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7月

とある猫がベランダに迷い込んでからの日付のない日記、7月分です。


■釣りのおもちゃで遊ぶのとブラッシングが日課になった。今は生えかわりの時期のようで、細い毛がよく取れて綿飴を作ってるみたいな気分になる。しっかりブラシをかけてから撫でるとさらにふわふわした感触で、見た目にも柔らかい。

■大雨だった昨日、初めて一晩小屋のなかで寝ていた模様。よかった。

■夜。しばらく黒猫が来ないなと思いながらカーテンをあけたら、黒猫が小屋に入っていた。私が戸をあけると、黒猫は小屋から出て、それを確認したたまちゃんが屋根から降りてきた。たまちゃんはすみに隠れ、黒猫は距離をとってこちらをみている。そこで私は、ドンと足を鳴らして、黒猫を追い払う仕草をした。きみがベランダに来るのは歓迎する。食べものをあげる。しかしこの小屋だけはたまちゃんに譲ってくれ──と。もちろん猫にそのような意図は通じないから、脅かしただけになってしまった。黒猫は驚いて階段を降りていった。

罪滅ぼしに黒猫に餌をやろうと、少しはなれたところにカリカリを置いて待っていたら、たまちゃんがついて来ていたらしく全部食べてしまった。

🐈‍⬛後々、自分はこの日の出来事を何度も思い返すことになった。思わず足を踏み鳴らしたのは、黒猫は十分に育っていて、つまりどこかに縄張りがあり食料をもらっている筈だが、比べてたまちゃんは幼く、拠点をここに頼っている弱い猫の世話を優先しなければならないと思ってのことだった。でもそれは何か、両者の待遇に差をつけるための内なる方便でもあった気がする。というのはあとで写真を見比べてみれば、2匹には記憶ほど大きな体格差がなかったことに気づいたから。

たまちゃんと黒猫、もし2匹がくる順番が逆だったら?自分は黒猫の方を「たまちゃん」と名付け、現たまちゃんを「白猫」または「しろ」と曖昧に呼んで、そちらを小屋から追い払っていたのではないか。その可能性について考えさせられる。

■雨の日が続いて、小屋にいる時間が長くなってきている。

■黒猫は時々来ているけどたまちゃんが場所を譲る気はなさそうだ。最近はフーッと威嚇の声も出す。見守っていこう。

左目を開けにくそうにしていたので、シートで目脂を取ってやる。目脂は毎日つけて現れるが、少しずつ良くなってきてるように見える。触ると体格ががっちりしたのが分かって、とりわけ首の筋肉がたくましく育った。ただ全体に丸っこくなり、お腹も少し出てきているから、これからは餌の加減を考えた方がいいかもしれない。

■今日も夕方に去っていくたまちゃん。はじめは自分で決めた場所に眠りに行っていると思っていたけど、あとを追っていくうちにそうじゃないことがわかってきた。太陽が沈んでからが野良猫の活動時間らしい。ほかの猫たちと何やらかけひきをしたり、虫をとったりして、どうやら昼間よりもよく動いている。

■このところ人の生活が気になりはじめたか、外から屋内をよく覗いてる。夜、窓越しにみえるたまちゃんは部屋の明かりを受けてぼやっと白く光る。黒を背景に浮き上がって幽霊みたいだ。瞳孔が膨らんで闇をうつす目は深い穴のようで、異界にたしかなリアリティがあったむかし彼岸までお供する生き物と考えられていたのも肯ける。

昨日は真夜中ツタの中にいる真っ黒いカミキリムシを捕らえていた。

■膝の上に長い時間乗るようになった。猫の前足は手と呼びたくなるくらい器用に動く。こちらが呼びかけたり撫でたりするとグーパーするのは、リッラクスしてご機嫌のサインなんだろう。そのグーパーが膝の上に乗せているときには棘となってささる。たいした痛みではないけれども、撫でてやるほどこちらは足がちくちくするので落ち着かない。

