基本サービスを無料で提供し、追加機能や高度なツールへのアクセスには料金を設定することで、ユーザーベースを拡大しつつ収益を上げることが可能です。このモデルは多くのデジタルサービスで成功しています。

公共図書館やその他の教育施設が地域社会に無料でサービスを提供することで、より多くの人々が高度な技術を利用できるようになります。これにより、教育や研究の機会が拡大し、技術的なリテラシーも向上するでしょう。AIは近い将来人間になくてはならないインフラになると思うので、その整備は国家の生命線になると思います。

サムはスマホ常駐AIアプリにオープンソース化に興味あり

オープンソースAIの躍進について聞かれたら、サム・アルトマンは以下の様に答えました。

個人的に特に興味があるオープンソースの分野は、私の携帯電話で実行できる、可能な限り優れたオープンソースモデルです。現在のところ、その良いバージョンに必要な技術はまだ世界にはありませんが、いずれかの時点で取り組むべき非常に重要なことのように思えます。

サム・アルトマン

いくつかの報道のリークでChatGPTはiPhoneに組み込まれ、映画「her」の様な存在になると言われています。「her」の映画に登場するAIは、非常に高度な理解と感情を持つキャラクターで、人間のように対話する能力を持っています。サムが言及しているのは、AIが個人のデバイスで動作し、日々の生活をサポートするための「スーパーケイパブルなアシスタント」の構想に近いです。これには、音声認識、テキスト処理、コンテクストの理解など、多岐にわたるAIの機能が含まれている可能性があります。

彼のビジョンでは、このようなAIが個人の日常生活において中心的な役割を果たし、さまざまなタスクをサポートし、効率を向上させることを目指しています。これは、映画「her」で描かれているAIと同じような、人間と密接に連携する未来のAI技術の一形態と考えることができます。

特に個人用デバイスでのパーソナルアシスタントとしてのAIについて、彼はオープンソース化の可能性を示唆しているようです。これにより、より広範囲の開発者がAI技術にアクセスし、改良を加えたり、新しいアプリケーションを開発したりすることができるようになるかもしれません。

AIシステムの設計には多様な方法が採用される

ちょっと難解な、下記の発言を深ぼってみました。

これは比喩的な意味ですが、知能はただの物質の緊急特性であり、それが物理法則のようなものです。人々はこれを理解し始めるでしょうが、システムの設計方法には様々なアプローチがあり、人々は異なる選択をし、新しいアイデアを見つけ出します。

サム・アルトマン

サム・アルトマンが述べているこの部分では、知能、特に人工知能についての洞察を共有しています。彼は「知能は物質の緊急特性であり、それは物理法則のようなものだ」と述べています。これは比喩的な表現で、知能が単なる物理的な存在や化学反応によってのみ説明されるのではなく、それ自体が自然の一部として存在し、発展するという哲学的な見解を示しています。

さらに、彼はこの新しい知見(AIの可能性)に対する人々の理解が深まるにつれて、AIシステムの設計には多様な方法が採用されるだろうと言っています。つまり、異なる企業や研究者が独自のアプローチでAIを開発し、新しいアイデアを試みるでしょう。これは技術の進化が多様な形で進行することを意味しており、それぞれのグループが異なる戦略を採用することが期待されます。

この考えは、AI技術が単一の進路をたどるのではなく、多くの可能性に満ちているというオプティミスティックな視点を示しています。人々がこの技術をどのように受け入れ、どのように進化させていくかによって、その未来の形が大きく異なることになるでしょう。

AIのスタートアップについて

彼は、多くのAIスタートアップが設立されていますがそれが今後どの様になっていくのかについても話していました。

本当の問題は、多くのスタートアップが特別なデータを取得し、その特別なデータに基づいて一から新しいモデルを訓練し、それが一つのことしかできないが、その一つのことにおいては何よりも優れているというモードで動作しているため、これらのスタートアップが全て失敗するかどうかです。

サム・アルトマン

多くのスタートアップが特定のタスクに特化したモデルを開発しています。これらのモデルは特定のデータセットに基づいて最適化されており、そのタスクにおいては非常に高いパフォーマンスを発揮します。しかし、これらのモデルは柔軟性に欠け、他のタスクや異なる種類のデータには適応できない場合が多いです。

