12年目が考える『中小企業診断士らしい仕事』
診断士らしい仕事って何?
年歴が若い人と話をしていると良く出てくるのが『診断士らしい仕事』という言葉です。
中小企業診断士には独占業務がありません。そのため、『診断士らしい仕事』という言葉自体が実は存在しないのです。
逆説的ではありますが、『診断士の仕事』は存在しません。
窓口支援
窓口支援は一番『診断士らしい仕事』かもしれません。少なくとも大阪では支援窓口には診断士が一番います。よろず支援拠点についてもf-biz型は汚職もあったりしましたし。
診断士は経営の幅広い範囲を担当できるので前捌きという面では一番向いているとは思います。そのあと、専門的な部分が必要となれば税理士や弁護士、IT専門家などにつなぎ、日時指定の形でフォローをするというのが一般的だと思います。
ただ、決算書を分析して、深いコンサルティングだったり、手を動かしての実行支援をするわけではないので、支援をする側、される側の両方で物足りない人がいるのも事実です。
顧問活動
顧問での支援は『診断士らしい仕事』の理想形かもしれません。
月数回の訪問で、問題点をチェックしたり、会議への参加でファシリテートや方針への提言をするという形ですかね。
ただ、顧問活動として相手が求めているのは診断士のAさんというよりは、「●●という会社でのノウハウ・人脈」「■■という人柄・技術」という場合が多いと思います。
実際に診断士ですって話をして、「顧問になってください」という流れにはならないですから。そもそも、中小企業の社長は中小企業診断士なんて知りません。
再生支援
私は再生支援がメインの仕事になっているので、話をしてくれている人は再生支援というものを『診断士らしい仕事』と考えているかもしれないですが、診断士が係るようになったのは比較的新しいです。
中小企業活性化協議会実施基本要領 別冊2再生支援実施要領には事業面は中小企業診断士が担当すると明示されるようになりました。
それでも今でも再生支援は弁護士、会計士(大手コンサル)の仕事だと考えている人は多数います。
全ての仕事が診断士らしい仕事
仕事の範囲
企業が求めること、自分がしたいことの全てが『診断士らしい仕事』だと思っています。
診断士のノウハウって実際のところ、実務補習だけでは身につきませんし、そもそも診断士として形式知になっているものがありません。
形式がないものを頼りにしている中で、『診断士の仕事』と言ってもよくわからないですよね。
それでも診断士の知見・ノウハウを生かして実施できる仕事は無限です。
経営改善は全て診断士の仕事です。
営業支援、経費削減、人材活用、IT活用、・・・
業種についても全て診断士の範囲です。
製造業、農林漁業、行政連携・・・
結論は他の士業が独占業務としていること以外は全て診断士の仕事です。
なので、資格を取ったら順風満帆だと考える人からすると全く違う資格なわけですが、全ての仕事が『診断士らしい』形で実施することができます。
『診断士らしい仕事』なんて言わずに・・・
診断士のノウハウ・知見を使って改善できる仕事は無限だと思っています。
一つの診断士が活躍すれば、結果としてそれが『診断士の仕事』になります。
診断士のことなんて、まだ誰も知らないです。そもそも、弁護士さん・税理士さんが何をしているかも詳しく知っている人はほとんどいないです。
ぜひ、目の前の面白い仕事を積極的に取り組んでほしいと思っています。
なかなか期待される答えにはならないのが、申し訳ないですが、一つのアンサーとして記事にしました。