最近は部屋に戻ろうとすると足をつかんで止めようとする事もある。厚めのパンツが必要だ。


■今日は小屋にいるのをみなかった。夜中ときどき確認したが戻ってこない。翌日、朝6時にカーテンをあけるとブラシがいつもと違う場所にあり、それを乗せていたツイタテがひっくり返って、そばにたまちゃんが座っていた。

一食抜いたせいか餌をいつもより熱心に食べる。ひとしきり撫でて部屋に帰ろうとすると、また引き止めるように足をつかんできた。猫は単独行動を好むそうだから寂しがらないと思っていたけど、人に馴れた猫はそうでもないらしい。猫に馴れてしまった人と同じなんだろう。

■夕方椅子に座ってたまちゃんを膝に乗せた。体をくの字に折りたたむ姿勢だったのが、撫でているうちに右向きにすわり、そのうちこちらを向いてふせをして、最後には丸まって両足の間にすっぽり収まった。爪も立てない。そのままの姿勢で20分ほど。今日は雨が降って涼しい。

冬になったら今の北風があたる小屋では寒すぎるのでどうしようかと考える。小屋に毛布をしいてビニールののれんをつけるのが最低限の策。いっそ小さなビニールハウスで小屋を囲うのはどうだろうかと思うけど、ベランダに適当そうなものが見つからない。強風に耐えられるかも問題になるだろう。

もう一つの案として、外から直接入れる私の寝室を猫に貸すことを考える。でも鳥の部屋と区切られるとはいえ不安は残るし、たまちゃんの活動時間は夜だから閉じ込めることになってしまう。それと、一度入れてずっと部屋に居たがった場合に、なにかバランスが崩れるような気もする。何のバランスなのかはよくわからないけど。

そういえば内田百閒も文鳥を飼いながら猫の世話をしていた人で、最初の猫は文鳥の部屋に寄らないように覚えさせ、2匹目はそれでも入るから頭を叩いて躾けたと書いていた。ずいぶんいい加減なゾーニングだし、きっと真似しない方がいい。

■段ボール製の爪研ぎをベランダに置いたら横殴りの雨にやられてふやけてしまった。そこで爪を研いだようで一気にぼろぼろに。

■屋根の上でごろごろするたまちゃんをみた。猫は屋根が似合う。このごろは呼んだら少々遠くてもやって来る。

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■日が沈むとたまちゃんは爪研ぎの上でのんびりていることが多い。爪研ぎを壁に引っ付けようと少し押したら危うく引っかかれそうになった。今までも動かす際に何回か怒られたことがある。

猫の習性で意外だったのは、餌を食べているときに触っても反応しないが、居場所をいじると抵抗するところ。それと対照的に、私の知る犬は、居場所の整理で気を立てることはあまりなく、餌を食べているときは最大限警戒して、こちらがちょっかいを出すと時折かみつく素振りをみせた。

犬は群れで生きるから取り分にうるさくないと一食の量が減ってしまう危機感をもつけれども、猫は単独性だからそのへん頓着しないということなんだろうか。どこまで一般化していいかわからないけど。犬は人につき猫は家につくという言葉が思い出される。とにかく、食事中のたまちゃんは落ちつき払っている。

そういえば二度目にちゅーるをあげたとき、上から皿に垂らしいれてたら途中でたまちゃんが食べはじめて、後頭部にちゅーるが少しついてしまったことがあった。すぐに布巾を取りにいって、いやがる猫との格闘を覚悟したけど、食べている最中にあっさり拭き取ることができたのだった。

■夜中の2時ごろガタンと外で音がしたので見に行くと、黒猫とたまちゃんが睨みあっている。久しぶりに会った黒猫は、しかし私をみるとさっと姿を消してしまった。それからゴミ出しにでてみたら、たまちゃんがあとをつけてくる。車通りのある道に近づくので「危ないよ」といって追い払う仕草をすると、かしこく家の方へ戻っていった。

