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インターネット国産技術の芽を摘み取っていった日本政府自らGAFAMからのヘッドハンティングに乗り出す

日本国政府は下記のニュースでGAFAMから内情に通じた人材の引き抜きに打って出た事を伝えています。

例えば検索エンジン一つをとっても日本はGoogleや中国の百度とほとんど同時期にGooという検索エンジンを作っています。インターネット黎明期には日本でも次々に様々な技術革新がありましたが、気づくとそれら全ては海外のサービスに取って代わっています。このNoteでは日本の技術が海外の技術に水をあけられていった経過を振り返ってみようと思います。


ほぼ同時に開発された検索エンジン

最初に開発されたのは日本のGoo検索だった

日本では検索エンジンはGoogle一強ですが、実は国産の検索エンジンもほおど同時に開発されていたのです。各国の検索エンジンをリリース順で並べると以下の様になります。

  1. 日本:Goo(グー)検索はNTTレゾナント(NTT Resonant)が米Inktomi社のエンジンとNTT研究所の日本語解析技術をミックスしたロボット型検索エンジンとして開発。1997年にサービスが開始

  2. アメリカ:Googleは1998年9月27日にリー・ペイジ(Larry Page)とセルゲイ・ブリン(Sergey Brin)によって設立されました。

  3. 中国:百度(Baidu):1999年にロビン・リ(Robin Li)と何彦宇(Eric Xu He Yan)によって設立されました。

  4. 韓国:Naverは1999年に李 海珍(イ・ヘジン)によって設立されました。

Googleを締め出し一強となった百度

中国では「グレート・ファイアウォール」と呼ばれる広範なインターネット規制を敷いており、政府による検閲が厳しく行われています。Googleは言論の自由と情報へのアクセスを重視しているため、2010年に中国での検索エンジン事業を停止しました。そのため現在中国で使用されている検索エンジンは百度のみです。

ローカル検索ではGoogleより優れているNaver

Naverは韓国国内で非常に高いシェアを持っています。実際に、韓国ではNaverが最も多く使われる検索エンジンであり、Googleよりも高い人気を誇っています。
Naverは韓国国内のコンテンツや文化に非常に密着しており、韓国語の検索に特化した高度なアルゴリズムとサービスを提供しています。それが、Naverが韓国国内で非常に高いシェアを持っている大きな理由の一つです。
Googleは確かに全世界で非常に強力な検索エンジンですが、韓国においてはローカルコンテンツや文化的側面でNaverに一歩譲る形となっています。そのため、特に韓国国内の情報を探している場合、多くの人々がNaverを利用します。

Goo検索は当時からGoogleに水をあけられていた

Goo検索も日本国内でのニーズに特化したサービスを提供していますが、下記のような多角的な要素でGoogleにシェアを奪われていきました。

  1. 検索アルゴリズムの優秀さ: Googleが採用しているPageRankと呼ばれる検索アルゴリズムは、非常に高い検索精度を持っています。これによって、ユーザーは求める情報にすばやくアクセスできるようになりました。

  2. シンプルなUI: Googleのユーザーインターフェースは非常にシンプルで、誰でも簡単に使いこなせるように設計されています。この使いやすさが、多くのユーザーを引きつけました。

  3. 多言語対応: Googleは多くの言語に対応しており、グローバルな規模でサービスを提供しています。この多言語対応が、国際的な情報を求めるユーザーにとって大きな利点となっています。

  4. 広告とビジネスモデル: Googleが提供するAdWordsやAdSenseなどの広告プラットフォームは非常に成功しており、これがGoogleのサービスを支える強固なビジネスモデルを形成しています。

  5. 追加サービスとエコシステム: Googleは検索エンジンだけでなく、Gmail、Google Maps、Google Drive、Google Photosなど、多くの追加サービスを提供しています。これらのサービスが相互に連携しているため、一度Googleのエコシステムに入ると、他のサービスも自然と使い始めることが多いです。

  6. ブランド力と信頼性: Googleは世界中で高いブランド力と信頼性を有しています。これが、新しいユーザーを引きつけ、既存のユーザーを維持する大きな要因となっています。

国内の検索エンジン開発者の何人かはその後Googleを運営するアルファベットの社員となっています。

日本政府に摘み取られたインターネットの芽

30億円以上の損害賠償金を課せられたひろゆき

プロバイダ責任制限法が施行されるまでの間、ひろゆきは2ちゃんねる上でのユーザーによる投稿に対する法的な責任を問われ、多くの訴訟と賠償責任に直面していました。この法律が施行された後も、彼は依然として多くの法的な課題に直面していたようですが、少なくとも一部の責任については制限されたわけです。

