決まらない美容院 2/4
私は大学生になり、地元を離れて寮で暮らすようになった。
そこではじめて、親からお金をもらって美容院にいくのではなく、自分のバイト代を好きに使って美容院にいくようになった。
その頃はホットペッパービューティ(冊子)を見て、新規むけのお得なクーポンを使って予約していた。節約のためだ。とにかく大学生の時はお金がなかった。
そんな感じで安い美容院を転々とし、大学生だからってやたらと明るい髪色やパーマに挑戦していたところ、私の髪の毛には鳥の巣(髪のほつれ)が4つも同時にできてしまって、まったく櫛が通らなくなっていた。
当時住んでいた寮の、ロングヘアーが似合うめっちゃかわいい同級生にそのほつれを全部ほどいてもらった。
鳥の巣を除いてもらった私の髪の毛はちりちりだった。
その後、さすがに何とかしなければという思いで、ホットペッパーで探した美容院にいったら、今までにないちゃんとしたトリートメント(あっためるやつ)をしてもらったことに感動し、多分2年くらいは通った。
その美容院で一番面白かったことは、店長がやたらと自分の経歴やこれからの夢を語ってくれることだ。美容師になるまでの道のり、これから自分が店舗数を増やしたいと思っていること、そのために今していることなどいつも熱い話をしてくれた。
私は当時大学生だったので、そういった話をしてくれる大人に出会うことがあまりなく、店長の話はとても好きだったし、私自身もバイトでのあれこれを相談していた。
そんな美容院には、エクステ・カラコン・ヒールの、いかにもギャル姉ちゃんという私とはかけ離れた雰囲気のスタッフがいたのだが、彼女が私の毛質が好きだと言ってくれることもまたうれしかった。(そのころにはトリートメントとカットによって鳥の巣は見事に姿を消していた)
しかし、そんな出会いのあった美容院も、ギャル姉ちゃんの風合いが私とは合わないなぁと感じ始めたことと、私自身が社会人になって引っ越してしまったので行かなくなった。
ちなみに、店長は、私が行かなくなった後、2店舗新規オープンさせている。
今でも自らの夢を話しながら接客しているのか、もしくは、講師として美容院の経営論をどこかで語っているかもしれない。
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