将来的にASI(人工超知能)が登場した場合、これらの特化型モデルの運命はいくつかの要因に依存するでしょう:

  1. 統合性と汎用性の向上: ASIは複数のタスクを効率的に処理できる能力を持つため、特定のタスクに特化したモデルよりも汎用的なモデルが好まれるかもしれません。この場合、特化型モデルは徐々に用途が限定され、最終的には置き換えられる可能性があります。

  2. 特化型モデルの役割: 一方で、特定の専門的なタスクにおいて非常に高度な精度が求められる場合、特化型モデルは依然として価値を持つかもしれません。ASIの下でこれらのモデルは、特定の機能を担当する「専門家」として活用されることが考えられます。

  3. モデル間の協調と統合: ASIの進化に伴い、異なるモデルが協力し合うシステムが発展する可能性があります。このようなシステムでは、特化型モデルが他の汎用型モデルと連携して、より複雑な問題解決に貢献するかもしれません。

  4. 継続的な開発と進化: 技術の進化は止まることがないため、今存在する特化型モデルも継続的に更新され、改善されることが期待されます。これにより、既存のモデルも新しい環境や要求に対応できるように進化する可能性があります。

結局のところ、特化型モデルの未来は、その効率性、精度、そして他のモデルやシステムとの統合性に大きく依存するでしょう。ASIのもとで、これらのモデルがどのように活用されるかは、その技術的な能力と戦略的な運用によるところが大きいです。

人工知能が私たちの周りの「自然」の一部として統合

上記の発言の中の「知能は物質の緊急特性であり、それは物理法則のようなものだ」と言う部分は落合陽一が提唱する「計算機自然(デジタルネイチャー)」という概念は、ある意味で似た考え方を持っています。落合陽一のデジタルネイチャーは、デジタル技術と自然現象が融合し、新しい形の「自然」として存在することを意味しています。この考え方は、デジタル技術が私たちの生活環境や自然界にどれほど深く組み込まれていくかを示唆しています。

サム・アルトマンが言及しているのは、AIがこの「新しい自然」の一部として機能し、発展していくことです。彼の言う「知能は物質の緊急特性」というのは、AIやその他の知能形態が自然界の法則のように振る舞うことができるという考えを示しており、それはデジタルネイチャーの概念と共鳴します。

つまり、AIネイチャーは、人工知能が私たちの周りの「自然」の一部として統合され、その存在が自然なものとして認識される段階まで技術が進化することを意味します。これにより、AIはただのツールではなく、生活の一部として自然に融合する存在となるでしょう。このビジョンは、AI技術がどのように社会や文化に溶け込んでいくかについての洞察を与えています。

iPhoneに搭載される未来のAIアプリについて

日本時間の14日午前2時に開催されるスプリングアップデートイベントで発表されるとリークされている、iPhone搭載のChatGPTについてのヒントが下記の発言にはありそうです。

私が望むのは、声やテキスト、または理想的にはその他の方法で、何を望んでいるかをただ知っている、常にオンで、超低摩擦なものです。これは、できるだけ多くのコンテキストを持って、私の日々を通じて常に助けてくれるものです。まるで世界で最も優れたアシスタントのようです。

サム・アルトマン

サム・アルトマンが考えるiPhoneに搭載される未来のAIアプリについては、非常にシームレスでユーザーフレンドリーな形で実装される可能性が高いです。具体的には、以下のような特徴を持つアプリになると考えられます:

  1. 常時オン:このAIはバックグラウンドで常に動作し、ユーザーが必要とする時にいつでも即座に対応できるように設計されます。スマートフォンが日常生活に密接に組み込まれていることを考慮すると、このAIも同様にユーザーの日常と密接に連携することになります。

  2. 多様なインタラクション方式:音声だけでなく、テキストや他のインタラクティブな方法(たとえば、ジェスチャーや顔の表情を認識する機能など)を組み合わせて、より自然で直感的なユーザー体験を提供します。これにより、より広範なコンテキストでAIが活用できるようになります。

