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孔子曰く、ぶっ殺せ

この投稿はフィクションです。書かれている文言は執筆者の主張ではありません。

ぶっ殺せ。そんなビッチ。と孔子は言った。

俺は中国のそういう過激なところが好きだ。

俺は滋賀県の変な町で生まれ育った。その相貌は醜く、やせ衰え、つまるところガリガリだった。

なお悪いことに、メガネをかけていた。

オタクの人生は瞬速の光だ。女しか出ないアニメとか、女がみんなヒョロヒョロの主人公に恋をしているアニメとか、そんなのを見ていたら30歳になる。ピクシブのポルノや、erocoolの無料ポルノを読んで珍棒を撫でている。射精。すると40歳だ。

俺はそんな自分を変えたい。そう思って旅をすることにした。旅とは、気持ち悪く、何も成していない非正規雇用のオタクでも何かを達成した気になれる。変な場所に行ってツイッターにアップロードすれば、自分が特別な体験をしていると思える。そういうものだ。だから変な顔に似合わず、オタクの間で旅は大人気のレジャーだ。その例に漏れず、俺も旅を選択した。もちろん、旅をしたことでモテモテになるはずもない。それでも、自分の何かが変わると思った。

俺は中国に行くことにした。LCCで安く行けるし、あえて中国を選ぶのがなんとなくクールだと思ったからだ。

俺は手始めに重慶に飛んだ。ディストピアが好きだったからだ。俺が唯一見れるアニメ以外のものがSFだった。だからサイバーパンクっぽい見た目の重慶は目的地として相応しく思えた。

そこは吐瀉物の散らばった地下の酒場だった。そこで俺は孔子の生まれ変わりに会った。

孔子は60代の男だった。変な柄のシャツを着て、いつもラリっていた。

彼は内陸部のショボい集落で生まれ育ったそうだ。彼が自らの正体に気づき、使命に目覚めたのは30歳の時。

彼は集落で配達員をやりながらモルヒネを売っている普通の男だった。ある日、いつも金が入っている洗濯屋の家のポストに手を突っ込んだ。すると、爆発が起きた。

誰かが男を消そうとしたらしい。男は幸い、死んでいなかった。集落には小さい診療所しかなく、男はボロボロの山道を「搬送」された。彼はトラックの荷台の上で、一種の瞑想状態となっていた。色とりどりの光に包まれ、528ヘルツのトラックの振動に抱かれ、そして彼は目覚めたのだ。

過去を捨て、孔子となった彼は教えを広めるべく、都市に降りてきた。
孔子はまず、弟子の俺に言った。

ぶっ殺せ。そんなビッチ。

俺の前にはケバい化粧をしたババアが倒れていて、俺はそいつに金を取られていた。
俺はババアを殴った。
気持ちよかった。詐欺への怒りなどすぐに消えた。

一発、二発、三発、射精。一発、二発、三発、射精。俺はオーガズムに達した。ピクシブで珍棒を撫でるより、遥かに...…
気持ちがいい!

イクーッ

これが彼の最初の教えだった。
俺達はすぐに最強の師弟になった。
コンビニ強盗。ATM強盗。スリ。麻薬密売。
警察や三合会の目をすり抜けて賢く稼ぐ毎日が始まった。


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