初めての傍聴の記録

職場の勉強会的な物で、裁判傍聴へ行ってきた。
少し前のドラマ『いちけいのからす』にはまってた事もあり、社会見学的な気持ちもありで少しワクワクしながら裁判所へ

事件概要

脱税事件です

税理士事務所で働いています。
お客様は大体が中小企業の経営者様。
皆さん日々頑張っておられますが、どうしても　納税=悪(嫌)
と考える方が多いように思えます。
本来なら、ガッポリ稼いでしっかり納税　!!　税金払ってないなんて格好悪い!　　くらいになると良いのですけどね。
まぁ、なかなか難しいよね。

傍聴前に事務所でレクチャー

社内に傍聴慣れ(笑)してる方がいるので、先ずはその方からレクチャーを受ける。

• 『自認』しているので争う気はないだろうこと

• 社長は弟さんに変わっていること

• 元社長個人と会社の両方が被告であること

• 通常3回で終わるであろう裁判の初回であること

• 裁判の進み方について

等々、一通り聞いてからいざ裁判所へ

手荷物検査

タクシーで入り口まで乗り付ける。
敷地内では写真撮影禁止とのことで撮れず💦

入ると直ぐに手荷物検査があります。
カバンは預けてエックス線?　で確認されて、本人はゲートみたいなやつ(飛行機乗る前とかにあるあれ)をくぐる。
私は無事でしたが、同僚の文房具の中に『カッター』入ってるとのことで慌てて預けてました。帰りに返してくれるそう。

検査が終わると、横の机に今日の裁判予定が置かれている。
ちょっと覗いて見たところ、薬関係と猥褻系が多い👀‼️

今回はみるもの決まってるのでそのまま向かって開廷を待つ。
扉には小さな小窓がついていて中が覗けます。
裁判中でもそこから様子見て静かに入廷して良いらしい。

裁判始まる

まず被告人席との距離の近さにビックリ。
事件的に危険がないからなのか、危険な事件でもこんな距離なのかはわからないけど、何人かで座っている私達を『誰や？』
って訝しそうな被告人の表情がはっきり見えるくらいに近い。

先ずは被告人二人(元社長と現社長)に、本籍地等を言わせていました(身分証明?)　

検事が概要の説明から、証拠文書の説明、必要な箇所は朗読をしていく。
今回の検事さんはクールビューティーな感じのお姉さん。
てきぱきと進めて行かれます。
それによると…。

• 被告人二人は兄弟(元社長が兄)

• 兄が社長に就任した頃、現金不足に悩み銀行融資も受けられず、支払いが遅れて罵倒されたり…な時代があった

• 業界的に、元請けから契約外の現金要求や裏金作りへの協力を求められることが良くあった。

• 要求に応じていたら、平成23年に税務調査が入ったときにもろもろ指摘されてエライ目にあった。(この時に一度は反省。元請けにももう協力できないとはっきり伝えた)

• それ以来、無茶な要求は受けていない…が、またあるかもしれない。だから現金をプールしておきたいと考えるようになる。

• 弟(当時専務)は脱税に当たることはダメと反対

• 元社長の判断で協力会社に架空の請求書を発行させて、一度支払った額から消費税程度を手数料として引いた残額を戻して貰う形で裏金作り

• 協力会社社長は『脱税に協力することになる』自覚あり。

• させられるがわからさせるがわになってしまった。

• 現在は社長は退き、社員として残務処理を行っている。

これらの事を『異論ありません』と認めた上での
弁護側尋問へ

弁護側主張

全て認めていて争うつもりはない。
ただ、今回メディアにもニュースとして取り上げられたことで
決まっていた仕事はほぼキャンセル。
新しい仕事は見積り依頼もほとんどなく、今後の見通しも厳しい。既に社会的制裁は受けている…　寛大な処罰を望む。

と言って始まった訊問なのに結構厳しめに突っ込んでいく
弁護士にびっくり。どうやら弁護士がしっかり突っ込むことで
後で裁判長達に突っ込まれないようにとの戦法の様子。

ただ、なんかこの元社長の話し方とかがどうも半笑い？
に思えたり、開き直り？に見えたりでちょっと不愉快。

会社の事を考えてたんだろうけど、なんかそれだけじゃないのでは?って素人目には思えました。

逆に現社長はしっかり、はっきり考えを述べていて
頑張ってねって思えた。

最後に裁判長が…

1点だけお聞きしますと裁判長が
『今回の被害者は誰だと思いますか？』と問う

これに対して被告は考えた末に『社員、家族、協力業者』と言う。

そしたら裁判長は『脱税は被害者なき事件と言われますけど違いますよ？被害者は納税をしている全国民です』と滔々と語られた。

ズルをされたらちゃんとまじめに納税してる人がどうなりますか？
まじめに働いて、まじめに納税してる人や間接的には国や全国民が被害者ですよ。

ちょっとニュアンス違うかも…でも裁判長が最後に素敵でした。

求刑　懲役1年　罰金2300万

判決は9月1日。　見届けたい。

そうそう、帰りにカッターを返してくれましたがちゃんと
正面入口の外で渡されていました。