スタンフォードでサム・アルトマンが伝えるAI時代の学生起業の重要性
この動画の前半はサム・アルトマンの経歴紹介なのでその部分は端折りますね。
もしサムが今スタンフォードの学生だったら
「もし現在スタンフォード大学の学生であったどうしますか?」との質問に彼答は「数世紀で最も幸運な時代に成長しているように感じます」と述べています。
サムによれば、「これはインターネットが登場して以来、おそらく会社を始めるのに最も良い時期であり、技術史上でも最高の時期かもしれません」とのことです。AIを用いることでできることは年々増加し、新しい製品が生み出されることで大きな影響を与えるでしょう。
彼はまた、「非常に幸運だと感じ、それを最大限に活かす決心をして、どのように貢献したいかを見つけ出し、それを行うでしょう」と続けます。そして、「変化のスピードを考えると、おそらく学生としては残らないでしょう」と答えています。理由としては、彼が以前に選択した道(大学中退)を再び選ぶと思われるからです。
学生のうちにスタートアップすべきか?
「19歳や20歳で会社を立ち上げるべきか、それとも他の起業家精神に溢れる研究所やベンチャーに参加すべきかで悩んでいる学生にどのようなアドバイスをしますか?」との質問にサムは下記のように答えています。
他の誰も取り組んでいないあなたが取り組んでいる問題
「他の誰も話していない、あなたが取り組んでいる問題は何ですか?」との問いには彼は2点挙げています。
非常に大きなコンピューターをどうやってl構築するか:他の人もそれについて話していると思いますが、私たちはおそらく誰も想像していない視点からそれを見ています。ただ一つの部分を見るだけでは機能しないと思いますが、全体を処理する必要があります。人類の技術史のアークとして、私たちはより大きく、より複雑なシステムを構築しています。
様々なレベルの人間に高知能のAIを導入する方法:私たちは、単に小中学生レベルの知能ではなく、博士レベルの知能やそれ以上をどのようにして製品に組み込むか、社会や人々の生活にどのように良い影響を与えるかについても格闘しています。その答えはまだわかりません。だから、それを解明することは非常に重要なことだと思います。
GP4はこれから皆さんが使う最も愚かなモデル
サムはこう言います。
人々を脅かすべきではない
サムは続けます。
OpenAIのキャッシュフローは心配?
収入より膨大な支出がある件について尋ねられたサムの回答がこちらです。
AGI開発のタイムラインを諦めた
サム・アルトマンは、仕上がり像を完全に把握しているにもかかわらずタイムラインにマイルストーンを設定できない事を打ち明けました。つまり、受け取り手の人々の受け入れ体制を考慮しなければそれを世に出す事ができないという事です。
AGIの危険性
インタビュアーの「AGIの危険性についてどのように考えていますか?特に、AGIからの最大の危険が壊滅的なイベントから来ると思いますか?それとも、今のようにみんながTikTokを使ってADHD(注意欠陥障害)になっているように、もっと微妙で有害な形でしょうか?」との質問にはこのように答えています。
サムの自覚する自分の強み
「あなたの強みは何ですか?」との質問にこのように答えています。
これに対する筆者の感想は「しかし、様々な分野に通じていることの価値は世間から過小評価されていると思います。様々な知識を横断的に活用できる"広い視野"こそ、新しいものを生み出す源泉になり得るのです。」という部分は日本では逆の様な気がしますね。コンサル業ばかりがもてはやされてコンサル料ばかりがやたら価格が高く、何か一つのことに特に卓越している専門家が得る収入が少なすぎる気がしますね。
サムの自覚する自分の弱み
インタビュアーに「あなたの最も危険な弱点は何ですか?」と問われ、彼はこう答えました。
リーダーが動かされる三つのニーズのうちのどれがサムを動かしているのか?
次にインタビュアーはこう質問しました。「ハーバードの心理学者デイビッド・マクランドには、すべてのリーダーが三つの原始的なニーズのうちの一つによって動かされているという枠組みがあります。一つは所属のニーズ、つまり好かれることのニーズです。次に、達成のニーズがあります。あなたの場合どれですか?」それに対するサムの答えがこちらです。
GPT-5についてワクワクしていることは?
