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ねこが来た(5〜6月)

2020年5月31日、うちのベランダにやってきた猫についてのメモ。■で日を区切ってます。

5月

■白い猫さんベランダに現る。煮干しをやる。


6月

■今日もやって来た。

左耳のさきが三角に切られているのは避妊・去勢済みのしるしで、その手術をうけた猫を一般に「地域猫」、または欠けた耳のかたちを桜の花びらに見立てて「さくら猫」と呼ぶんだそうだ。地域猫活動(TNR)を徹底した地域からは10年程すれば野良猫がほとんど見られなくなるらしい。てことは、いま目に前にいる猫は我が町さいごの野良猫族になるんだろうか。「さくら猫」とは一代限りの生を一斉に散る桜に重ねられる点でぴったりとして、生々しくもあるネーミングだと思った。

世話するにあたって一応きいておこうと、動物愛護センターに電話した。敷地内の餌やりを推奨とのこと。

■来た。手渡しで煮干しをやろうとしたらパンチを受けた。初めての接触は右手親指からの出血。

■今日も居る。日が沈んで薄暗くなった頃にベランダから降りていった。あとをつけると室外機の横で丸くなっていた。

■よくベランダの椅子で寝てるのをみかける。雨宿りできるように椅子をテーブルにひっつけておくことにする。

命名。たまちゃん

■椅子の上でごろごろしてるたまちゃんに向かっておそるおそる手を伸ばし、初めて少し撫でることができた。しかし触りすぎるとパンチがとんで来る。

爪研ぎ、カリカリ、ちゅーる、丸いかごなど、いくつか猫用品を買い揃えた。

🐈‍⬛煮干は塩分が高く腎臓によくないと聞いたので、猫用の減塩煮干しにかえたけれど、カリカリの味を覚えてからはあまり好んでは食べなくなっていった。

■ときどき自分からこちらに寄ってくるようになった。くいもんくれのサインでもありそう。

夕方再び尾行すると今度は見失ってしまった。あれから室外機のそばでは見かけない。いったい夜どこで寝ているのか。

■爪研ぎにまたたびを振りかけておいたら、そこをよく嗅いだあと体をこすりつけて喜んでいる。ちゃんと爪も研ぐ。穴でも掘るように背中を丸め、ガリガリと気持ちのいい音を出して。

■ホームセンターで買ったすのこを段差つけて設置。乗るようになった。

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■もう撫でてもあまり嫌がらない。しぐさが穏やかにみえる。顔を合わせると挨拶するようにニャーンと鳴く。

嵐が来たときの避難所として土間の一部に入れることを検討。

■ちゅーるで屋内へおびき寄せたら入ってくつろいでいた。かごにも丸まって入る!

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撫でながら、初めて低くゴロゴロいうのを聞いた。たぶん今までも鳴らしてたけど外の音に紛れてわからなかったんだろう。

■たまちゃんを持ち上げて移動できた。が、抱いたまま階段を降りようとしたら暴れて逃げた。その際にひっかかれ腕から出血。

たまちゃんの左足の底面は真っ黒で、これははじめ外で寝てるから泥だらけなんだろうと思っていたけど、いくら手で払ってみても色は落ちない。となると何かの病気なんだろうかと心配になったが、そうでもない。ただの毛色なんだった。『長靴をはいた猫』はその模様が元ネタとも言われて、またクリントン元大統領の飼い猫も足が黒いのでソックスという名前だったらしい。

それから、この子はずいぶん外斜視の猫なんだなと思っていたけどそれも違う。猫には眼球とまぶたの間に瞬膜というシャッターのようなものがあり、それの加減で虹彩が外側に向いているようにみえるだけだった。

自分には猫についての知識がほとんどない。

■陽の当たるところに放置していた金属製の皿にえさを入れたら、たまちゃんは口をつけた瞬間とんで逃げた。さわると皿が熱い。猫舌を目撃したわけだ。容器は日陰に置かないといけない。

抱いて膝にのせることに成功した。すぐ降りてしまうけど。

■茶色のキジトラと黒猫がベランダにやってきた。黒猫はたまちゃんと同じメスの地域猫(左耳が切られているのはメスで、右耳がオスらしい)。キジトラのほうは耳が無事だから性別はわからないけど、なんとなく体格からオスにみえる。両方たまちゃんより年長に見えて、そのぶん人にたいする警戒心も育っている様子。気安く近寄ってはこない。2匹をどの程度お世話していこうかという悩みが発生。

■雨をしのげる場所をと思い注文した猫の小屋(コロナ給付金をあてた)が届き、1時間かけて組み立てた。最初に小屋にやってきたのは茶キジトラだった。たまちゃんは中に入らない。屋根の上が好きらしい。

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■小屋の中にエサを置いて、たまちゃんのおしりを押して、半ばむりやり小屋2階へ入れてみた、そのとき夕立がザーッと来た。それから私が離れても、たまちゃんは小屋のなかで寝転んだままいた。

■キジトラは週に1度、黒猫は3日に1度くらい姿をみせる。

数日前、小屋に敷くマットにまたたびをふってみたら、初めに嗅ぎつけて来たのは黒猫だった。それ以来たびたび小屋付近をうろつく(あるいは中にいる)黒猫をみかけるようになった。カリカリを置いてやると、ひとの視線が切れたのを確認してから口をつける。

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戸をあけたり近寄ろうとすると、黒猫は逃げて、微妙な距離をとってこちらをうかがう。たまちゃんは黒猫が来ると背中を丸めて固まってしまう。体格から推測するに、もし2匹が喧嘩になったなら黒猫のほうに分があるのは明らかであり、そうするとたまちゃんはベランダから追い出されるのかもしれない。猫の世界のことはよくわからないけど。それはちょっと困る。

■きのう玄関先にて、たまちゃんと黒猫が睨みあってるところに遭遇。黒猫は声を荒げ、たまちゃんの顔すれすれにパンチした。威嚇が効いた様子のたまちゃんは逃げて、黒猫はそれを追いかけて消えた。ついになわばり争いが始まったのか。夕方になってもたまちゃんはベランダに姿をみせなかった。

2度と会えないのかもしれないと思ったけど、今日は何事もなかったようにやって来て、するりと初めて自分から小屋に入った。

■会えば寄ってきて、足元でひっくり返るようになった。

撫でても撫でても、ひととき離れてはひっついて来て、またひっくり返るのをくりかえす。ベランダに居る時間が長くなって、ほぼうち(の外)で飼ってると言っていい。

(つづく)

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