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ファストリー とクラウドフレアのバリュエーションを比較してみた。


こんにちは初めての試みとしてnoteに記事を書いてみます。

最近はSaaS系銘柄を中心に大きな調整が入り、金融緩和による歴史的低金利の金融相場においてもグロース株がバリュエーション無視で上がり続けることはできないことが確認できたのでこのタイミングでもう一度保有株のバリュエーションを調べ直しました。

決算発表後の株価急落で最高値から大幅に下落したファストリー (FSLY)とCDNの分野で最大のライバルになるクラウドフレア(NET)を最新の決算の数字とFSLY急落の大きな要因であるTikTok問題も考慮に入れて両者のバリュエーションを比較したいと思います。

まずFSLYやNETってどんな企業という方はブログや動画で詳しく解説してくれている人がいますので参考にするといいと思います。私がいいなと思ったおすすめのブログや動画を貼っておきます。

やすさんのブログ

nekoさんのnote

ともさんのYouTube


現在、私はFSLYとNETの両方を保有していて、中長期の目線でHOLDしています。

FSLYは21.4$から買い始め、利確と買い増しを繰り返して現在は平均56.46ドルで508株を保有中です。一方、NETは遅れて入って36ドルで購入し以後買い増しも利確もしてなくて平均36ドルのまま600株を保有中です。


FSLY 発行済株式 105,200,000 株価75.95$(現地2020年8月12日終値) 時価総額 7,989,400,000$ 8月5日の2Q決算売上高 74,660,000$(前年同期比+61.77%) EPS(Non-GAAP) 0.02$(前年同期から黒字転換、前年同期EPS -0.11$)

NET 発行済株式 305,424,000 株価38.86$(現地2020年8月12日終値) 時価総額 11,868,776,640$ 8月6日の2Q決算売上高 99,720,000$(前年同期比+47.9%) EPS(Non-GAAP) -0.03$(前年同期から赤字縮小、前年同期EPS-0.22$) 


この記事では両者のバリュエーションの比較にグロース株でよく使われる時価総額を売り上げで割って時価総額が年間売り上げの何倍かというPSR(株価売上高倍率)という指標を用いて分析したいと思います。

まずはFSLYのPSRですが時価総額7,989,400,000$から2Q決算売上高の74,660,000$×4(四半期ごとに売り上げを伸ばしている高成長グロース株のため過去1年の売上高ではなく今回は直近売上高を4倍した数値でPSRを計算しました。)を割るとPSRは26.75倍になりました。


ただしFSLY は主要顧客のTicTokのアメリカでの禁止問題があります。

現状では以下の4つのケースが想定されます。

1、トランプの設けた9月15日までにTicTokのアメリカ部門の買収がまとまらずにTicTokがアメリカで使用禁止になる。FSLYの業績下押しに影響大。

2、マイクロソフトによるTicTokアメリカ部門の買収が成立。マイクロソフトはFSLYの顧客でしたが2020年4月にAzure Edge Zonesという名称で本格的にエッジコンピューティングの部門に参入を発表したので、今後エッジコンピューティングの分野でFSLYのライバルになります。買収されたTicTokもFSLYからAzure Edge Zonesへの乗り換えが行われる可能性が高い。FSLYの業績下押しに影響大。

3、TwitterによるTicTokアメリカ部門の買収が成立。TwitterはFSLYの主要顧客であり、買収されたTicTokが今後もFSLYのサービスを継続して使う可能性が高い。FSLYの業績に与える影響少。

4、9月15日までにTicTokのアメリカ部門の買収がまとまらないがアメリカ政府が考えを変えてTicTokがアメリカで使用禁止にならない。FSLYの業績に与える影響少。

4番目のケースはかなり低そうです。


上記のようなリスクがあるので今回は思い切ってFSLYのTicTokのアメリカ部門の売り上げ分がゼロになる想定でPSRを出してみてNETと比較してみたいと思います。

まずTicTokのアメリカ部門がFSLYの売り上げのどのくらい占めるかを考えたいと思います。今回の2Q決算のCEOのコメントの中でTicTokがFSLYの1番の主要顧客で売り上げの12%を占め、そのうちアメリカ部門が半分以上とのことでした。FSLYのCEOのコメントや質疑応答についてはOKUさんがブログで日本語で情報を載せてくれてます。


TicTokのアメリカ部門が12%のうちの半分以上ということなのでFSLYの売り上げの7%という仮説を立ててPSRを計算し直してみました。時価総額7,989,400,000$から2Q決算売上高の74,660,000$×0.93×4を割るとPSR28.77倍になりました。


続いてNETのPSRですが、時価総額11,868,776,640$から2Q決算売上高の99,720,000$×4を割るとPSR29.76倍になりました。


現時点の両者のPSRの比較ではTicTokのアメリカ部門の売上高を除いたFSLYのPSRが28.77倍に対しNETのPSRが29.76倍でした。ちなみにFSLYの売り上げから7%を除いた計算で売り上げが前年同期比でどれくらい伸びているかを計算してみると74,660,000$×0.93÷46,170,000$(2019Q2売上高)=1.50387....となり7%を考慮しない+61.77%から前年同期比+50.39%となりますが、NETの前年同期比+47.9%を上回っています。


一応将来の見通しについてもYahoofinance米国版の両者の来年通年の売上高コンセンサスを参考にしてPSRを計算してみました。FSLYの2021通年売上高のコンセンサス予想の平均が394,640,000$でNETの2021通年売上高のコンセンサス予想の平均が530,930,000$です。

FSLY  時価総額7,989,400,000$÷394,640,000$=20.244.....

