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3/10(金)社説

 今、中国では全国人民代表大会が開かれている。習近平氏が国家主席に3選され、前上海トップの李強氏が新たに首相となるなど、新体制の陣容が決まる。
 直面する課題は、米中対立と経済の構造変化である。その難局を共産党主導で乗り切る方針を示したものの、習氏は「米国率いる西側の封じ込めが未曾有の朝鮮をもたらしている」と危機感をあらわにした。米国の半導体輸出規制に対抗し、国を挙げて先端技術の自給体制確立を目指すという。
 一方で、ロシアのウクライナ侵攻や台湾問題をめぐっても米中対立の溝は深い。中国としても対立を望んでいるわけではなく、秦剛外相は両大国の関係は「世界の命運に関わる」と共存の必要性を説いた。実際に習指導部は冷え込んだ日米欧との関係を仕切り直そうとはしているものの、不信感は一朝一夕には払拭できないでいる。
 問題解決のためには対話を重ねる努力を尽くすことしかできない。統制を徹底する強権体制で発展を続けられるのか、信頼醸成のための取り組みが日中に求められている。

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