90%以上のスタートアップは施策のストック数が壊滅的に足りない。
弊社は5月に9,200万円のファイナンスを行い、株主は経営陣以外にVC2社とエンジェル(個人投資家)11人となり、かなりの大所帯になりました。事業戦略は株主のお話を伺うことも多いのですが、株主からのフィードバックが似てくることもあり。多くのスタートアップを見ている株主からのフィードバックをベースに、弊社の知見を少しずつブログに残したいと思います。アジェンダは以下の通りです。
1. 施策のストック数とスタートアップの成長率は比例する
2. いかに早く「失敗に気づけるか」が成功の可否を決める
3. すぐにソリューションに走るな!
4. 上司のマネジメント方法
1. 施策のストック数とスタートアップの成長率は比例する
株主とのディスカッションのなかで、「施策のストック数」が足りないスタートアップがほとんどである。と問題点があぶり出されるケースが多いようです。データによる定量的な意思決定を行うことが経営戦略上大事、という合意が前提としてあるケースが多いと思います。しかし、そもそも施策のストック数が足りなければ、データによる施策の定量的な検証や比較もできない(データによる優先順位付けが無意味になる)ことになります。これでは、様々な打ち手を正しく選択できる一部の「天才」がいるスタートアップしか、急成長が難しくなります。
弊社はGRGR(ゴリゴリ)系スタートアップなので、毎週1本以上のプレスリリースを打ちます。僕は毎週2-3本以上のプレスリリースを書くこともザラにありますw 公開されている以上に、ボツになったプレスリリースも過去には数多くあるのです。「アイデミーって打ち手の数が多いよね」と評価されることも多くここは弊社の強みだと認識しています。施策案が少ないスタートアップは、まるで手札の少ないトランプカードから最善なカードを選んでいるにすぎないので、成功確率が低くなることには間違いありません。
また、グロースハックのフェーズでは、ある主要KPIに対して、100個以上の施策を考えて優先順位付けすることが最も重要だと思います。日頃持つ手札の数と、スタートアップの成功確率は、高い相関関係にあるのは明白ではないでしょうか。
2. いかに早く「失敗に気づけるか」が成功の可否を決める
スタートアップは経営に直結する「選択」が毎日連続しています。この正しい選択肢を選べるかどうかが、成果の可否に直結します。しかし、正解率50%の選択肢を10回連続で正解する確率は0.1%ということから分かる通り、正しい選択肢を選び続けるのは非常に難しいです。そうなると、大事なことは間違った選択肢を選んだことにいかに早く気づき修正するかが重要になります。
株主との打ち合わせのなかで、10回施策を打って、9回失敗するのは当たりまえ。失敗に早く気づくのが大切。という話がありました。事実、弊社でも、プレスリリースを先に打ったことで、間違いに気づいたことは多々あります。(それが具体的にどういうものなのかは、社内だけの秘密ですw)手札の数が少ないと、間違った時にすぐに次の施策を選択できず、スピード感は落ちます。施策のストックを積み上げることは、スピード感を保つ上で重要なことではないでしょうか。
3. すぐにソリューションに走るな!
社内で改善策の議論をするなかで、「〜〜〜という施策を打てば劇的に改善するぞ!」と思うことが多いです。しかし、1.2.で述べた通り、その施策がユーザーに対して響くことは稀で、非常にリスクが高い行動と言えます。しかも、最も怖いのは、その施策の開発に時間がかかればかかるほど、失敗した時にそれが素直に認められないことです。しかも、社内で(なんとなく)失敗とわかっている施策を続けることも、非常に辛いものがあります。
そう考えると、スタートアップの最大のリスクは、工数のかかるソリューションに走った挙げ句、大失敗して社内でも後戻りできなくなる。こととも言えます。そのリスクを最大限ヘッジする方法として、施策のストックを多く持ち、できるだけ工数のかからない方法を模索することは有効ですし、そうすれば失敗も失敗と早く認めることができるのです。
4. 上司のマネジメント方法
この考え方は上司のマネジメントにおいても役に立ちます。会社組織のなかで、上司にあたる人材を意図通りに動かすことも必要かと思います。僕も約3年間、某大手企業でバイトリーダーとして働いた経験があり、上司(社員)をどう思い通りに動かすのか、頭を捻って考えていましたw また現在も、VCの方とディスカッションする中で、どうVCをマネジメントすべきかを考えることも稀にあります。(投資家と経営陣の関係は、厳密では上司ではありませんが。)
その際、いろいろな意見を提案しますが、多くの場合は以下の「ダメな例」です。
ダメな例①:〜〜〜という施策を思いつきました。こうすることで、圧倒的にUXが上がるのでベストだと思います!
ダメな例②:〜〜〜という問題点があり、解決すべきだと思います。だからこのプロダクトはダメなんです!
ダメな例③:〜〜〜という問題点があり、解決すべきだと思います。〜〜〜という施策を行うことで、この問題点が解決すると思いますは、どうでしょうか?
ダメな例①がダメダメなのは、上記に述べた通りなので割愛します。
ダメな例②は、指摘されたところで、ネクストアクションに繋がりにくいので、辛いところです。スタートアップに身を置く者として、評論家ではいけません。どう解決するのか、それはなぜいままで解決できていなかったのか、考える必要があります。
ダメな例③は、①・②よりましです。しかし、返事が「Yes」or「No」で返されるので、「No」と言われる可能性が高くなります。概ね、上司は自分より多くの情報がインプットされているケースが多いので、より多種多様な情報や判断基軸をもとに施策の良し悪しを検討します。そのため、出てきた施策が上司の判断基軸で検討の土台に上がらない場合もあり、Noと言われる可能性が高いのです。
では、どのように提案すべきでしょうか?
良い例:XXXという問題点があると思っています。この問題点を解決するためには、AAA、BBB、CCCという3つの施策が重要と考えられるのですが、どの施策がベストだと思いますか?
以上のように提案できるビジネスマンは自分の思い通りに上司を動かせる可能性が高いです。上司の頭の使い方として、「(解決すべき)問題点が正しいか」->「問題点を解決するための施策としてどれか最も効用が高いのか」を考えることになるので、非常に決断がしやすいです。
さらに、返事がAAA or BBB or CCCになるので、自分の意図通りに上司を動かしくなりやすいですね。(No. と言われにくくなる。)上司もAAA or BBB or CCCのなかから、自分の判断基軸に従って適切な施策を選べるので、納得感を持って決断することができますので、オススメです。
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