  3. 高度なコンテキスト認識:このAIはユーザーの行動パターン、好み、以前のインタラクションなどから学習し、それに基づいてパーソナライズされたサポートを提供します。これにより、ユーザーにとってより有用で、タイムリーな情報やサポートが提供されることになります。

  4. 倫理的およびプライバシーに配慮した設計:AIが個人のデータを扱うことから、プライバシー保護とセキュリティが重要な課題となります。OpenAIとしては、ユーザーのデータを安全に扱うための厳格なポリシーと技術を導入することが期待されます。

  5. 広範囲の用途:このAIアプリは、日常のタスクの自動化から複雑な問題解決まで、さまざまな用途に対応するよう設計されるでしょう。これにより、ユーザーはより効率的に日常生活を送ることができるようになります。

その具体的な使用方法についてもサム・アルトマンは下記の様に語っています。

音声チャットはアプリを不要にするかもしれません。好きな寿司を注文するだけで、それが何を意味するのか、好きなものや嫌いなものを理解して最善を尽くします。完全に「ヘイ、チャットGPT、寿司を注文して」と言って、「このレストランからですか?何時にしますか?」などの質問がある世界に移行するのは想像が難しいです。視覚的なユーザーインターフェースは多くのことにとても良いですし、画面を見ないで音声モードだけを使う世界は想像しにくいですが、多くのことに対しては想像できます。たとえばAppleはSiriで試みましたが、自動的にUberを注文できるはずでしたが、誰もがそれを使ってみるリスクを負いたくないでしょう。品質が良ければ、それがより簡単であるため好まれるはずです。携帯を取り出す必要がなく、アプリを探して押す必要がありません。自動的にログアウトされて、再ログインや二段階認証が必要になるなど、面倒なことが多いのです。タイマーを設定する時はいつもSiriを使っていますが、それはとてもうまく機能し、それ以上の情報は必要ありません。しかし、Uberを注文する際には、いくつかの異なるオプションの価格を見たいし、どれだけ遠いか、地図上でどこにいるのかも見たいかもしれません。そのため、音声チャンネルを通じてすべてを行うよりも、Uberの画面を見た方が速く多くの情報を得ることができます。

サム・アルトマン

スプリングアップデートについては下記のNoteで詳しく解説していますので合わせてご覧ください。

病気になった時にChatGPTに何が起こっているのか尋ねた

サム・アルトマン自身が病気になった時に、ChatGPTを利用して解決したエピソードを語っています。

サムが自身の健康に関する不確かさについて調べる際に、ChatGPTを利用していたという状況を説明しています。サムが「この一つのことについては確信が持てない」と述べた後、何かしらの情報や論文を探して、それを読まずに投稿したということです。

つまり、サムは特定の問題について確信が持てなかったため、関連する論文を探し出して共有したのですが、その論文をChatGPTが精査してみたらまさに自分が確信が持てなかった内容を解決するものだったと後で気づいた、という意味です。これは、情報の取得や共有がどれほど迅速かつ効率的に行われるかを示している例として挙げられています。

ChatGPTは上級従業員を目指す

Copilot、AIアシスタント、などジェネレイティブAIには様々な呼び方がありますがサム・アルトマンが目指すChatGPT像を下記の様に語っています。

エージェントのような振る舞いが期待されますが、上級従業員とエージェントとの間には違いがあります。私が上級従業員について好むことの一つは、彼らが私に反論すること、時には私の依頼を実行しないこと、または「そのことを実行すればこのような結果になるが、それでよろしいですか?」と言ってくれることです。私はそのような関係を持つことを確実に望んでいます。それは単に私が頼んだことを盲目的に実行するだけではありません。それは理由を考え、反論することができます。

筆者はカトリック信者の家に生まれたのですが、子供部屋の壁には、ランタンを持って夜道を照らしながら子供の手を引く守護の天使の絵がかかっていました。上記のChatGPTの目指す方向が筆者のこの原風景とかさなります。思春期には早々に宗教心を失いましたがこの絵を一瞬思い出してしまいました。

うちのGPT-4は私が語ったこの思い出を覚えています。

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