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#13. 復活したバイラーダ。異色のバイラーダ産ワインの基本情報

こんにちは、72season'sアドベントカレンダーの15日目です。
本日は、ポルトの南、ダォンの西に位置する「バイラーダ」という産地についてまとめてみたいと思います。

バイラーダ早わかり!

赤のバガ、白のビカル、そして瓶内二次発酵スパークリング
・生産量の85%が赤ワイン
・瓶内二次発酵は国内生産量の65%
・白ワインの品質向上中!

それでは、バイラーダについて詳しくみていきたいと思います😁

歴史

バイラーダは1979年にDOC(原産地を保護するための決まり)認定されました。

バイラーダのあたりでは10世紀ぐらいからワインを作っていたと言われています。
1700年代初頭には、バイラーダの濃くてタンニンの強い赤ワインはイギリスで広く飲まれていました。しかしこれは当時人気だったポートワインと偽って、もしくはポートワインにブレンドして売られていたそうです。
それによって、マルケシュ・デ・ポンバル首相はポートワインの原産地の範囲を規定し(これが世界最初と言われている)、反対にバイラーダはブドウの木をすべて引き抜かれました。これが1756年のことです。
DOC認定が1979年なので、バイラーダは復活までに2世紀かかったということになります。

20世紀は主にアフリカの植民地向けの安いバルクワイン供給地でした。しかしその市場も1974年の革命で壊滅します。
その後海外市場で戦うために、大資本がブドウの質やワインの生産に力を入れはじめ、バイラーダのワイン造りも近代化していきます。バイラーダは小規模な農家が多いため、いまでも多くはそのような企業や協同組合にブドウを卸しています。例えば900ほどの農家が、Sogrape社にマテウス・ロゼ用のブドウを卸しています。

そして1980年代以降に登場する独立系の生産者たちがバイラーダの高品質ワイン市場を切り開いてきました。Luis Patoなどが有名です。

場所、気候、土壌

ダォンと大西洋岸との間の産地で、ポルトとリスボンを結ぶ高速道路がちょうど通っています。

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ブドウ畑は平地に位置し、湿度の高い温和な海洋性気候
土壌は主に粘土石灰質と砂質。ちなみに地名のBairradaは、Barro = 粘土に由来しているそうです。
年間降水量は1,000mmと多いですが夏の雨量は多くありません。しかし、雨季が9月後半から始まるため、成熟の遅いブドウは被害を受けます。

赤ワインのスタイル

タンニンが強くしっかりとしたワインができるバガが主要品種。ネッビオーロに例えられることの多い品種です。

バガは、熟すのが遅く、小粒で果皮の厚い品種のため色は濃く、タンニンも酸も豊富です。
未熟だとワインの酸が高くなりすぎ、非常にタンニンがザラザラしたワインになってしまいます。反対に成熟期間を長く持てれば、非常に柔らかく、リッチな黒系果実の香りを放つワインになります。
しかし雨季が早いため、当然カビ病の危険と隣合わせです。バガは最高にも最低にもなりうる難しい品種です。

畑の選定は重要で、より暖かく、より水はけのよい粘土石灰質土壌が求められます。そして収量を落とす、除梗する、より控えめな抽出を心がけるなどの工夫を凝らし、素晴らしいワインが生み出されてきました。
ポルトガルでは珍しく、バガの単一品種ワインも多くあります。

その他にも、他の品種とブレンドすることで、ソフトなワインを造ることもできます。
2003年からは、バガに、より親しみやすいトゥリガナショナル、カベルネ、メルロー、ピノ・ノワールをブレンドできるようになりました。ボルドー品種はバイラーダの海洋性気候によく合っていて、それ単体でもいいものができます。
意外と国際品種がDOCで認定されているのもバイラーダの特徴です。

一時期は作付面積の90%を占めていたバガが、2014年までに40%に落ちましたが、バガ100%の赤ワインを残そうとする熱心な生産者が、ポルトガルを代表する赤ワインをいまでも生み出しています。

 白ワインと瓶内二次発酵のスタイル

品種はビカル、マリアゴメス(フェルナォンピレス)、セルシアルなど。

もともと、ビカルやマリアゴメスは大資本の瓶内二次発酵用が多かったのですが、最近は小規模生産者がテロワール重視の、ブルゴーニュのような白ワインを作っています。畑も、以前は黒ブドウが合わないと思われていた砂質土壌でサブ的に栽培されていましたが、いまは粘土石灰質土壌でも栽培され良い成果が出ています。

マリア・ゴメスはスパークリングワインの原料として欠かせない品種です。アリント、ビカル、セルシアル、場合によってはシャルドネが含まれることもあります。

また最近はバガの「ブラン・ド・ノワール」も人気が高まっています。

今日のまとめ

いかがでしたか?
バイラーダのバガ主体のワインは、香りは華やかですが、非常にタンニンが強い面白いワインです。ネッビオーロが好きな方はぜひ一度試してはいかがでしょうか?😁

私はまだバガのブラン・ド・ノワールを飲んだことがないので、ぜひこの年末にでも試したいと思います😋✨

最後まで読んでいただきありがとうございました!明日はアレンテージョの予定です。お楽しみに!

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