定期健康診断後の事後措置と保健指導
定期健康診断後の事後措置
労働安全衛生法に基づく定期健康診断の目的は、社員の健康状態を把握し、結果を活用していくことにあります。結果の活用方法として、医療機関への受診勧奨や保健指導も大切ですが、事業者の義務であり最優先事項は「医師の意見聴取」と「適正配置」です。具体的には、産業医など医師の意見を聴取・勘案し、必要に応じて就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業を禁止または回数を減らすといったことを指します。脳・心臓疾患の発症や生活習慣病などの悪化には、職業生活が深く関与しており、それらは作業関連疾患(Work-related disease)とも言い換えられます。作業に関連して、生活習慣病などが発生・増悪する可能性がある場合には、前述の適正配置を行い、疾患の発生・増悪の防止を図ることが求められています。
定期健康診断後の保健指導
事業者の義務である「医師の意見聴取」と「適正配置」に加えて、保健指導が努力義務として定められています。労働安全衛生法第66条第7項には、事業者は健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師または保健師による保健指導を行うように務めなければならない、と定められています。会社で産業医や保健師を選任していない場合でも、地域産業保健センターで保健指導などのサービスが受けられますし、労働者安全健康機構の「小規模事業場産業医活動助成金」制度によって社員50人未満の事業場が産業医や保健師と契約して保健指導などを実施した場合には、助成金が受けられます。社員の健康を促進するために、社内外のリソースを最大限に活用して保健指導を実施していきましょう。
保健指導実施のポイント
保健指導は、保険者に実施義務がある「特定保健指導」との重複を避けましょう。具体的に、
保険者と連携して、特定保健指導で実施していない内容を行う
40歳未満を対象とする
特定保健指導の対象条件に該当する人を除いて実施する
などが挙げられます。特定保健指導に内容を追加して保健指導を実施できる場合もありますので、保険者に相談してみましょう。
定期健康診断後の事後措置(医師の意見聴取と適正配置)と保健指導を確実に行っていきましょう!
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