帰りにたまちゃんをみかけなかったので心配になり、ぐるっと家の周りを回ったら、白い尾っぽが視界に入り、するする自分と並走して、そのまま一緒にベランダまで帰った。

■私がベランダからうちに入るとき阻止しようとするやり口が変わってきた。別れを察知するとたまちゃんは伸びする姿勢でドアをおさえてこちらを1度みる。それでも私が戸を開けると、隙間に割りこんで通せんぼし、手をあげて(手と書いてしまった。前足をあげて)私の足をつかむ姿勢をみせる。そこで私はたまちゃんを抱いて、向こうへ放り投げてするっと入り込む。毎回ちょっとしたコツが必要になった。

■夜ためしに初めて寝室へ入れてみた。たまちゃんはまずベッドの下にもぐりこみ、それからベッドボードに軽く飛び乗った。予想外のことが起きるだろうと予想していた通り、猫の動きは予想がつかない。10分ほど部屋をうろうろして、窓を開けたら出て行った。

🐈‍⬛当たり前の話だけど、野良猫は内と外のくぎりをドアや窓では判断しない。猫は猫の環世界で、猫の縄張りをみつめて暮らす。話によればメスの縄張りは少しずつ重なり合い、オスはメス数匹の範囲をぐるりと取り囲むように生活圏をつくるらしいから、より厳密にいうならかれらは人のようにくっきりとした内外の概念を持っていないことになる。私はそれで、やすやすと人の境界をこえていく猫の生き方に魅力を感じて、あまりこちらの都合に付き合わせたくないと考えるようになった。けれども他方、安全な囲いに入れてやりたい気持ちも強いのだった。

野良猫問題や内猫外猫にまつわる倫理は、何かひとつの原理から法を作れるものではなくて──喩えるなら、全員が入れるような巨大なビルを建てるには地盤がゆるすぎるから、それぞれが小屋を設計し、手作りしなくてはならない──よって答えはつねに暫定的であり、それにはまず都市設計がもたらす境界の変化からみるべきことなんだろうと思っていて(たとえば商店街のハエと、コンビニの中にいるハエとでは人に与える印象が変わる。時代の枠組みによる扱いの違いについて)、これについてちゃんと考えてみたいけど、自分の手に余る主語の大きな話になりそうだ。でもそれは観念的な範囲だけではなくて、この窓をたまちゃんのために開けるかどうかという、じっさいの迷いとして目の前に現れた。同じ意味で以前から、他の野良猫に名前をつけるかも悩ましい。それは猫をどのていど人間の世界へひきいれようとするかと同義であるように思える。我々は動物に固有名を付けることにより、種から個をとりだした気になり、暴力(駆除や食)と保護(管理、ペット化)を分けようとする。これもきっと掘ればたいへんややこしいテーマ。とはいえ、自分はそんなりくつを捏ねるより先に、黒猫を「くろちゃん」と呼び始めていたんだった。

■夜にカーテンを開けるとたまちゃんはハウスにいたりいなかったりする。たまちゃんがいるとき、私はそのまま安心して寝たり、ちょっとベランダにでて撫でてみたり、釣竿で遊んだりする。たまちゃんがいないときは心配しながら寝たり、探しに外へ出てみたりする。外で見つけることもあるし、見つからない場合もある。探すなかでときどきくろちゃんとも出会う。カーテンを開けるだけで、そのようにいくつかの分岐があらわれる。

■たしか出会って3日目、たまちゃんのパンチをくらって親指に穴があいて、うろたえながら絆創膏を貼ったときは猫の表情のない目(その時はそう思った)をみてちょっとぞっとしたものだけど、今やひっかかれても何でもないと思うようになった。痛みはすぐ終わるし、多少血が出たってそのうち治るのだから。たまちゃんは撫でられながら寝返りをうつとき人の手をつかもうと(ついでに甘噛みも)する癖があるようで、とりわけその時によく傷をもらっていたけど、最近はあまり爪を立てないし力加減するようになった。爪の出し入れはグーパーのときによくあらわれて、その度に、攻撃と戯れを分ける身体の繊細さに目を奪われる。

