なまえをなくしたおとこのこ

画像1 なまえをなくしたおとこのこ
画像2 なまえをなくしたことに気がついた男の子は、 もう水なんてあげる必要はないと、じょうろを放り投げました。
画像3 まず、男の子は女の子にたずねてみました。ぼくの名前はなんだったかな?
画像4 ええっと、そういえば、ちっとも思い出せないわ。 どうしたのかしら、と女の子は言いました。
画像5 ウォーリーでいいんじゃない? この際。女の子は言いました。
画像6 なんて役に立たない女だ、と思った男の子は、 町中に貼り紙をすることにしました。すると、
画像7 くらがりの中から、じっと見つめる目があるのです。男の子は怖くなりました。
画像8 死に神のような目だ。男の子は走って逃げました。 けれども、その目は少年を追ってくるのです。
画像9 たすけてー、と声をあげたのですが、あたりには人っ子ひとりいません。
画像10 追いつかれてしまった男の子は、目のいる世界にのみ込まれてしまいました。
画像11 時がたち、みんな男の子のことなど忘れてしまいました。
画像12 この世界では、名前をもっていないものは忘れられてしまうのです。
画像13 残るものなど、何ひとつないのです。
画像14 これでこのお話はおしまいです。 このお話も、あなたも、きっと忘れられてしまうでしょう。

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