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サム・アルトマン、ベーシックインカム研究機関の役員として初の成果を報告
サム・アルトマンが役員をしているオープンリサーチチームが、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)に関する研究の第一成果を公開した事を彼はXにポストしました。
the openresearch team releases the first result from their UBI study:https://t.co/8YXBwVeQeW
— Sam Altman (@sama) July 22, 2024
great, diligent work over the past few years. proud of the team!
オープンリサーチチームがUBI研究の最初の結果を発表しました。 https://openresearchlab.org/findings 過去数年間にわたる素晴らしい勤勉な仕事。チームを誇りに思います!
以下、サム・アルトマンが役員として関わるこの研究機関の大規模なUBI実験を説明していきます。
「無条件の現金給付研究」研究の目的
「Unconditional Cash Study(無条件の現金給付研究)」は、OpenResearchが実施しているベーシックインカム(UBI)に関する重要な研究プロジェクトです。この研究の主な目的は、無条件で現金を給付することが個人やコミュニティにどのような影響を与えるかを評価することです。特に、経済的、社会的、心理的な側面からその効果を多角的に調査しています。
研究の背景
この研究は、現代社会における経済的不安や貧困の問題を解決するための新しいアプローチとして、UBIがどのように機能するかを理解するために設計されました。近年、技術の進化や自動化の進展により、多くの職業が消失しつつある中で、UBIは安定した収入を提供し、人々の生活を支える方法として注目されています。
研究の方法
研究では、以下のような方法を用いてデータを収集し、UBIの影響を評価します:
ランダム化試験:無作為に選ばれた参加者に対して、一定期間にわたり無条件で現金を給付します。これにより、UBIの影響を客観的に評価することができます。
長期的な追跡調査:参加者の経済的状況、生活の質、精神的健康、社会的関係などの変化を追跡し、UBIが与える多面的な影響を分析します。
定性的なインタビュー:参加者とのインタビューを通じて、UBIがどのように彼らの生活や選択に影響を与えたかを深掘りし、具体的な事例を収集します。
期待される成果
この研究から得られるデータと知見は、以下のような分野での理解を深めることが期待されています:
経済的安定:UBIが個人の経済的不安をどの程度軽減し、消費や貯蓄、投資などの行動にどのような影響を与えるか。
精神的健康:安定した収入が精神的なストレスや不安を軽減し、生活の質を向上させるかどうか。
社会的影響:UBIがコミュニティ内の社会的結束や人間関係にどのような影響を与えるか。
社会へのインパクト
「Unconditional Cash Study」の成果は、政策決定者にとって非常に重要なデータを提供します。この研究は、UBIの実現可能性やその効果についての具体的な証拠を提供し、UBIの導入に向けた議論を進めるための基盤を築くことを目指しています。
無条件に現金給付対象者の選別について
「Unconditional Cash Study」での参加者の選別方法については、具体的な情報が提供されていない場合が多いですが、一般的にこのような研究で使用される手法を説明します。
一般的な選別方法
ランダムサンプリング:
無作為抽出:対象地域やコミュニティから無作為に抽出された参加者を選びます。これは、バイアスを最小限に抑え、結果をより信頼性の高いものにするための方法です。
層別抽出:人口統計情報に基づいて層別化し、各層から無作為に抽出することで、特定のサブグループが十分に代表されるようにします。
応募制:
公募:対象地域やオンラインで募集を行い、応募者から無作為に選ばれる方法です。この方法は、広範な参加を促し、より多様なサンプルを得ることができます。
特定基準に基づく選定:
所得レベルや雇用状況:特定の所得レベルや雇用状況の参加者を対象にすることで、研究の焦点を絞り込むことができます。
地理的条件:特定の地域やコミュニティを対象にすることで、その地域特有の影響を評価することができます。
具体的な手法の推測
OpenResearchが行っている「Unconditional Cash Study」では、以下のような具体的な手法が使用されている可能性があります:
地域コミュニティとの連携:地域のコミュニティ組織や自治体と連携し、参加者を募集する。
オンラインプラットフォームの利用:オンラインでの応募を受け付け、無作為に選定する。
統計的手法:層別抽出や無作為抽出を用いて、参加者が特定の人口統計的特性を反映するようにする。
実際の選別方法の確認
具体的な選別方法については、OpenResearchの公式発表や報告書に記載されている可能性があります。これらの資料を確認することで、詳細な手法やプロセスを知ることができます。
無条件の現金給付研究の成果
OpenResearchの「Unconditional Cash Study(無条件の現金給付研究)」の成果を以下にまとめます。
雇用率と労働時間の影響
雇用率の変化:
全体的な増加:研究期間中、受給者と対照群の両方で雇用率と労働時間が大幅に増加しましたが、対照群の増加がより大きかったです。
受給者の雇用率:平均して、受給者は対照群よりも2パーセントポイント低い雇用率でした。