子供の頃は動物と会話できればいいのにと思ってた気がするけど、考えを言葉でそのまま伝えられるという前提がだんだんと崩れてきたもんだから、言葉で何かを穴埋めし続けてるような自分よりも、よっぽど動物はそのままで良いと思うようになった。動物の考えは文字通り動きのなかにある。

■夜、たまちゃんが小屋にいないので探すと、爪研ぎの上で寝ていた。たまちゃんは戸が開いたのをみて、自分の居場所を知らせるようにニャーと鳴いた。その日は濡れないように爪研ぎを椅子の下に置いていたから、挟まれた空間になっていたところを気に入ったのかもしれない。狭いスペースに雨上がりのすずしい夜風が通り抜ける。私が椅子に座ってもたまちゃんはあまり気にならない様子で寝転んだままだったけど、手を伸ばすとそれを軽く前足でふりはらった。

🐈‍⬛昨日みた夢

1日中黒猫と遊んだあと、部屋に招きいれて、夜にベッド横のちぐら(それは今買おうか検討しているちぐらだった)でその子を寝かせようとするとき、猫の口に灰色のマスクがついているのに気が付いた。マスクは太陽光のもとでは透明にかわる特殊な素材でつくられていて、日が暮れたいまやっと見えたらしい。そのマスクを外してやるために、私は猫の飼い主に電話をかけて許可を取ろうとする。しかし番号は不明。

猫をみると、顔の周りに数字の群れが浮いている。数字は湯気のようにふわふわ漂い、さらに増え、ゆっくりと回転をはじめた。それは巨大な金庫の鍵を連想させる。どうやら猫は飼い主の電話番号を教えようとしてくれているようだ。けれども数字の正しい順番までは伝わってこない。もどかしい。

■先月近所の税理士のTさんに聞いたところによると、Tさんの家にもさくら猫が来ていたことがあるらしい。Tさんは地域猫というくくりを知らず、耳の欠損は猫同士の喧嘩でやられた傷だと思っていたんだそうだ。「ちゃんと避けられないくらい弱い子なのかって」と。Tさんにとっては攻撃をちゃんと避けられる技術は、平均的な猫の持つべき資質らしい。それがちょっと面白かった。

その猫はTさんの庭に4年通い、いつの間にかいなくなった。黒い猫だったそうだ。

■たまちゃんが部屋の中を集中してみてるようなのでどうしたんだろうと思ったら、関心はこちらではなく窓にへばりついた虫だったようで、黒い点をネコパンチで叩き落とした。外に出て近づいて見るとその点は、まだ育ちきっていないゴキブリだった。

たまちゃんはひっくり返ったゴキブリをみつめて前足でちょんちょん、しばらく様子をうかがっていたが、相手は反応しない。一撃でやられたか、もともと弱っていたんだろうと思いながらたまちゃんの額をさわって、ふとさっきゴキブリがいた場所をみたら、それは消えていた。これが擬死というものか。とすれば我々は小さな虫にすっかりだまされたわけだ。

■たまちゃんがベランダの階段を見下ろしてじっとしているのを度々見かける。場を守るために見張っているようでもあり、登ってくる仲間を待っているようでもある。

■作業につかれると、ベランダに出てたまちゃんを探してなでて、また部屋に戻るをくりかえす。このところ冷蔵庫を開ける以上の頻度で猫とスキンシップをとっている。

夜の11時頃、茶トラが久しぶりにきて、たまちゃんに向かって低い姿勢を保ちながらニャオニャーオと歌うように鳴きはじめた。猫について薄い知識しか持っていない私でも、これだけ工夫をみせて近づくのは求愛行動にちがいないと推測できる。茶トラは窓越しにこちらを数秒みて(はっきりみえてるのかは不明だけど)いたが、私が戸の鍵を外すカチッという音を聞いたとたん去っていった。社交の時間を邪魔してしまったらしい。

