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続・競走馬ルクルトのダート適性について考える

実に久々に、ルクルトについて考察しますー。

 ルクルトは現時点まで通算ダート7戦をこなしましたので、前回記事以降の夏至Sからの6戦を中心に紐解いてまいりましょう!



■2023/6/11 東京10R 夏至S 3勝C ダート1,600m 重 含水率12.4%

レースラップ:12.2-10.9-11.2-12.0-12.1-11.9-11.7-12.1 1:34.1
テン:3F 34.2 / 上がり:4F 47.8-3F 35.7
ルクルトラップ:5F 60.0-35.2 1:35.2
騎手:C.ルメール騎手(1枠1番 9番人気7着)

 >>折り合い名人のルメール騎手が、重馬場想定で不利な最内枠から、いかに長い直線でルクルトを飽きさせないか
と事前予想していましたが、スタート直後躓いてまさかの出遅れ! 他の馬から2馬身ほどの差がついてしまいます。その後は道中最後方インを進んで、直線でもインを突いて上がり2位35.2を使って追い上げました。4角3番手内の3頭で決まる前有利の競馬。着差から出遅れなくても厳しかったでしょうが、レオノーレに0.1秒差だったのは評価できるのでは。それにしてもルメール騎手って、直線でも本当に焦らない。


■2023/8/19 新潟10R 上越S 3勝C ダート1,200m 良 含水率3.3%

レースラップ:11.7-10.6-11.2-12.1-12.4-12.5 1:10.5
テン:3F 33.5 / 上がり:4F 48.2.-3F 37.0
ルクルトラップ:35.3-36.1 1:11.4
騎手:田辺騎手(5枠9番 9番人気5着)

 2か月空けて距離短縮での1戦。スタートはまずまずの感じ。良馬場テン33.5のハイペースの失速ラップを道中中団やや後方(11-10番手)から進んで、直線真ん中を上がり最速の脚で伸びて5着。ダート転向後の1,400m、1,600mではちょっと物足りない内容でしたが、ここでも前有利な馬場ではありましたし、勝ち馬アームズレイン(次々走OPのりんくうS勝利)からは離されたものの、2着アイスリアン(次走初風S、次々走OP室町Sと連勝)、3着メズメライザー(3走後に後述のフェアウェルS勝利、OP千葉Sも2着)、4着ハイアムズビーチらとは僅差で、距離短縮の恩恵もありましたが、ダートでも3勝Cを突破できる能力はあると感じられました。


■2023/10/1 中山12R 外房S 3勝C ダート1,200m 良 含水率4.9%

レースラップ:11.8-10.6-11.0-12.1-12.4-12.7 1:10.6
テン:3F 33.4 / 上がり:4F 48.2.-3F 37.2
ルクルトラップ:34.8-36.0 1:10.8
騎手:田辺騎手(7枠14番 5番人気5着)

 初の中山ダート1,200mの舞台に臨戦。芝発走外枠有利の14番ゲートで田辺騎手の継続騎乗も心強く、中山の急坂をこなせれば1発あってもと思っていました。レースは、上級条件で2角ポケットから直線まで下り続けるレイアウトだけあってテン3F33.4(実況では33.3)とハイペースに。ルクルトは終始外々を回していつも通り道中後方(12番手)から、直線勝負に賭けます。前が止まる展開にも恵まれて、上がり最速タイの36.0で追い込みましたが惜しくも0.2秒差5着。ここでも2着サザンエルフ、3着タイセイブレイズ、8着テーオーステルスら次走以降も好成績を上げる馬たちと差のない競馬ができており、舞台適性を感じさせる1戦でした。


■2023/11/4 京都10R 貴船S 3勝C ダート1,200m 良 含水率2.2%

レースラップ:12.2-11.4-11.8-11.7-11.5-12.2 1:10.8
テン:3F 35.4 / 上がり:4F 47.2.-3F 35.4
ルクルトラップ:36.7-35.3 1:12.0
騎手:斎藤騎手(1枠1番 8番人気8着)

 ついに、ついに、、AKHRとルクルトが邂逅することになった記念すべきレース!、、ではあるものの、その舞台は上級条件であっても逃げ先行馬有利のクソコース(向正面からスタートして初角まで約400m。3コーナー手前に勾配があることで、道中息が入りやすく、後半は下り坂と直線平坦)で、差し馬であるルクルトには厳しい展開が予想されました。実際、3-4角で1-5番手の馬が順番を入れ替えてゴールする前後半イーブンラップのレースで、ルクルトはテン3F36.7といつも以上にゆったり。3番手から進めた勝ち馬パラシュラーマに上がり最速35.1をマークされては為す術がありません。そんななか1枠1番から後方2番手大外ブン回しで8着入線は頑張ったほう。(主戦と思っている)斎藤騎手にはインを突くなど試してほしかったですね。


〈閑話休題〉

■2023/11/18 福島11R キビタキS 3勝C 芝1,200m 稍重 含水率12.6%
レースラップ:12.3-10.5-10.8-11.6-12.0-12.9 1:10.1
テン:3F 33.6 / 上がり:4F 47.3-3F 36.5

キビタキS 結果(スマート出馬表より)

