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8演技レッスンで覚える

ここの項は、俳優とトレーナーとの経験を併せ持つ私の見解です。

 演技への理解や考え方は俳優それぞれ違います。同じ俳優はいないので自分なりの理解や考え方で良いと思います。それが変化しても良いです。
 本書で紹介することは私の持論です。十五年ほどのレッスンで五百人ほどの俳優のレッスンをしました。どうしたら俳優一人ひとりが自分を活かして観心動の演技が出来るようになるか、自分の演技が掴めるようレッスン出来るか、俳優を自由に柔軟にすることが出来るか、安心してもらえるか、自信を持たせられるか、演技を楽しめるか。レッスンしては話し合いを繰り返しました。監督やプロデューサーに、求める俳優とはどんな俳優かをインタビューし、第一線で活躍する俳優にも沢山の話を聞きました。インタビュー映像や作品を観ては資料を集め、演技レッスンのことを考えてる夢を見るほど考え続けました。そして分かったのが、演技レッスンは、教える教わるの関係が成り立たないことでした。

演技レッスンは、覚えたいという俳優に情報提供しかできない。俳優はその情報を元に自らが体験し実感し理解して覚える。これが私が思う演技レッスンでした。

 これは伝統芸能から学びました。きっと他の芸術や勉強やスポーツ、仕事でも同じだと思います。演技レッスンで何を伝えても、演技をするのは俳優なので、俳優自身が覚えたいと思わなければ、観心動の演技が出来るようにはなりません。
 親が子供に勉強しなさいと言っても、子供が覚えたいと思わなければ勉強をしてくれません。しかし子供が覚えたいと思うことは自分で興味を持ってどんどん覚えて成長していきます。自分なりの感覚で体験し実感し理解して覚えて成長していくのです。俳優も同じです。俳優が演技を体験して実感して理解して覚えて成長していく。トレーナーはそのガイド役とでもいいましょう。
 厳しさもあります。いくら俳優が理解して覚えても演じた結果が全てです。観客の心が動かなければ自己満足の演技になってしまいます。

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