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商店街とは(2) 商店街と補助金

補助金について

国の補助金

商店街に対する補助金は減少しています。データがあるかなと探してみましたが、まとまったデータはありません。

中小企業庁のWEBページで確認できる一番古いものは平成12年(2000年)の予算ですが、中心市街地と中小商業の活性化225億円となっています。

単年度で、多額になっているわけではなく、そのあとも、続いています。

  • 2001年:71億円

  • 2002年:135億円

  • 2012年:57億円

補正予算もあるので、すごくわかりにくいのですが、昔は結構大きい金額で組まれています。

直近で大きいのは令和2年度3次補正予算・令和3年度当初予算ですね。コロナで、実施できないところも多かったですが。

地域商業機能の複合化等、商店街のイベント開催等のソフト⽀援の実施【補︓30億、当:6億】

https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2021/pdf/keisanshoyosan1.pdf

ちなみに令和5年補正、令和6年当初予算については商店街支援については「中心市街地・商店街等診断・サポート事業」(中小機構交付金の内数)となっており、ほとんど予算としてもついていません。

国としても商店街へ予算を出す気はなくなっているというのが実際のところだと思います。

自治体の補助金(大阪府・大阪市)

大阪府と大阪市は維新が第一党ということもあり、補助金額は非常に少ないです。維新は団体でなく、市民に直接給付するという方針なので、商店街に対してはお金は支給されなくなっています。

令和6年度予算の資料で見ると以下の通りです。

大阪府:7209万円
大阪市:7273万円

(大阪府)https://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/attach/hodo-50411_5.pdf
(大阪市)https://www.city.osaka.lg.jp/keizaisenryaku/page/0000619391.html

ただ、商店街に直接落ちるお金は大阪府:1000万弱、大阪市:3000万ぐらいの感じですかね。相当少なくなっています。

商店街が求めているもの

コンサルティングなんかいらない

商店街のほとんどは診断士のコンサルティングなんか求めていません。極論すればお金が欲しいというだけです。普通の話です。

これは別に商店街に限った話ではなくて、ほとんどの中小企業者自体が診断士のコンサルティングを積極的には求めていません。
(もちろん診断士を使えば価値は出せます。が、困っていないときはそんな視点になりません。もし、本当に需要があるとしたら、診断士の数は全く足りないです)

一部の商店街で私も継続的に支援させていただいていますが、99%の商店街で私に直接連絡してきたところはありません。メール一つ、もらうことはありません。

「お前の能力が足りないからだ」といわれるのもわかります。それを否定する気もありません。ただ、商店街組合というのはそういうもんだと私は理解しています。積極的に動こうという意識は非常に低いです。

積極的に動く商業者は既に商店街組合から離れています。運営をしているのは動かない人たちです。だから、組合活動を実施できているとも言えます。

補助金は欲しいのか

じゃぁ、商店街が補助金を欲しがっているのか?

実は欲しがっていません。100%補助なら欲しがるでしょうけど、1/3程度とはいえ、負担は発生しますし、先にお金が必要になりますから。

ソフト事業への補助金には比較的手を上げているところも多いですが、補助金も全部セットでパッケージとして提案してくる会社があるから乗っかっているのも多いです。

補助金の申請、事業実施、報告なんていうのは面倒ですし、事務局能力がない商店街でやるのは相当に大変です。ほとんどの商店街には事務局はなくて、理事長が対応しています。

補助金に手を上げる商店街が非常に減っていて、過去には800以上の商店街があった大阪府においても、自ら手を動かす補助金に手を上げるところは現状だと大阪市を除くと10か所もない感じです。

自治体の職員も補助金に応募する商店街、施策に協力する商店街を探すのに非常に苦労されています。商店街名と理事長名を書くだけでいいものなら参加するところも多いですけど。

一部のやる気のある商店街しか対応しないので、同じところばかりが補助金を得て活動をするという状態になっています。外から見たときには評判が悪くなると思いますが、裏側には上記の様な事情もあったりします。