■ベランダの戸をあけるとたまちゃんは3回に2回はこちらをみてニャーと鳴く。そのときすかさず抱き上げて顔を近づけると、高く細い、なんと擬音にしていいかわからない独特の声をだす。嫌がってる様子はないけど喜んでるかどうかもわからない。

■もうたまちゃんに怪我させられることもないのかもしれないなぁと昨日、消えつつあるひっかき跡を記念に撮ってみたけど、今朝また新しく右手に傷をもらった。

■部屋の窓からみえないので探すと、小屋と壁の隙間に隠れるように寝転んでいる。戸を開けても寄ってこないのは今や珍しい。今日は陽射しがきつく夏の熱波がきている。たまちゃんは夕方までぐたっとしていたけれど、夜からは活発に動きだした。しかし餌をやって釣竿で遊んだあと、ゴボゴボと詰まりかけの排水溝みたいな音をだして嘔吐した。吐瀉物は湿ったカリカリだけで異物は混ざっていない。

■朝。元気そうに近づいてきた。餌をあげるとニャーと鳴いてがつがつ食べたけれど、しばらくしてまたもどしてしまった。ささみを茹でて少しだけやる。これは胃におさまった様子。

どうにもひどく暑い。今年1番とニュースが言うとおり、ほとんど暴力的な陽射し。たまちゃんを避難させようと日中土間に入れてみた。また中に入れてささみをあげた。煮干しも少し。食べきってもまだ欲しそうにするけどお互いガマンだ。

しばらく後たまちゃんは外に出て、小屋、階段と場所をかえて、最後は玄関の鉢の前で丸くなっていた。そこに黒い傘をかけてやると、ふえた影のぶん体を伸ばして小さく鳴いた。なんだかおとなしい。とはいえいつもごろごろしてるので、眠いのか、人に構われたくないのか、体調が悪いのか、それらの割合がよくわからない。いずれにせよ、やはり普段より弱っているようにみえる。

日ごろ雨風と寒さの対策には頭を悩ませていたが、暑さについてはあまり気にしていなかった。猫は南国出身の生き物だから大丈夫だろう、程度に軽く思っていた。しかし猛暑時のベランダは並の温度ではないし、ネット検索すると猫だって暑すぎると苦しいとある。そりゃそうだ。当然のことが考えから抜けていた。これからいくらかましな環境を整えてあげたい。

たまちゃんは日が沈むとベランダに戻った。今まで与えていたカリカリが黴びている可能性をみて新しい袋をあけ、少なめに与えた。これからは餌を涼しい場所に保管しておくようにしようと思った。

夜。たまちゃんは手すりから道路を見下ろしている。戸をあけるとそばに来て、しばらくは撫でられるままにしていたけど、急にたちあがり、階段をおりて、玄関前に佇み、いつまでもじっと遠くをみている。私は視界に入っていない。たまちゃんはあの茶トラを待っているんじゃなかろうか。

夜は普段どおり元気になって良かった。それから「普段どおり」の普段が50日ほどで形成されたんだなと思った。50日もたてば当然なのかもしれないけど。その普段はいとも簡単に染み付いていくもので、もうすでに1年くらいは猫と一緒に暮らしているように錯覚してしまう。はじめて犬や鳥を飼いはじめた時もそうだった。驚くべきことに、日常は過去をとりこんでそれを今様に染めようとする。ひとに驚く隙を与えず、知らないうちに。

■おしりと尻尾をつなぐところを撫でると尻尾がよく動くことを発見した。

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今日はよく食べて吐きもしなかった。新調したほうきでベランダと玄関まわりを掃除した。

