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福岡市動物園によるアジアゾウ輸入中止を求める要望書

2021年7月11日
福岡市長 高島宗一郎様

福岡市動物園によるアジアゾウ輸入の中止を求める要望書

時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

表題の件、飼育下のゾウは本来のニーズを満たすことができず、多くが精神疾患に苦しむことが知られています。これを理由に欧米を中心にゾウの飼育を諦める動物園が増えており、英国ではゾウの輸入を禁止し、現在国内で飼育しているゾウの数を減らしていく法案が2021年末に議会に提出される予定です。また英国の慈善団体アスピナル基金は7月5日、英ケントの動物園から13頭のゾウをケニアに移送し自然に戻す計画を発表しました。

福岡市動物園は3,000平方メートルのゾウ舎を建設しゾウを4頭輸入するとのことですが、どんなに広いゾウ舎を建てても飼育下でゾウのニーズを満たすことはできません。それは、6,000平方メートルのゾウ舎を持つ豊橋総合動植物園「のんほいパーク」で今年5月にインドから輸入されたゾウがストレスから常同行為を起こしていることを見ても明らかです。

今回の輸入はアジアゾウの生息域外保全を目的にしたものと発表されていますが、私はアジアゾウを日本の動物園に輸入して飼育し繁殖させることが生物多様性の保全につながるとは思いません。

生物多様性条約の第9条(a)で「生息域外保全は生息域内における措置を補完するため」であり、「生息域外保全のための措置を原産国においてとることが望ましい」とされています。また同条(c)では「脅威にさらされている種を回復し、自然の生息地に再導入するための措置をとること」とあります。

野生のアジアゾウを本来の生息地において保護し、飼育下で繁殖したゾウを生息地に戻すことができないのであれば、生物多様性を保全することにならないと考えます。アジアゾウの保全を考えるのであれば、本来の生息地であるミャンマーで、飼育下のゾウたちに野生の環境を与えるサンクチュアリの設置を支援するなど他の方法をとるほうが有効だと思います。

つきましては、アジアゾウの輸入中止をご英断いただきたく、ここに強く要望いたします。国内にはすでに120頭以上のゾウが飼育されています。たった1頭で飼育され、精神を病んだゾウが10頭以上います。またブルフックによる体罰を受けてショーやゾウライドなど人間の娯楽に利用されるゾウもいます。福岡市動物園で建築中の新しいゾウ舎は、こうした劣悪な環境で飼育されている国内のゾウを保護する施設にしてください。新たな輸入によりこれ以上、不幸なゾウを増やさないでください。

ご検討の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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