中飛車左美濃 対 石田流

今回は、中飛車左穴熊ならぬ「中飛車左美濃」の研究をしたい。
先手中飛車の対・三間飛車(石田流)の戦法。
中飛車は後手に相振りにされると不利なので(中飛車は中央を狙うため、相振りだと金銀の守りの固い所を攻めなければならない。一方、三間飛車は中飛車の玉頭を狙うので、中飛車不利らしい)、玉を左に囲う形で戦うという戦法だ。

私が通う春日部将棋道場の席主が得意とする戦法として、「矢倉流中飛車」を前回研究したが、春日部道場の席主が得意とする戦法は他にもある。
私は対抗系党なので、基本中飛車党の席主とやるときには居飛車にするのだが、振り飛車も好きで指したいので、78飛戦法から石田流を指すことがある。
そのときに中飛車党の席主が結構な確率でやってくる戦法が、この「中飛車左美濃」なのだ。
左穴熊の方が固そうだが、席主は左美濃を好んで指してくる(左穴熊もたま~にやってくるが)。多分、穴熊よりも手軽に動けるので、ということだろう。

では、さっそく研究してみたい。
なお、春日部将棋道場で席主と対局するときには、私が格下なので先手なのだが、中飛車左穴熊は本来先手の戦法なので(先手中飛車→後手はそれに有利な三間飛車→中飛車は左玉にする)、今回はそれに倣って、先手中飛車、後手石田流で研究してみる。
私は三間飛車を持つので、後手目線で先後逆図での解説。

まずは、平凡に中飛車左美濃 対 石田流本組 にした場合。

三間飛車の▽75歩に、▲56飛 と浮き飛車で歩を受けるのが中飛車左玉。(ここで浮き飛車にしない形もあるようだが、席主が指すのはメジャーな浮き飛車系なので、浮き飛車の形を解説する。)
これに対して三間飛車も、▽76飛 と浮き飛車にするのが絶対の手。

この手を怠ると、中飛車に▲26飛車と回られ、▲23飛車成りが受からない。
角が浮くので、ここで中飛車からの▲54歩の開戦が目に付くかもしれないが、

こちらから角交換して同歩にしておけば、一歩得&相手の飛車が角で目標になるので三間飛車側有利。よってこの筋はない。

平凡に三間飛車が石田流本組を目指して駒組していくと、図(完成図)のような形になる。

完成図

中飛車左穴熊の場合は、ここで▲26飛車と回って、飛車ぶつけ(飛車交換)か、▽24歩の二択を迫る手筋がある。
穴熊に囲うのに手を回しているので、右辺は金銀がいて飛車の打ち込みがないため、中飛車はできれば飛車交換したいという考えだ。
石田流としては当然それにはのれないので、▽24歩で、将来的な▽24飛車と回る筋を消してしまう、という手だ。

ただし、中飛車左美濃の場合は、「この局面では」、▽24飛車で石田流が飛車交換すると石田流側の得になるらしい。
穴熊の場合と違って、中飛車に飛車の打ち込みがあるということなのだろう。
中飛車は、▲16の端歩を手抜かず突いて、桂馬が跳ねて逃げる場所をつくる必要があるなど、工夫の余地があったようだ。

この2筋飛車回りは、中飛車・石田流どちらも「飛車打ちがありそうなら」狙う筋だが、お互い美濃囲いなのでどちらが隙があって得なのかは、なかなかひと目ではわかりづらいと思う。
なので、2筋飛車回りは、やらない方が無難だし(飛車交換になって、もし不利になったら目も当てられない)、相手の2筋飛車回りには歩を突いて飛車交換を拒否するのが、よほど自信がない限りはいいように思う。

さて、石田流の中飛車左美濃への対策をみてみよう。
図の局面では、 ▽33桂として石田流本組を目指すよりも、▽33銀として飛車を圧迫する方がいいようだ。

以下、お互い玉の端歩を突き、
石田流の銀が進出してこないように(石田流側もすぐには銀が進出できない。角が浮いているし、5筋を飛車の横利きだけで守っているため、▽46銀のタイミングで、▲54歩の開戦がある)▲46歩、
飛車の横利きがなくなったので▽24飛車回り、▲78銀に、両者片美濃囲いにする手。(ここは中飛車は穴熊ではなく、美濃がソフト最善だった。穴熊にしている間に仕掛けられてしまうのだろう。)

高美濃を狙う▽64歩、▲45歩(▽44銀とされるとまずいので)、
▽34銀!(銀の進出&角道を通し、▲54歩の中飛車の開戦をけん制)、

受けて▲46飛、▽52金、
中飛車は打ち込むすきがないので飛車交換を挑む▲26飛、それを拒否する▽25銀、
そこからは両者玉を固めて下図。

石田流側だけ高美濃なので、中飛車よりもやや固く、石田流に不満のない展開だ。
ここから中飛車が飛車をぶつけてきたら、石田流はそれを▽25銀で拒否し、千日手コース。
なので中飛車としては▲26歩。そこで ▽33桂馬 と桂馬の活用。

ここからはお互い、互いに端歩を突いて、さらに銀冠へと固める展開になるようだ。
石田流は振り飛車なので固さ負けしていないので、人間的にはいいようだが、形勢はこれで五分。
後手なので、いずれは千日手狙いの勝負になるのかもしれない。

いかがだっただろうか。
「中飛車左美濃」、左穴熊よりも素早く動かれる分、こちらも素早く動かなければいけないようだった。
なお、中飛車左玉シリーズ、「中飛車左エルモ」というエルモ囲いバージョンもあるらしい。

これをきいて、将棋ウォーズで1,2回やったのだが、端攻めしやすいのが特徴。決まればなかなか威力があると思う。

ぜひ皆さんも、中飛車左美濃と左玉シリーズをやってほしいと思う。
さあ、春日部将棋道場の席主に勝てるように、せめて序盤で負けないように、がんばるぞ~





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