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追悼 相模健康センター

相模健康センターWebサイト
http://www.yunoizumi.com/sagami/

私の大好きなサウナ「相模健康センター」が、2021年の1月17日に閉店することになってしまった。

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通い続けて数十年。思えばこんなに私を癒やしてくれた施設は他にはなかった。定期借地権の期間満了に伴う閉店となっているが、多少なりともコロナの影響はあったと思われる。それをコロナのせいと言わないところが誇り高いではないか。ともあれその魅力の数々を無くなる前にお伝えしておきたい。

その1 効仙薬湯

効仙薬湯

おそらく最初に入浴した人はビビると思う。ヤク(ここではあえて薬湯でなく”ヤク”と呼ばせてもらう)の濃度がやたらと高いのだ。だいたい3分ぐらいすると、男性の敏感な部分(俗に言うturtle head)がヒリヒリしてきて、継続しての入浴にかなりの忍耐が必要となってくる。おそらくタートルネックボーイの皆さんには刺激が強すぎると思う。
https://youtu.be/RwnJCKEWKP4

そして、そのヤクの香りは入浴後も肌につきまとう。下着にはその残り香がまとわりつき、翌朝までヤクの効果は持続するのであった。

その2 高濃度炭酸泉

悲しいことに2020年の6月から装置の故障により男湯では入ることができなくなっているこの高濃度炭酸泉、私の知る限りではここ相模健康センターの炭酸泉が一番炭酸濃度が高い(ような気がする)。壁に一面貼ってある炭酸泉の効能書きがツッコミどころ満載の文章で結構好きだった。その文章をどう校正すれば文章として美しくなるか考えながら入ると、時はあっという間に経過する。風呂の温度は37~38度と人の体温よりやや高いぐらいのヌル湯なので、気がつくとつい長湯してしまい体はちびくろサンボにでてくるトラのようにドロドロに溶けてしまう。

冗談はさておき、皆が長湯してしまうせいかため、写真右側の肩までつかって座るスペース(4箇所)はすぐ埋まってしまう。その場合、奥のやや浅い着座スペースに胸辺りまで浸かる感じで入浴していた。これがまたなんともいい感じだったのだが、もう味わうことはできない。

高濃度炭酸泉

その3 露天草津温泉

相模健康センターの有名なキャッチコピーに「遠くの温泉より近くの健康ランド」というのがあった。今ではライバル「万葉の湯」等「○○の温泉」を運んでくる温浴施設が一般化したが、その魁が相模健康センターなのだ。
本当に運んでいるの?
実は温泉成分だけ入れてるんじゃないの?
と疑うあなたは心が貧しい。まずは信じることが大事なのだ。遠くの温泉より近くの健康ランドという言葉は信頼の上に成立するのだ。たとえ「天然 湯の華 2L 」が投入されていたとしても、私は草津の湯が入っていると信じたまま閉店を迎えたい。

露天草津温泉


ちなみにこの草津の湯、露天ながら湯の温度は相当高い。私はよくこの草津露天温泉で他のお客さんと長風呂バトルをしていた。勝負といってもこちらが勝手に勝負を妄想しているだけで相手には何も言わない。後から入ってきた人より長く入ると私の勝ち。私より前に入浴している人の場合、その人が出湯してから30秒以上長く入浴できたら私の勝ち。勝利を収めた日は自分がちょっと偉くなったと感じる。たまに明らかにこちらのバトルを知覚し、壮絶な我慢比べとなることがあるが、そんな時「ジョーと力石の友情はこんな感じだったんだろうなあ」と思ったりする。

その4 ロウリュ

さて、いよいよメインのサウナ関連の話である。まずここのサウナはボイラーが強力なので、多少の出入りでは室内音が下がらない。そこがいい。着座する時に敷くタオルも豊富に常備されている。ちなみにウレタンマットを利用するサウナが多いがあれは邪道だ。

そんな正統派相模健康センターのサウナであるが、近年「爆風ロウリュウ」という掟破りのイベントを導入しサウナ業界を震撼させたのは記憶に新しい。

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広告には「世界初」と書いてあるが、おそらく二番目はなかっただろう。普通ロウリュというと、ベテランのロウリュ使いが、タオルを生き物のように扱って風を起こすのだが、ここ相模健康センターの爆風ロウリュにはそんな情緒は一切ない。枯れ葉を集めるのに使われる”ブロワー”と呼ばれるドライヤーの親分を係員が持ち込み、2丁拳銃のように両手に掲げて「バクフ~~」という掛け声とともにブロアーの風を客にあてるのだ。

最近「サウナー」なる若者がサウナ文化を高尚に語り、やれ「サウナハット」だ「ととのう」などほざいているのだが、この爆風ロウリュはそんな甘っちょろい青二才の思想を吹き飛ばしてくれる。私のようなオールドサウナファンにとっての正義の味方の2丁拳銃なのであった。

その5 水風呂

滅多なことで人を褒めない私の父が「あそこの水風呂はすごい」と褒めちぎっていたのがここの水風呂である。夏だろうが冬だろうが15度台という低温、さらに下から気泡がブクブクでる水風呂なのだ。

水風呂

話は変わるが、サウナ後に水風呂に入ると、肌の表面に肌熱で温められた水の層が生成され冷たさが緩和される。この層のことを最近のサウナーどもは「羽衣」などと言って珍重している。しかし相模健康センターの水風呂は下からの気泡で、その「羽衣」なるものを木っ端微塵に粉砕する。そう文字通りサウナーどものぬるま湯体質を叩き直してくれるのであった。

その6 ラッコ新聞&純烈

SNSなんてクソ喰らえ!そう相模健康センターは紙メディアの「ラッコ新聞」を利用者とのコミュニケーションツールとして用いてきた。そしてセンターを最も有名にしたのが純烈の存在である。その純烈が紅白初出場を決めたときのラッコ新聞がこちら。

ラッコ新聞

さらに、次号に掲載された。純烈インタビューがこちら。

純烈インタビュー

DVで脱退してしまったメンバーもこの当時は元気だった。でも紅白歌手になったら相模健康センターなんて来なくなるんだろうなあと思っていたら、初出場の紅白の後の深夜に来てくれたし、昨年もコロナ前に一度コンサートに来た記憶がある。義理堅いのである。その義理の堅さで相模健康センターの危機を救ってはくれないだろうか。

その7 お食事処

上記純烈のコンサートも実施されたお食事処。焼酎のボトルキープもできるのだが、いつも期間が過ぎて流れてしまったのは残念だった。

お食事どころ

歌謡ショー以外にも、ビンゴ大会など色々な催しが実施されていた。私が一番驚いたのは「盆踊り大会」である。いきなり「炭坑節」が流れてきたと思ったら、店内着を着用した老女たちが一斉に立ち上がり輪になって踊りだすではないか。輪の中に取り残されて酒を飲んでいた私は「この人達にはまだ敵わない」と実感した思い出がある。

最後に

その魅力は語りだすと尽きることがないのだが、最後に先週行った時に玄関に貼ってあった寄せ書きをお見せしよう。これを見るだけで、どれだけ愛された場所であったかがおわかりいただけると思う。

ありがとう相模健康センター。

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