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秦野から見る富士山はなぜ美しいのか

秦野から見る富士山が、いちばん好きだ。

秦野というのは、神奈川県西部のまちで、
落花生と八重桜と吉田栄作の産地で、
わたしのふるさとである。

七五三、入学式、卒業式、成人式、
引っ越しといった人生の節目には必ず、
富士山とともに写真におさまってきた。

学校の節目では、富士山を歌ってきた。
小学校でも中学校でも高校でも
校歌の2番か3番には決まって、
富士山が出てきたものだ。
「富士ヶ根」「富士」「芙蓉峰」と
いろんな呼び名であったけれど。
1番ではなかったけれど。

歌詞の1番を張るには、富士山は
ちょっと遠すぎた。

地元には大山があったからやむない。
大山は、「だいせん」ではなく
「おおやま」と読む。
江戸時代には「大山詣り」として
多くの参拝客が登ったという。
大山と富士山をお参りする「両詣り」も
盛んだったらしい。

大山と富士山は親子関係がある。
大山阿夫利(あふり)神社の御祭神は、
富士山本宮浅間大社に祭られている
木花咲耶姫の父君だというのだ。

富士山にとって秦野は、遠からぬ存在。
そして、ここからが重要なのだが、
眺めるにはちょうどいい位置なのだ。

秦野から見る富士山は美しい。
誰がなんといっても、美しい。

生まれたときから見慣れているから
あたりまえだと思うだろう?
わたしもそう思ってきた。
根拠は「見慣れ」と思うしかなかった。

しかし、すごい根拠を発見した。
美術的に証明できそうなのだ。

ところで。
絵画を見るのにちょうどいい距離を
ご存じだろうか。
対象物の対角線の長さの1〜1.5倍、
なのだという。

これを富士山にあてはめてみる。

富士山の大きさは、
高さ=3776m
裾野の広さ=最大直径約44km。

巨大な長方形とみなして対角線を
算出すると、44162m=44.162km。

富士山から秦野市の直線距離は、
44.754km
わたしの家があった場所からは、
45.88km。

ちょうどぴったりあてはまるのだ。
絵を見るための黄金ポイントに!

富士山は、東京からでは小さすぎる、
静岡や山梨からでは大きすぎる、
秦野からがちょうどいい。
ほれぼれするほど美しい。

わたしの思いこみではなく、
ちゃんと根拠があったのだ。

#明日のライターゼミ #いちばん好きなもの

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