若く有能な時期にこのような状況に直面したことは、確かに彼の活動を一定程度制限したと言えるでしょう。

投獄されたピアツーピアの発明者

映画にもなったWinnyは日本製のP2P(Peer-to-Peer)ファイル共有ソフトウェアで、当時非常に高い人気を博しましたが、利用者による著作権法違反が多発し、開発者の元東京大学大学院情報理工学系研究科助手の金子勇は2004年5月に著作権法違反幇助の疑いで逮捕・起訴されました。その後無実が証明され釈放されたものの若くして亡くなりました。

国産のサービスが次々に海外のサービスにとって変えられていった

MIXIからLINEに

MIXI(ミクシィ)は、2004年に日本でサービスが開始されたソーシャルネットワーキングサービス(SNS)です。当初のサービスは招待制で、友達や知人からの招待がないと登録できない仕組みでした。この独自のスタイルと、日本特有のネット文化にマッチした機能が受け入れられ、一時は非常に高い人気と利用者数を誇っていました。

MIXIの主な機能には、友達とのコミュニケーションを支える「日記」や「足あと」、さらには特定の話題や興味に基づいて集まる「コミュニティ」といったものがありました。これらの機能は、当時としては斬新であり、多くの人々によって利用されていました。

しかし、後に登場するLINEなどの海外SNSやメッセンジャーアプリの台頭によって、MIXIの利用者数は減少していきました。

iモードからiPhoneに

1999年に登場したiモードは、NTTドコモによって提供され、携帯電話でインターネットを手軽に利用できるようにした最初の商用サービスの一つでした。iモードの影響は日本国内にとどまらず、世界中の携帯電話業界にも多大な影響を与えました。それまでの携帯電話は主に通話と短いテキストメッセージの送受信が主な機能でしたが、iモードの登場によって、天気予報、ニュース、ゲームなど多様な情報とサービスが手の中に広がりました。

しかし、2007年にAppleがiPhoneをリリースすると、状況は一変しました。iPhoneは、スマートフォンという新しいカテゴリを確立し、これまでの携帯電話の枠を大きく超える多機能性と使いやすさを提供しました。特に、Appleのアプリストアが開設されると、個々のユーザーが自分のニーズに合わせてアプリをダウンロードできるようになり、これがスマートフォンの普及を一気に加速させました。

iモードが成功した背景には、日本独特のユーザー需要と環境がありましたが、iPhoneはそれを全く新しい次元に引き上げました。グローバルな視点で開発されたiPhoneは、多言語対応や各国の文化に適したUIを持ち、世界中で瞬く間に普及しました。

このように、iモードからiPhoneへと移行する過程は、単なるテクノロジーの進化以上の意味を持っています。それは、携帯電話というデバイスが、単なる通信ツールから、私たちの生活そのものを豊かにする多機能なガジェットへと変貌を遂げた象徴的な瞬間でもあります。

この遷移は、日本がかつて先駆けていたモバイルインターネットのフィールドでも、グローバルな規模での競争が必要であるという重要な教訓を与えています。

ニコニコ動画からYoutubeに

2006年にサービスを開始したニコニコ動画は、日本において動画共有プラットフォームの草分け的存在となりました。このプラットフォームは、動画視聴時にリアルタイムでコメントを流すという独自のスタイルを採用。このインタラクティブな要素が受け、特に日本国内で非常に高い人気を誇りました。アニメ、ゲーム、VOCALOIDなど、日本のサブカルチャーを中心に多くのコンテンツが投稿され、一種のコミュニティ空間ともなっていました。

一方で、YouTubeは2005年にサービスを開始しており、元々はニコニコ動画よりも歴史が古いです。初めは日本ではそれほど注目されていませんでしたが、スマートフォンの普及とともにその状況は一変。YouTubeアプリがスマートフォンにプリインストールされるようになり、手軽に動画が視聴できるようになったことで、多くの日本人ユーザーがYouTubeに流れ始めました。

さらに、YouTubeはGoogleによって運営されており、広告モデルや検索アルゴリズムが非常に洗練されています。これにより、クリエイターにとっても収益を上げやすい環境が整い、多くの有名なYouTuberが生まれました。その結果、若い世代を中心にYouTubeが主流の動画プラットフォームとなっていきました。

ニコニコ動画も依然として独自の文化やコミュニティを保ってはいますが、一般的な動画消費においてはYouTubeが主流になっています。特に国際的なコンテンツを求めるユーザーにとって、YouTubeの方がはるかに多くの選択肢を提供しているのが現状です。

