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学生インタビュー95!佐藤静香さん

🕊出展作品🕊

『郷里の懐 -Kyouri no kai-』/佐藤静香
木・紙

秋田県大館市の高齢化問題の1つに、病院に入る前の健康な状態の高齢者が出歩く術と場所がない為に、家に篭りきりになっている現状がある。
市民にインタビューをした際、「老人ホームは牢獄のように感じる。」という声を聞いた。同様に満足して老後を過ごすことができるか疑問に思う高齢者が多数いるだろう。
また、周辺の2大学と地域との交流が年々減っている。
そこで、スポーツとアートをきっかけとし、高齢者と学生だけでなく、高齢者同士、大学生同士、大館市内外の老若男女の交流が生まれる場を、大館市の過去の中心であり、交通の便がよく、周辺に高齢者が多く住む大町商店街に、大学生が住み、高齢者が通う大館版CCRCを設計した。



🕊 学生インタビュー95🕊
景観デザイン専攻 佐藤静香さんにインタビュー!

佐藤静香

──どのようなものを研究、制作していますか?

人々の暮らしを豊かにするきっかけとなる空間作りを軸に、建築設計を研究しています。
障害を持った人でも健常者と同様に、空間を楽しむことが可能だとよいと思っています。
そのため、スロープを使った建築などにも挑戦しています!

──制作活動をするうえで大事にしていることはありますか?

自分自身がリラックスし、楽しむことです。
また、自分自身が楽しみながら設計をすると、設計する空間も自然と楽しいものになる気がしています。
だけど、1番大切なことは睡眠をたくさん取ることです!

──卒業制作ではどのようなものを制作しますか。

地元である大館市の歴史的な土地である大町商店街に、商店街をはじめとし、いずれは街全体がCCRCになるきっかけになりうる建築を制作しています。
最初は、大町商店街の歴史や土地に惹かれて設計を始めました。
しかし、市民の方や商店街の方にお話しをお聞きするにつれ、大館市に住む高齢者や大学生、子どもなどすべての人に大館に住むことで楽しんでもらいたいと考えるようになり、大館版CCRCの設計を始めました。

──大学入学前と比べて、自分自身が変わったと感じるところはありますか。

数多の課題を乗り越えて、メンタルは強くなったと思います。
あとは、ひとり暮らしに慣れましたね。
いつでも寝ることができて最高です♡

──大学生活の中で印象的だった出来事を教えてください。

学校関連だと、飲み会が楽しかったことですかね~。先生方や先輩、後輩と打ち解ける機会になったと思います。その他だと、ひとり旅をたくさんしたことですね!

──最後に一言お願いします!

大学生は思っていたより、課題も多く忙しかったけれど、自由なことも多くて大変充実した時間を過ごすことができました。
今後は、もっと自由になる予定なので、楽しみながら頑張っていければと思います~!




【作品・制作物】

「郷里の風穴」


この課題は、「ポストカード」というお題が出され、そのキーワードをもとに、各々建築設計やフィールドワーク、オブジェ..など多様な作品を制作する課題です。
その中でも今回私は、秋田市の大町という秋田駅に近く歴史的建造物が多く残る土地に、” 伝統”に触れ、継承し、風穴を開けることのできる建築を設計しました。
注目していただきたいポイントは、特徴的な形態が生まれたきっかけである、各層の階高の違いです。伝統工芸品がより魅力的に見える条件を考え、食器ですと和室の天井高である3200や、洋室の4200、 装飾品の場合は 、外のような光をたくさん浴びる吹き抜け空間が適切であると考え、様々な空間を取り入れました。
また、この地域に残る長屋のしくみを用いて、建築のファサードにまた、のみ採光部を用いており、側面には設置していないという点もポイントです。




「白の囚」
セメント、鉄棒

この課題は、建築家ル・コルビジェをリサーチし、オブジェを作り、そのオブジェににライトを当てた際のシルエットがル・コルビジェの作品「開いた手」になるよう制作する課題。

~ル・コルビジェの分析~
ル・コルビジェが本名のシャルル本名のシャルル=エドゥアール・ジャンヌレではなく、別名のル・コルビジェという自分をもう一人作り出し活動していた。これは、批判や期待から本当の自分を守る行動だったのかもしれない。過度な期待は時に毒となりえる。そして、その期待は建築からのものであり、さらにドミノシステムがきっかけとなっていると感じる。
そして、ル・コルビジェは RC 造主軸に設計をしている。これは、言い方を変えるとRC 造に囚われているという見方もできると思う。
さらに、ル・コルビジェは画家であり、彫刻家であり、さらに隠れた詩人でもあった。ル・コルビジェは絵画のためにも、彫刻のためにも、詩のためにも闘うことはなかったが、ただ建築のためだけに闘ったことから、ル・コルビジェは建築というものに囚われていたのかもしれない。
愛する海を、自由と解放の象徴である海を死に場所に選んだル・コルビジェは、やっと海で建築から解放されたのかもしれない。

~素材について~
セメントと鉄棒を使い、RC造を表現した。
また、ル・コルビジェの建築物はサヴォア邸やクック邸、ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸、シュタイン邸などから白い印象を受けた。その為、白のセメントを使用した。
さらに、海の素材をセメントで取り込み固めることで、自由と解放の象徴であり、ル・コルビジェの愛するものを、校則と囚われの象徴であるRC造の素材で固めることで表現した。

~配置について~
前面から光を当てると自由と解放の象徴である『開いた手』のシルエットが浮かび上がり、横から見るとドミノシステムの構造に見えるようオブジェクトを配置することで、最後までドミノシステムに囚われてしまったル・コルビジェを表現した。

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