また、自治体が期待する施策はパッケージを持ってくる会社や一部商店主のやりたいこととは異なっているので、事業の内容が整合しませんので、余計に狙った効果が出ません。

私も補助金取得の支援をすることもありますが、比較的廉価ですし、パッケージもないので、施策に合わせて一緒に考えるようにしています。

商店街に必要な補助金

組合解散に向けた補助金

現在、私が考えるのは必要な補助金は解散を推進する補助金です。

ほとんどの商店街が解散をしたいが、資産・負債があるから解散できないという状態になっています。

特にアーケードは一番の問題です。アーケードは商店街のシンボルだったんですが、現状は「負」動産化している場合が多いです。

アーケードの設置については、高度化補助金などもあり、過去において国・自治体で支援をしてきたのですが、現在は解散をする上での一番の課題になっています。

撤去は数千万~億を超えるものになるので、組合で実施できるものではありません。

※詳しくは過去に記載しています。私のnoteの中で、検索から読まれている2番目の記事になっています。

解散に向けた補助金を出すことはできないので、スキームとしては難しいですが、診断士だけでなく、弁護士も含めた専門家費用を出すならここが一番だと思います。私自身は仕事をしたいわけではないので、他の人がやってくれたらいいのですが・・・。

倉敷や長野など、アーケード撤去したところに店と人が集まるという事例はたくさんあります。

地権者に対する補助金

商店街の問題の大きい部分として地権者があります。地権者が動かないので、再開発ができないというところも多いです。

東京は地価が高くて、商売になることもあり、森ビルとか三井不動産みたいにディベロッパーとして動くところもありますが、普通は地権者は寝ててもお金が入るのが当たり前なので、何にも動きません。
(もちろん投資リスクはあるんですが、そういう認識もなかったり・・・)

ランドオーナー会議(地権者会議)をやっているところもありますが、普通は難しいです。構造的に店子が発言しにくいのもありますし。

まちづくりの本来の主役は地権者だと考えています。最大の利益享受者ですし。ただ、大地主がいないので、モチベーションがわかない、難しいこともよくわかってはいます。

ちなみに大阪でも大地主はまちづくり活動をしています。下で紹介しているのは大阪市の臨海地域に大きな土地を持っている不動産会社さんですね。

大地主がいないのであれば、補助金という形ではなく、再開発として自治体が土地を購入できればいいですが、基本的には体力もないですし、理屈も説明しにくいです。

大阪市自体も阿倍野再開発で大失敗をしていたりもしますし。

ただ、地権者の行動を促すこと自体は重要だと思うので、土地を売却しやすくする補助金だったり、逆に罰則的なものをしていく方法が一番いいんだと思います。大地主化を促進することも一つの方法なのかもしれません。

空き家法も上記の一助となる法律だと思っています。地権者にとっては厳しいでしょうけどね。

コンサルに対する補助金は・・・

街づくりに関してはコンサルに対する補助金なんていうのは本質的には不要だと思います。

自分が商店街支援を多数実施して、お金もこれまでに多額ではなくても謝金を頂いているのに言うのもなんなんですが・・・

本来は儲けが出ることをやるんだから、儲ける人たちが負担すればいいですし、儲けが出ないけれど、公共的に意義があるのであれば、役所の職員がやればいいと思います。実態は役所の職員ができないので、コンサル費用を外注費として使っているんですけどね。

商店街の事業実施において一番問題になるのは合意形成です。

合意形成は関係者が納得することが一番大切です。コンサルを使わなくても全然できることだと思います。

ただ、合意形成のための資料作りや手続きなどで専門家が入れば楽なのは間違いないのですが、一般市民からしたら知ったこっちゃないのは当然ですし、補助金を使う理由の説明は難しいとも思います。

合意形成をして、行動して、成果を出して、検証するというPDCAを回すことが有効なんですが、儲けが出ないことだったら、商店街の事業として、そもそもやらなくてもいいですし、やらなくてもいいことにコンサル費用を払うのはもっと無駄です。

まとめ

商店街に対する補助金というのは「不要」というのが私の本音です。そもそも、ほとんどの古くからある商店街組合は解散してしまって、一度なくした方がいいと思っています。(負債もあるので、できないんですけど・・・)

ただし、補助金がなければ商店街は全く動かなくなりますし、行政への協力もしてくれなくなります。

もちろん、商店街の中にはポテンシャルもやる気もあるところもあります。

上記の様なところとは街におけるインキュベーションセンター、広報イメージという目的を達成するために、事業組合・目的会社への委託費として整えていくことがよいと思います。

ただ、多数のまちづくり会社が失敗している現実もあるので、根本的には補助金を使わないほうがいいと思います・・・

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