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7演技の悩みはどうすればいいか

 演技経験の少ない俳優にとって一番の演技レッスンは、現場で演技経験を積むことです。しかし現場は仕事場であってレッスンではないので演技が出来て当たり前です。
 演技経験の少ない俳優が泣く演技が出来なくて長時間現場を止めてしまった、というのはよくあります。現場は俳優が泣けるようになるのをいつまでも待ってはくれません。どんどん先へ進んでしまいます。一度泣く演技が出来たとしても、もう一度泣く演技を求められても出来ないこともあります。そのままにしておくと、何故泣く演技が出来なかったのか、または出来たのか、何の理由も分からず解決しないままです。

 俳優の演技の悩みは感覚的なことをはじめ技術面など一人ひとり違います。現場の経験だけでは演技の悩みは解決しません。
 泣く演技には泣く演技の仕組みがあります。実際にその仕組みを体験し実感して理解しなければ本当の悩みの解決にはなりません。そこで必要なのが演技レッスンです。

◯演技未経験者は、演技レッスンだからこそ、演技の心づくりと身体づくりをしましょう。感情表現、泣く演技ができるようになることもレッスンで覚えるといいでしょう。その他にも、台本の読み方、台詞の覚え方、役づくり、現場では誰も教えてくれないので、演技レッスンで覚えていくといいでしょう。

◯演技経験の少ない俳優は、現場と演技レッスンを併用するといいでしょう。演技経験が少ない俳優によくあるのが、自分をアピールすることを優先して演じてしまい、本来やるべきことを見失い俳優としてのキャリアが続かないことです。作品には企画意図があり、役には役割があります。演技レッスンで台本の読み方から見直し演技経験を積むと、演出意図が理解出来るようになったり、やるべきことが明確になり自分の演技が出来るようになったり、リラックスして自然な演技に見えるようになるなど、現場での演技に違いが出てきたり、オーディションに受かるなどキャリアが繋がるようにもなります。

◯ご活躍されている俳優は、キャリアを積めば積むほど歳を重ねれば重ねるほど期待が高まり新たなチャレンジが増え、心身の状態が変化するなどの理由で演技レッスンが必要になります。日本の作品がインターネットを通じて世界中で観られる時代、世界を見据えた演技レッスンをする価値はあると思います。


 俳優のサポートで現場に付く依頼があった時に私はその俳優に、「現場で私が視界に入っていた方がいいですか?それとも入ってない方がいいですか?」と質問します。あるベテラン俳優は、「視界に入っていた方がいい」と応えました。私が視界に入っていると安心して演技に臨めるということです。俳優は安心を求めています。同じ作品、同じ役、同じシーンは存在しません。どんなにキャリアがあっても初日は誰でも緊張するものです。不安もあるでしょう。長い舞台公演では日々の自分の状態や観客の反応が違うので毎公演が初めてといっても過言ではありません。その日その時の演技はいつも初めてです。初めてに緊張は付きものです。
 演技レッスンで安心要素を得る俳優もいます。海外ではアクティングトレーナーの存在が俳優の安心要素としても俳優の更なる要素を引き出す役割としても必要不可欠な存在
という価値観があります。演技のパーソナルトレーナーという存在です。

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