FSLY(TicTok考慮) 7,989,400,000$÷394,640,000$×0.93=21.768.....

NET 時価総額 11,868,776,640$÷530,930,000$=22.354.....

2021年通年という未来で考えた場合、FSLYは顧客を増やし成長しているはずなのでTicTokの売上高に占める割合は他の顧客の増加の影響で減っているのが普通ですが、この場合でも厳しめの売上高7%減の設定で今回は計算しました。


今回FSLYとNETについて最新決算の数字を使って比較してきました。現地8月12日終値時点の株価で見ると以下の点でFSLYの方が少しお買い得な感じはします。

1、FSLYは最新決算でNon-GAAP EPSで黒字転換しているのに対し、NETはまだ赤字である。

2、最新決算の売上高成長率がFSLYの方が高く、7%減らした数字でもNETより高い。

3、TicTokがTwitterに買収されTicTok絡みの売り上げが減らない可能性も残っている。

4、今年末から来年にかけて試用中のFSLYのエッジコンピューティングプラットフォームが本格的にサービス開始になる可能性が高い。

5、NETがどちらかというと中小企業の顧客が多いのに対してFSLYはサービス単価が高く大企業の顧客が中心で不況下でサービスの解約がFSLYの方が少ない気がする。


最後に

今回は保有株のライバル企業について記事を書いてみました。両方とも中長期で保有を続けるつもりなので今後も順調に業績を伸ばして高成長をできるだけ長く持続して欲しいです。業績の伸びにつられておこぼれ的に株価も上がれば嬉しいですがこればかりは分かりません。


ここ10日で保有株にいろいろな事件が起こっていて対処に追われています。

・LVGOとTDOCの合併話。                     LVGOを平均42.13$の含み益パンパンで保有中でニュースが飛び込んできました。テンバガー狙ってましたが残念な結果になりました。収めなければならない税金額も大きいので特定口座にあるうちにLVGOを売却しようと思ってます。最近TDOCをポチポチと拾い始めました。

・香港株の01918融創中国が子会社の不動産管理会社のスピンオフを計画。保有株の融創中国が香港証券取引所に正式に子会社のスピンオフ上場を申請しました。子会社の株式が既存株主に配られる予定。現在、ここを3つの証券会社で保有中です。その中でSBI証券だけがスピンオフに関わるコーポレートアクションが起こった場合に特定口座から一般口座へ強制的に振り替えられてしまうのと単元未満の株配に対応しておらず単元未満の株はもらえないのでSBI証券からマネックス証券へ移管手続きの書類を提出しました。

・保有株のSTNEがLINXを吸収合併。                  2つ目の合併話。STNEが存続なのであまり影響はなし。このニュースで2日前に上場来高値更新。

・保有株のTSLAが株式5分割。                    利確するときに今までの0.2株分からできるようになるのは嬉しい。

ここ16年の投資生活で数回あったかどうかの出来事がこの短期間で4つもありました。いい方向にも悪い方向にも影響出まくりで正直驚いています。これも今後も続く長い投資生活の勉強だと思って、今回の経験を今後の投資に活動に活かしていきたいと思います。 


あとがき

注意して欲しいこと。

今回はライバル企業2社に絞っての比較です。今後の株価がどうなるかという視点は抜きにして現在わかっている数字を比較して業績とバリュエーションのチェックを兼ねて記事にしました。

私自身SaaS企業などのグロース株のバリュエーションが今回の金融緩和の金融相場下でいったいどれくらいが適正なのかも分からない状態です。

株式投資は自己責任の厳しい世界で結果は自分の懐にダイレクトに跳ね返ります。投資する上でいろんな情報がありますが発信者のバイアスがかかっていることも多いので情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、自分の頭でも考えてみて参考にする部分は参考にしたり自分なりにアレンジしてみたりするといいと思います。

今回の私の比較では時価総額や売上高に主眼を置いて誰でも簡単にできる方法で計算しているのでキャッシュフローなどの他の項目についての分析はされてません。

計算に使ったコンセンサスについても現時点のYahoo financeのだけで他を見てません。今後大きく変わることもあり得ます。

今回売上高7%減で計算しましたが予想数値で正確な数字ではありません。

TicTokの買収を狙っているマイクロソフトですが、TicTokのアメリカ部門だけでなくTicTok事業の全ての買収を目指しているというニュースもあります。TicTok事業全部の買収となった場合はFSLYの売上高の12%の全体に影響を及ぼす可能性があります。また事業全体ではなくアメリカ事業だけの買収だけだとしてもアメリカ以外の事業部門もアメリカ部門に合わせてFSLYからAzure Edge Zonesへの切り替えが起こる可能性はあります。その場合は今回の計算の前提が崩れます。

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