労働時間の減少:受給者は対照群に比べて週平均1.3時間少なく働いていました。
多様な再配置:参加者ごとに大きなばらつきがあり、現金が人々の主体性を高め、個々の状況、目標、価値観に応じた雇用決定を行うことができることを反映しています。
パンデミックの影響:
開始時の状況:COVID-19パンデミックの影響で、研究開始時の失業率は高く、受給者の58%、対照群の59%が雇用されていました。
プログラム終了時の状況:プログラム終了時には、雇用率は受給者で72%、対照群で74%に上昇しました。
雇用期間の比較:
年間の雇用状況:研究の2年目と3年目では、受給者は対照群に比べて年間約8日(0.26ヶ月)少なく雇用されていました。
雇用のばらつき:受給者と対照群の雇用状況には大きなばらつきがあり、これは各グループ内での個人差が影響しています。
労働時間と所得の影響
労働時間の比較:
平均労働時間:受給者と対照群の両方が平均20~28時間週に働いており、対照群の方が若干高いものの、信頼区間の幅が示すように統計的に有意な差はありません。
所得の違い:
個人所得:受給者の個人所得は対照群より平均$1,500(約4%)低かったです。
世帯所得:受給者の世帯総所得は対照群より$2,500~$4,100(約5%)低かったです。
現金給付の全体的な影響
全体の所得増加:
受給者の平均所得:現金給付を含めると、受給者の個人所得は対照群より約$10,000高く、世帯総所得も約$6,100高かったです。
この研究結果は、無条件の現金給付が個人や家庭の経済状況に与える影響について、特に雇用と所得の面での具体的なデータを提供しています。受給者は対照群に比べて労働時間が若干少なく、所得も低いものの、現金給付を含めると全体的な所得は高いことが示されています。
これらの結果は、無条件の現金給付が個々の状況に応じた柔軟な雇用決定を促進し、人々の主体性を高める可能性を示唆しています。しかし、ばらつきが大きいため、さらなる研究が必要です。
UBI研究結果まとめ
この研究の結果から、無条件の現金給付が個々の状況に応じた柔軟な雇用決定を促進し、人々の主体性を高めることが示されました。現金給付は、受給者にとって選択肢を広げ、彼らの生活の質を向上させる手段となっています。さらに詳細な分析や今後の研究が必要ですが、初期の成果はUBIの潜在的な利点を示す重要な一歩となっています。
仕事選びの自由度の向上
仕事選びの自由度:
受給者の発言:「現金給付と貯蓄のおかげで、初めて仕事を選べる立場に立てました…今すぐ収入が必要だからといって悪い仕事を選ばなくて済むんです。自分に合った仕事を探す余裕があるんです。」
興味や意義のある仕事の重要性:仕事を探している受給者のうち、5.5パーセントポイントが「興味や意義のある仕事」を重要視する傾向がありました。
求職活動の活発化:
求職活動:プログラム期間中、受給者は対照群に比べて6パーセントポイント(10%増加)求職活動に積極的でありました。
仕事の応募:受給者は対照群に比べて4.5パーセントポイント(9%増加)多くの仕事に応募していました。
時間の使い方と生活の質の向上
家族との時間の優先:
具体例:ある受給者は、仕事を辞めて3人の子供をホームスクールすることを選びました。別の受給者は、週50時間働いていたのを半分に減らし、息子と過ごす時間を増やしました。
教育や訓練の優先:
具体例:ある受給者は、事故後に仕事を辞め、現金給付を利用して職業訓練プログラムを完了し、最終的には多国籍企業でのフルタイムの職を得ました。
健康の優先:
具体例:健康問題を抱える受給者は、現金給付を利用して治療を受け、仕事を減らすことができました。別の受給者は、現金給付を生活費に充て、必要な手術を受けることができました。
休息の優先:
具体例:ある受給者は、長時間労働から解放されるために現金給付を利用し、精神的な健康を優先しました。
現金給付の全体的な影響
柔軟性の向上:
生活の質の向上:受給者は、基本的な生活費を満たすために追加の収入を得る必要がないため、介護、レジャー、学習、探求などの他のニーズを満たすための柔軟性が高まりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1721675165497-Nu7TAjL91Q.png?width=1200)
グラフ内の文言の日本語訳
The Effect of Cash on Daily Time Use: 現金が日常の時間使用に与える影響
Minutes Fewer: 分 少ない
Minutes More: 分 多い
Work: 仕事
Sleep: 睡眠
Childcare: 育児
Other Jobs: 他の仕事
Community: コミュニティ
Caring for Others: 他者の世話
Self-Care: セルフケア
Home Production: 家事生産
Solo Leisure: 個人レジャー
Driving: 運転
Social Leisure: 社会的レジャー
The effects for time spent searching for a job (-0.30), exercising (0.12), and self-improvement (-0.41) were non-significant and close to zero and have been excluded for legibility.: 仕事探し(-0.30)、運動(0.12)、自己改善(-0.41)に費やす時間の効果は有意でなく、ほぼゼロに近いため、読みやすさのために除外しています。