「これから出るChatGPT-5について、あなたが最もワクワクしていることは何ですか?」との質問については彼はさらっとした答えをnのべました。
スタンフォードの学生との質疑応答
如何にして安全なAGIを展開するのか?
学生1:スタンフォードの3年生です。AGIの責任ある展開についてあなたと話をしたいと思います。OpenAIがAGIに近づき続ける中で、どのように責任ある方法でそれを展開する計画ですか?
サム:人間のイノベーションを抑制することについては全く心配していません。人々がより良いツールを持つと、私たちは予想以上に素晴らしいことを成し遂げると心から信じています。
歴史は人々により多くのレバレッジを与えると彼らがより驚くべきことをすることを示しています。それは私たち全員にとって素晴らしいことです。しかし、モデルがより能力を持つようになるにつれて、私たちはより高い基準を設定し、レッドチーミングや外部監査など多くのことを行います。それらはすべて非常に良いことですが、モデルがより能力を持つようになるにつれて、私たちはさらに反復的に展開し、使用される方法と機能する場所、機能しない場所を見るためのさらに厳格なフィードバックループを持つ必要があります。数年ごとに主要なモデル更新をリリースするという以前の方法は、粒度を増して(注01)より反復的に展開する方法を見つける必要があるかもしれません。それをどのように行うかはまだ私たちには明らかではありませんが、それが責任ある展開の鍵になると思います。また、すべてのステークホルダーがAIのルールをどのように交渉するかも重要です。
※「粒度を増す(increase granularity)」:通常、何かを小さな単位にどれだけ細かく分割または考慮するかという意味合いで使用され、これによりプロセスの制御性やデータの理解度が向上することが期待されます。特定のプロセスやデータセット、プロジェクトなどをより細かい単位で扱うことを意味しており、精密さや詳細度を向上させることを示しています。
AI利用のインフラが整っていない地域の対処法
学生2:ますます大きく高速なコンピュータの需要が高まっていますが、世界の多くの地域ではそれらのデータセンターや大型コンピュータを構築するインフラがありません。それがグローバルなイノベーションにどのような影響を与えると思いますか?
サム:その点には二つの側面があります。一つ目は、コンピュータがどこで建設されるかに関わらず、訓練用だけでなく推論用としても、コンピュータを使用するためのグローバルで公平なアクセスが非常に重要だと思います。
私たちの使命の非常に重要な部分は、ChatGPTを使用したい人が多くいる限り特定の国を除いて、無料で提供することです。訓練用コンピュータを世界にもっと提供する方法について考えることが、ますます重要になってきています。
私は、一定量のコンピュートアクセスを人権として考える世界に到達すると思います。そして、それを世界中の人々に分配する方法を見つけ出さなければなりません。
AIが宇宙の探査や植民地化にどのような役割を果たすのか
学生3:AIが将来の宇宙探査や植民地化にどのような役割を果たすと考えていますか?
サム:宇宙は生物の生命にとってあまり歓迎されない環境ですので、ロボットを送る方が簡単だと思います。
アイデアの革新的誰の視点で見たかに寄る
学生4:自分の経験や常識にとらわれすぎると、本当に新しいアイデアが出にくくなってしまい、一般的な発想の枠を超えたアイデアを生み出すのは簡単ではありません。その判断の仕方を教えてほしいです。
サム:今日でもAI分野は起業するのに人気の的となっていますが、それには一定の理由があるでしょう。AI技術は今、大きな変革期にさしかかっているからです。
しかし、そのアイデアが革新的で斬新なものかどうかは、誰の視点から見るかによって判断が分かれます。一般公衆はテクノロジーに対してテックコミュニティとは異なる見解を持っており、さらにテックエリートはテックコミュニティとは異なる視点を持っています。
学生4:あなたのアイデアが十分に非コンセンサスであることをどのように確認しますか?
