国会最終日。「こども基本法」が成立しました。
6月15日、私にとって初めての議員立法となる「こども基本法」が、参議院本会議で可決・成立しました。法案提出者のひとりとしてこの法案に携わってきた者として、感慨もひとしおです。
しかもこの日は、今通常国会の会期最終日。成立までに思いのほか時間がかかり、なかなかヒヤヒヤする場面もありましたが、日本にとってまたすべての子どもにとって大きな意味を持つ法案ですから、最後まで丁寧に審議を尽くせたことは何よりでした。
こども基本法は、子どもの権利を保障するうえでの基本となる法律です。
子どもの権利についてはまず1989年、国連総会で「子どもの権利条約」が採択されました。日本はこれを1994年に批准しましたが、国内ではこれまで、生存、発達、保護、参加という子どもの権利についての包括的な法律がないままの状態にありました。
こども家庭庁の設置が検討され、実現する運びとなったこのタイミングに、子どもの権利を定める法律の整備もぜひ必要であるとされ、法案づくりの動きが本格化しました。
現在、中学生の二人の息子を抱える子育て世代の私にとり、教育・保育、少子化対策、児童福祉、ひとり親支援など、子どもにまつわるどんな問題も自分ごとです。昨年の選挙戦でも、同世代の人に話をお聞きするなかで子ども問題について切実な声をたくさん耳にして、自分のライフワークとして必ず取り組んでいかなければと思いは強くなる一方でした。児童福祉法の改正などに注力してきた私の父・塩崎やすひさが長年取り組んできたテーマでもあります。気づけば当たり前のように、こども基本法のプロジェクトにも関わっていました。
国会で法律をつくるには、基本的に2種類の方法があります。政府提出法案と議員立法です。政府提出法案は、趣旨に基づき官僚の人たちが条文案をつくり、さまざまなチェックを経ながら国会に提出され審議が進んでいきます。一方、今回のこども基本法のような議員立法を目指す場合は、文字通り政府ではなく国会議員が主体となり、法案を提出しなくてはなりません。とはいえもちろん議員だけで条文案を書き上げるのは難しいので、法案づくりに長けた衆議院の法制局という部署のチームがサポートに入ってくださいます。
法案づくりのスケジュールをふりかえってみたいと思います。
1月25日に党の「『こども・若者』輝く未来実現会議」の場で、法案の構成や含むべき要素をお披露目し、法案提出に向けた本格的な議論をスタート。最初は法案の名称や執行チェックの方法などについて党内でも様々な考えがありましたが、党内議論を繰り返しながら、粘り強く合意点を探っていくワザは自民党の強み。3月になんとか骨子案をつくり上げることが出来ました。
ここからは、何とかかたちにまとまってきたこの案を持って、自民党内および野党の皆さんへの説明に回ります。いわゆる「根回し」のフェーズです。実は、議員立法は多くの場合、事前に野党側にも働きかけて合意形成をし、できるだけ与野党とも折り合えるものに練り上げ国会に提出します。というのも国会の審議時間には限りがあり、政府提出法案の審議だけでいつもいっぱいいっぱい。議員立法の審議時間をしっかりとるのは極めて難しいので、国会の外で話し合い折り合うのが通常だそうです。その場合は、法案審議はほとんど行わず、該当する委員会による委員長提案というかたちをとり、本会議へ送ったらすぐに決をとります。
ところが今回は、事前に与野党で合意に至ることができませんでした。政府提出法案であるこども家庭庁の設置とセットで審議に諮られていたこともあって、賛成を頂けない党もあり、そうなると議員立法といえど国会に出したあとしっかり審議時間をとることとなります。
4月4日にいよいよ自公11名の議員による共同提出の形で法案を国会に提出。私もその一員に加えて頂きました。
法案審議が始まり、こども基本法に関する質問通告があるたびに、朝8時半から衆議院内の小部屋に共同提出者で集まり、衆議院法制局の方々と一緒にこれまでの答弁や法案作成の経緯などを整理しながら想定問答を積み上げていきました。
チームを引っ張ってくださった加藤勝信先生、木原稔先生といった先輩方の配慮で、若手にも答弁の機会をつくってはどうかと温かいご配慮を頂き、共同提出者に入っていた3人の一年生議員(鈴木英敬さん、勝目康さんと私)にもそれぞれ答弁席に座るチャンスをいただきました。
国会審議の場で答弁に立つというのは、やはりなかなか緊張する経験でした。
想定問答は練ってあるにせよ、まったく違うことを問われるかもしれませんし、更問いといって答弁に対する重ねての質問が飛んでくることだってあります。ここで万が一にも失言などして問題発言だと追及されるようなことになれば、審議が止まったり時間切れで法案が成立しなくなってしまう恐れだってあります。法案作成に尽力くださっているスタッフや先輩方に迷惑をかけられません。
官僚経験のある鈴木さん、勝目さんは、想定問答に自分なりの言葉を添え、新人議員とは思えない堂々とした答弁ぶり。先輩や同期の後ろ姿から、手を挙げるタイミングや答弁の長さなど必死に学ばせて頂きました。私は、衆議院では緒方林太郎議員(無所属)、参議院では田村智子議員(日本共産党)と衆参院合わせて合計3回の答弁を担当。少子化対策のあり方や、こども基本法の適用範囲など、本質を突いた問いに対し、立法趣旨に立ち返って精一杯お答えをさせて頂きました。
最終的には、衆議院で38問(27時間55分)、参議院で34問(22時間35分)の充実した審議を経て、無事法案可決となりました。
国会議員としては、法律をつくるというのが最も基本かつ大事な仕事です。今回、議員立法の成立というかたちで、あらゆる子ども政策の根本となる法律が結実したのは本当に嬉しいこと。たいへんやりがいがある仕事でしたし、国会議員として大きな手応えも感じられました。
こうして国会議員になって初めての通常国会が幕を閉じました。このnoteの過去記事を振り返るだけでも、多くの方のお助けを頂きながら、一年目から本当にたくさんのいろんなプロジェクトに関わらせていただいたご縁に改めて感謝の思いが湧き上がります。
国政を担う責任と周りの方々への感謝を忘れず、山積する色々な社会課題の解決に引き続き全力で取り組んで参ります。また是非色々なアイディアやお知恵を貸してください。
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