■一回の部屋に入れて、ピアノとウクレレを弾いて聴かせてみたが特に反応はない。


それから「猫が反応する鳴き声」というYouTube動画を流したらこちらは効果抜群で、たまちゃんは部屋中をくまなく探しはじめた。ひと回りして何もいないのを確認したはずなのに、いつまでも、気の毒なくらい声の出どころを求めてうろうろする。最後にカウンターテーブルに飛びのってやっと落ち着いた。ここに乗るのは初めて、というわけで記念撮影。

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机からおりたあとまたウクレレを弾いてたらいつの間にかたまちゃんは外に出て行ってた。ドアをあけたとき玄関前のたまちゃんに向かって、自転車のうしろに乗せられてた小さな女の子が、通りすがら「たまちゃーん」と呼んだ。たまちゃんと名付けたことは何人かに教えたけど、見ず知らずの子がそれを知っているとは考えにくい。「ねこちゃーん」といったのを聞き違えたのかもしれない。

■朝ごはんをあげてしばらくしたらベランダからいなくなって、帰ってこない。よく雨が降っているので、事故でもあったんじゃないかと心配になり、窓を開けては呼びかけていた。それからトイレにいって戻ったら、たまちゃんはいつの間にか小屋に入っていた。

なにかのおまけについていた銀のスプーン(おいしい餌)をあげるとガツガツと食べた。それから爪研ぎの上で丸まって足を舐めはじめた、と思ったら目を見開いて前足で後ろ足を捕まえようとする仕草をみせた。つぎに自分のしっぽを目がけてパンチをくりかえし、かみつくふりをする。尾が獲物にみえているのか、見立てているのかよくわからないが真剣そうであり、しかし本気で痛めつける気もなさそうだ。最後にしっぽの先端を後ろ足でふんで、首をあげてこちらをみた。

🐈‍⬛また猫の夢をみた

夢の中の自分は黒猫を飼っている。窓から入ってきたその猫がいつまでも離れないので部屋飼いすることに決めたのだった。黒猫と一緒に暮らして数ヶ月経つが、ベッドの脇で眠る猫をみて、おかしい、最初きたのは2匹だったんじゃないかと気がついた。そう、たしかに自分はもう1匹、べつな黒猫を世話していたはずだった。両方同じように大切に思っていたのに、今の今までどうしてあの猫の存在を忘れていたんだろう。忘れることができたんだろう。もう1匹の猫はいつ、どこに行ってしまったのか。探し出さなくてはと考えるけれど手がかりがない。

■キャンプチェア、ハンモック、壁掛けステップ、ちぐら、ガラスの球体がついたハウス、などなど猫の居場所になりそうなものをネットでチェックする日々。ほとんどのものは室内用で、まずはどのていど風雨に耐えられるかがポイントになる。

そういえばと、もう使っていない古い寿司桶をベランダに置いてみた。無理やりたまちゃんを抱いていれたけどすぐに飽きて出てしまう。中に布でも敷いてみよう。

■朝、桶に入っていた。

■円状のレールの上で玉を回す猫用のおもちゃを買った。あまり興味を示さないので私が手本をみせようと回したら、少し怯えたように後退りした。桶にも一度入ったきり寄り付かない。トイレも設置してみたけど使ってくれるだろうか。

夜は手すりに乗っかって玄関のあたりを見下ろしてることが増えた。やはり仲間に会いたがってるようにみえる。

■広間に入れて釣りのおもちゃで遊んだ。

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一休みしようとおもちゃを脇に置いてお茶を飲んでいたら、釣り糸のさきについてるふわふわを咥えて部屋の隅に運び、それをパンチしたり抱いたりして飽きずに玩んでいる。私はうまくおもちゃを動かして興奮させてるつもりでいたが、どうやらたまちゃんひとりでも十分楽しめるものらしい。

半日室内で遊んで今更ながら思ったのは、自分は猫アレルギーなんじゃないかということだ。くしゃみがよく出て目はかゆい。もともとほこりに弱い方だからそっちにやられただけかもしれないけど。

(つづく)

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