見出し画像

3/9(木)社説

 入管法の改正案が国会に提出された。非正規滞在の外国人の帰国を徹底させるものであり、2年前に廃案となった改正案とほぼ同じである。改正案は難民認定の申請を事実上2回までに制限する内容となっている。
 難民認定審査中は送還が停止されるため、退去処分を受けた外国人が帰国せず、入館施設に長期間収容されることが問題となっていることは事実であるが、母国に戻れば身に危険が及んだり、日本に家族がいたりする者もいる。また、難民の可能性がある人は、強制的に帰国させてはならないという国際ルールも存在する。しかし日本での難民認定率はわずか0.7%と、難民認定に極めて消極的である。
 そもそも前回の改正案が廃案となった理由は、施設に収容されていたスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが死亡したことが社会問題となったためである。しかし入管庁は体制に問題があったと指摘するのみにとどまり収容の在り方に関する抜本的な見直しには至らなかった。
 今回の改正は、人権上の問題が多いと国内外が批判されたことを忘れたと思われても仕方がない。人権軽視への反省が見られない改正案は再考されるべきである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?