2ちゃんねるからTwitterに

1999年に登場した2ちゃんねる(通称2ch)は、日本のインターネット文化に多大な影響を与えた掲示板サイトです。匿名性が高く、多くのトピックで自由な議論が行われていました。これにより、2chは日本国内で非常に高い人気を誇り、多くのユーザーが日常的に訪れる場所となりました。2chは、特に新しい情報が速報される場所としても有名であり、多くのニュースや流行がここから発信されていました。

一方で、Twitterは2006年に登場し、最初は特に日本での認知度は低かったものの、徐々にその利便性と拡散力が認知されていきました。特に、2009年のイラン大統領選挙での情報拡散や、2011年の東日本大震災での緊急情報共有など、大きな社会的な出来事を通じてその影響力が広がりました。

Twitterの特長は、短い文字数(最初は140文字、現在は280文字)で情報を共有する点と、リアルタイムでの情報拡散が可能である点です。また、ハッシュタグやリツイート機能によって、特定のトピックが瞬時に広がる仕組みがあります。これによって、2chとは異なり、より速やかに多くの人々と情報を共有できるようになりました。

2chも依然として一定のユーザー基盤を保っていますが、特に若い世代を中心に、Twitterが主要な情報源となっています。匿名性が高い2chと違い、Twitterでは実名や半匿名での発言が多く、それぞれが異なる文化やコミュニティを形成しています。

RubyからNode.jsに

1995年に日本のプログラマー、まつもとゆきひろ(通称Matz)によって開発されたRubyは、オブジェクト指向のスクリプト言語として登場しました。Rubyは「プログラマのための言語」を目指し、読みやすく、綺麗なコードを書くことを大切にした設計がされています。Ruby on Rails(通称Rails)というWebフレームワークの登場によって、2000年代後半から急速に普及し、特にWeb開発でよく用いられるようになりました。

一方で、Node.jsは2009年にアメリカのプログラマー、Ryan Dahlによって開発されました。Node.jsはJavaScriptをサーバーサイドで動作させるプラットフォームであり、非同期I/O処理を特徴としています。これにより、大量のユーザー接続にも効率的に対応できるよう設計されています。JavaScriptがフロントエンドだけでなくバックエンドでも使えるようになったことで、開発者にとっては学習コストが大幅に削減されました。

RubyとNode.jsは、どちらも開発者の生産性を高めることを目的としていますが、そのアプローチは大きく異なります。Rubyは、綺麗で読みやすいコードを重視し、開発者が楽しくコーディングできるように設計されています。一方で、Node.jsは効率とパフォーマンスを重視し、特にリアルタイム処理や大規模なデータ処理に強いです。

近年では、特にWeb開発においてNode.jsが多く採用される傾向にあります。これは、フロントエンドとバックエンドで同じ言語(JavaScript)を用いられること、そして非同期I/O処理が効率的に行えるためです。それでも、Rubyは依然としてその美しい文法と高い生産性で多くの支持を得ています。

このような技術選定の変化は、時代やニーズに応じて最適なツールが選ばれるべきだという教訓を与えています。RubyもNode.jsも、それぞれに独自の強みと特性を持ち、適した用途に応じて使い分けられるべきです。

どうして国産サービスは海外のサービスに取って代えられたのか

国内のテクノロジーサービスが海外のサービスに取って代わられる現象は、国の姿勢や方針にも影響を受ける可能性があります。具体的には、以下のようなポイントが考えられます。

  1. 政策と資金調達: 国がイノベーションを促進するための政策や資金を用意しているかどうかが大きな要素です。研究開発に対する補助金や税制優遇、スタートアップへの投資促進などがあります。

  2. 教育と人材育成: エンジニアやデザイナー、マーケターなど、テクノロジー産業に必要な人材を育てる教育プログラムや研修が充実しているかも重要です。

  3. 規制と法的環境: 過度な規制や不明確な法的環境は、新しいビジネスモデルやサービスが生まれにくい環境を作り出します。一方で、適切な規制は消費者を守り、健全な競争を促進します。

  4. 国際競争力: ローカル市場だけでなく、国際市場で競争できるような環境を作ることも重要です。これには、言語や文化の壁を超えられるようなサポートが必要です。

  5. 社会的受容性: 技術やサービスが社会に広く受け入れられる文化があるかどうかも、その成長に影響します。

国がこれらの要素に積極的に取り組むことで、国内サービスが育つ可能性は高まります。ただし、これらはすべて長期的な取り組みが必要ですし、成功を保証するものではありません。それでも、国の姿勢がポジティブであればあるほど、成功の確率は上がるでしょう。

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