* Denotes significance at 0.10, ** denotes significance at 0.05, *** denotes significance at 0.01.: * 有意水準0.10、** 有意水準0.05、*** 有意水準0.01を示します。
オープンリサーチ構成メンバー
コアメンバー
OpenResearchのコアメンバーは次の通りです:
エリザベス・ローズ:研究ディレクター、質的・量的主要研究者
テス・コッター:戦略・オペレーションマネージャー
カリーナ・ドットソン:リサーチ・インサイトマネージャー
アリスティア・キニス:戦略・パートナーシップディレクター
パトリック・クラウス:データディレクター
ジョシュア・リン:データアソシエイト
イエセニア・バルガス:質的研究者
学術パートナーシップ
OpenResearchは、学際的な学術パートナーと緊密に協力し、研究を豊かにしています。以下は主なパートナーです:
アレックス・バーティック:イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校経済学助教授
デイビッド・ブルックマン:カリフォルニア大学バークレー校政治学准教授
サラ・ミラー:ミシガン大学ビジネス経済学・公共政策准教授
サンドラ・スミス:ハーバード大学ケネディスクールの犯罪司法教授
エヴァ・ヴィヴァルト:トロント大学経済学助教授
ジェシカ・ウィーダースパン:ミシガン大学社会学・社会福祉学博士、シニア質的研究者
研究を導く専門家集団
OpenResearchの研究は、多くの著名な専門家によって指導されています:
マリアンヌ・バートランド:シカゴ大学経済学教授
エド・ドラン:ニスカネンセンターシニアフェロー
グレッグ・ダンカン:カリフォルニア大学アーバイン校教授
ナタリー・フォスター:Economic Security Project共同議長
デイビッド・グラスキー:スタンフォード大学教授
ローレンス・カッツ:ハーバード大学経済学教授
コンニー・ラッザ:Future Currentsエグゼクティブディレクター
ルーク・シェーファー:ミシガン大学教授
エルダー・シャフィール:プリンストン大学教授
マイケル・ストレイン:American Enterprise Institute経済政策研究ディレクター
タヴニート・スリ:MITスローンスクール応用経済学准教授
アルフォード・ヤング・ジュニア:ミシガン大学教授
サンドラ・スミス:ハーバード大学教授
レイチェル・シュナイダー:アスペン研究所Omidyar Network起業家
役員
OpenResearchの役員は、組織のミッションを支援し、研究の重要性を訴えるために重要な役割を果たしています。
サム・アルトマン:役員
クリス・クラーク:役員、最高執行責任者(COO)
Chris Clarkのプロフィール
Chris Clarkは、OpenResearchの役員兼最高執行責任者(COO)として、組織の運営と戦略の実行を担当しています。彼は、OpenResearchのミッションを支援し、研究の重要性を広めるための活動を行っています。
経歴と役割:
経歴:Chris Clarkは、技術と公共政策に対する強い情熱を持ち、以前はOpenAIの初代COOとしても活動していました。また、Y Combinator Researchの運営にも関わり、さまざまな技術革新プロジェクトを推進してきました。
役割:OpenResearchでは、戦略的な方向性の設定や日々の運営を監督し、組織が目指す目標を達成するための重要な決定を下しています。
UBI構想のためにサム・アルトマンが支援するワールドコインについて
筆者が去年の8月からGrantし始めたワールドコインは、一時1400円位になってたいましたが今は370円で推移しています。スペインがワールドコインを禁止したあたりから下落し始めました。
![](https://assets.st-note.com/img/1721673239779-c2t9tkRLEA.jpg?width=1200)
ワールドコインはサム・アルトマンが関与している暗号通貨プロジェクトで、特に基本所得(UBI)に関連した新しい経済モデルを提案しています。このプロジェクトは、全世界の人々に公平に配布されることを目指しており、特にテクノロジーの進化による経済的な変化に対応するための試みです。
ワールドコインの価値変動について:
初期のGrant: ワールドコインは最初の配布時に、価値が一時的に急上昇することがあります。これは新しい暗号通貨プロジェクトに対する市場の興奮や投資家の関心が高まるためです。
価格のピーク: 去年の8月には一時20万円(おそらく一つのコインあたり)に達したというのは、市場の期待や初期の投機的な動きが原因です。新しいプロジェクトではこうした急激な価格変動がよく見られます。
現在の価格: 今は4万円程度に下がっているとのことですが、これは市場の調整やプロジェクトの進捗状況、全体的な暗号通貨市場の動向などが影響しています。暗号通貨の価値は非常に変動しやすいため、価格が変動するのは普通のことです。
ワールドコインの意義: ワールドコインは、テクノロジーと経済の新しい融合を試みており、特にグローバルなUBIの実現に向けた実験的なプロジェクトとして注目されています。以下のような意義があります:
グローバルな金融包摂:すべての人々に公平に暗号通貨を配布することで、金融包摂を促進します。
UBIの実験:基本所得の概念を実際に試すことで、その効果や課題を実証しようとしています。
テクノロジーの活用:ブロックチェーン技術を活用し、透明で信頼性のある方法で資金を配布します。
ワールドコインの詳しい情報は以下のNoteにまとめましたので併せてご覧ください。
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