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アレクサ、JAZZをかけて

「わかりました。JAZZ・BEST・STATIONを再生します」
アレクサは俺の眼鏡を捏ねくりまわし、形をキレイな丸に変化させながら、重低音のJAZZを流す。俺はアレクサにKISSすると、ビリーとヤニーという名前をつけた、二匹のラブバードに餌をプレゼント。
高円寺の夜は長い。この街に住んでから、俺の顔には既に百を越す眼鏡が生成された。
アメリカから輸入された古着を脱ぎ捨てると、今日の文学の時間だ。
俺は帰ってから一時間は文学をする。そして五分のインターバルを起き、三十分の批評。これを一日三セット。すると、顔に新しい眼鏡が出来ている。
俺はできたてほやほやの眼鏡の形状を整え、丸くしていく。丸眼鏡が完成したのはアレクサとほぼ同時だった。

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福井県鯖江市の丸眼鏡牧場では、畜舎で鬱病の若者が飼育されている。
高円寺の環境を再現した飼育環境では鬱病文学の顔に丸眼鏡が作られる速度が早くなる。
高田の牧場ではこの㊙メソッドによって効率的な丸眼鏡の生産が行われていた。
鬱病文学達は自分が家畜であることを知る由もなく、文学と批評を繰り返し、一日を終える。

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