サム:まず第一に、本当に重要なのは正しいことです。反対意見を持っていても間違っている場合は、やはり間違いです。もし過去に17回の不況を予測して、実際に当たったのが2回だけなら、その2回はたまたま当たっただけかもしれません。
このやりとりはスタートアップを目指す学生とのやりとりで一般的ではないので解説しますと以下のようになります。
この学生の質問は、「あなたのアイデアが十分に非コンセンサス(一般的な意見と異なる)であるかどうかをどうやって確認するか」ということについて尋ねています。基本的には、どのようにして自分のアイデアが他人と異なっていて、それが成功する可能性があるかを確かめるかという質問ですね。
この質問は、特に起業家精神や革新的な考え方を持つ人々にとって重要な考え方です。一般的に受け入れられている考え方と異なる視点やアプローチを持つことが、しばしば新しい発見やビジネスの成功につながるからです。しかし、ただ異なるというだけではなく、そのアイデアが正しく効果的であることが重要であり、そのバランスをどのように見極めるかが、この質問の核心部分です。
サムはこれに対して、反対意見を持つことは良いが、ただ異なる意見を持つだけでなく、その意見が実際に正しいことが重要であると答えています。また、過去に多くの誤った予測をしてきた人が、たまたま正解したことがあっても、それは必ずしもその方法が有効である証拠にはならないと指摘しています。これは、新しいアイデアやアプローチを評価する際には、その根拠や理論がしっかりしているかを重視するべきであるという考えを示しています。
Yコンピネーターで培ったサムのスタートアップを見る目
サムが語っているポイントは、Y Combinator(YC)での経験に基づいた成功するスタートアップの見極め方と密接に関連しています。
サム・アルトマンがY Combinatorの一部として関わり、その後著しい成功を収めたスタートアップの一つがAirbnbです。Airbnbは、2009年にY Combinatorのプログラムを通じて資金調達と指導を受け、それが彼らの事業拡大と成功の重要なステップとなりました。この事例は、ビジョンが明確で、市場のニーズに応える斬新なアイデアを持つスタートアップが、適切なサポートとリソースを得られれば、どのように世界的な影響を与える企業へと成長するかを示しています。
サム・アルトマン解任劇についての質問
学生5:会社を去って戻ってきたことから学んだ教訓は何ですか?また、マイクロソフトからもオファーがあったと聞いていますが、もっと詳しく教えていただけますか?
サム:学んだ最大の教訓は、私がいなくても会社を運営できる、信じられないほどのチームがいたということです。実際、数日間は彼らが会社を運営しました。また、チームが非常に回復力があるということもわかりました。私たちはこれからもAGIに到達するまでの間にさまざまな地域から強い感情的反応があり、問題が起こることを知っています。
多大なプレッシャーのもとでチームがうまく機能すると思っていましたが、実際に実験を行ってみるまでは本当にわかりません。実験を行って、チームが非常に回復力を持ち、会社を運営する準備ができていることを学びました。
戻ってきた理由についてですが、実は翌朝、取締役会から電話があり、「戻ってこないか」と聞かれましたが、私は「いや、怒ってる」と答えました。それから考え直し、私がOpenAIと、そこで築いた人々、文化、ミッションをどれだけ愛しているかに気づきました。一緒に完遂したいと強く感じました。
非営利団体OpenAI設立の意図
インタビュアーが「OpenAIの非営利団体が営利企業を所有するという構造について話しませんか?」という提案にたいし、サムはこう言っています。
私たちの目的は単にAI研究を進めること
このようにサムは続けました。
AIシステムが自らの不安や不確実性を外部に伝える能力
インタビュアーの「一般知能の展開や責任あるAIにおいて、AIシステムが自らの不安や不確実性を認識し、それを外部に伝える能力がどれほど重要だと思いますか」という質問についてのサムの答えがこちらです。
下記は、1月執筆のNoteですが、スタンフォード中退のサム・アルトマンをはじめとするAI開発者を多く輩出しているコンピューターサイエンス専攻学生が急増している現象を解説していますので合わせてご覧ください。
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