 上がりのかかるタフな馬場。エイシンフラッシュ産駒のメイショウツツジが外から追い込んでクビ差の2着。ここにルクルトが出走して外枠を引いていれば、、勝ち負けまであったのではないかと思われてならない。。


■2023/12/24 中山12R 2023フェアウェルS 3勝C ダート1,200m 良 含水率2.4%

レースラップ:11.8-10.5-11.2-11.8-12.2-12.8 1:10.3
テン:3F 33.5 / 上がり:4F 48.0. - 3F 36.8
ルクルトラップ:35.1-35.5 1:10.6
騎手:田辺騎手(8枠15番 8番人気5着)

 再びの中山ダート1,200mでまたしても好枠を引き当てたルクルト。前走で自身テン3F36.7だったのでついていけるかが少し不安でしたが、2走前の外房Sより0.3秒遅くテン3Fは35.1で入りました。その外房Sとほとんど同じような展開で最後の直線を迎えます。大外から上がり最速タイの35.5を駆使しますが0.3秒差の5着。。馬場・脚質的な有利不利はなくフラットな感じで、ゴール直前では先行馬と差し馬がしのぎを削ります。ここを勝ったのは先述したメズメライザー。大外から好位3番手を進んで2着グットディール(34.8-35.5)の急追をしのぎました。ここで3着のタイセイブリリオは貴船Sで0.8秒差だったのが0.1秒差。ハイペースになりやすいこの舞台は、1番合っているでしょう。血統的に向かないダート短距離でルクルトは自分の走りをしています。あとは、あとは、、超絶キングマンボ馬場に期待するしか、、ない。。


■2024/2/25 中山10R 春風S 3勝C ダート1,200m 重 含水率7.4%

レースラップ:11.7-10.3-10.9-12.0-12.2-13.0 1:10.1
テン:3F 32.9 / 上がり:4F 48.1-3F 37.2
ルクルトラップ:34.2-36.9 1:11.1
騎手:田辺騎手(5枠9番 8番人気10着)

 中山ダート1,200m3戦目は重馬場での開催となりました。脚抜きのよい馬場での高速決着では分が悪いと戦前から想像していたのですが、まさにそれを証明するかのような内容でした。スタートからいつも通り後方を進めて行きますが、ちょうど3角入り口から4角出口にかけて、大外を押し上げる作戦に出ます。手応えも悪くなくあとは直線外をスムースに伸びてくる、、はずでしたが脚色鈍って、大外から好発を決めたマニバドラが押し切った1.0秒差の10着敗退。この結果自体は残念なものの、これは血統的に不思議なことではありません。以下は前の記事でも記載した個所の再掲です。

■ルクルトのダート適性

 ここで改めてルクルトのダート適性について、素人なりに血統面からポイントを整理してみようと思います。
 以下は、『亀谷敬正の競馬血統辞典』から抜粋。「本質的なダート適性、特にダート短距離適性は低い。加えてダート短距離はキングズベスト産駒が苦手としている”ハイペースでラストが失速する流れ”になりやすいのもダートで好走できない理由のひとつ。キングズベスト産駒はゆったりと道中で追走して直線の根性、気力比べに長けている馬が多い。自分のペースで走れば最後までバテずに走りぬけることができる。ただし、前半で道中のスピードに合わせようと無理に追走させてしまうと一気に失速するのも特徴。ダートは道中の追走ペースも速いので合わない(p.104)」
 「キングマンボ系のなかでも特別に米国指向が薄い異質な種牡馬(中略)もしキングズベストも走れる馬場だとしたら、よほどキングマンボ系に有利な馬場だと考えるべきだろう(p.105)」

競走馬ルクルトのダート適性と夏至Sについて考える
春風S 結果(スマート出馬表より)

 つまり、「いつもは34秒台後半で入って脚を溜めて、ラスト2Fで末脚を伸ばす競馬なのに、今回は34秒前半で入って、コーナーでも押し上げるために脚を使って、直線ではバテてしまった」とみるのが妥当だと思います。スピードに秀でた米国血統による先行決着で後続勢には苦しい展開でもありました。


■ルクルトの特徴・好走条件(ダート)

 以上、6戦を私なりに分析してみました。ダートにおけるルクルトの特徴や好走条件は次の通りだと思います。

砂被りは問題ない(内枠はこなせる)
上がりのかかる「タフな」良馬場。スピード重視になる重馬場は向かない
全体時計でも高速馬場ではないこと。
・差しが決まるややハイペース戦(自身は道中ゆっくりマイペースでの追走必要だが、ある程度は流れてほしい。中山1,200mならテン33秒台後半くらい)。
・急坂はなんとかこなせるので、展開が向くのは中山阪神。ほかはちょっと厳しい。特に京都ダート1,200mはクソ。
・超絶的なキングマンボ馬場

やまびこS 出馬想定(スマート出馬表より)

 そしてルクルトの次走は、2024/4/7 福島10R やまびこS 3勝C福島ダート1,150m です。想定からは先行馬はやや少なく、1,200mよりはダート1,000m質の適性が問われる舞台で、先行馬の方が有利かもしれません。しかし上級条件でありますし、フルーツラインカップ理論が証明されるかもしれません。フルーツラインカップ理論については、、次の投稿で。
 がんばれ、ルクルト!

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