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3/27(月)社説

 大阪府の公立中学校向け教科書の選定を巡り汚職事件があった。教科書会社の「大日本図書」の社員らが選定委員だった校長に便宜を図ってもらう見返りとして現金を渡していた。それを受けて文部科学省は、大日本図書が2023年度の中学教科書の検定に申請しても、内容問わず不合格とする方針を固めた。現在、少子化により教科書市場は縮小傾向にあり、経営は厳しさを増している。教委や学校の関係者に対する行きすぎた営業活動が目についた結果となった。
 公正な競争環境を確保するには、自治体などの対策の強化も欠かせない。文科省は、採択に至った理由や会議の議事録を公表するよう自治体に求めているが、情報公開は十分に進んでいない。しかし、不正を排除するためには、透明性を高めることが不可欠である、選定委員に保護者ら外部の人材を積極的に登用し、多様な意見を反映させる工夫も必要となるだろう。
 教科書が内容本位でなければ不利益を被るのは子供たちである。業界と自治体はそのことを自覚し、不正の根絶に取り組まなければならない。

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