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東京に来て驚いたこと。地方とのギャップについて(近況報告)

東京とかいう全員が変顔してる謎の街。就職の都合で東日本にあるこの土地に引っ越した。大学を出たので、せっかくだから、就職という一発芸をして、皆さんにはややウケたが、この一発芸がいつまでも続くと思うと少し憂鬱な気分になった。東京に着き、駅を降りて最初のインパクトは全員変な顔をしながら歩いていることだ。しかももれなく丸い眼鏡をかけている。服もそこはかとなく変だ。僕も釣られて変顔したら差別表現だったらしく、変顔したまま怒られた。この辺りは中央線沿線というらしい。この街の人々はオレンジ色の電車を眺めながら文化人みたいな顔をして一生を過ごしている。素晴らしい趣味だと思う。
また電車に乗った。ガタゴト走ると街の名前が変わっていく。東京に住んでいる人たちは、地元愛が強いらしく、彼らのアパートがある街の名前に大きな誇りを持っているらしい。なるべく彼らの街の名前を覚えようと思った。しかし、彼らを「東京人」と呼べばそれだけでまあまあ鼻が高くなるので、それはそれで良いのだろう。
高円寺に列車が止まると、乗客の顔に一斉に丸い眼鏡が現れた。高円寺を過ぎると丸い眼鏡は消滅した。
東京駅に戻ると天皇に挨拶に行った。東京に来た者はそうするのが礼儀だ。天皇は東京の支配者だ。彼は丸い眼鏡をかけ、変顔をしながら僕を出迎えた。簡単な挨拶をすると、天皇に転入届を提出した。ポンとはんこが押された。はんこには楷書体で「天皇」と刻まれていた。
すこしだけ、皇居でお茶を飲んだ。
愛子さまとは既知の仲だった。皇族の間ではeスポーツが流行っていた。中学の頃、愛子さまとボイチャしたら、キルせれ、とおっしゃったので、なんとか13キルとった。愛子さまの方を振り向くと屈伸煽りをなさっていた。
しばらく、天皇と雑談した。眞子さまと圭さまがご立派なニューヨーカーとなったので、ニューヨークへの皇居の移転を考えているらしい。幸い、ニューヨークの真ん中には皇居に相応しい大きな緑地があった。
しばらくすると天皇のおかみさんがぶぶ漬けを振る舞ってくれた。僕はありがたくいただいた。ぶぶ漬けは美味しく、心の底からありがたくいただいた。けれども、彼の流暢な関東弁で気がつくのが遅れたが、天皇がもともとは京都府民だったことを思い出し、お暇した。
後宮(天皇の御子を産む女たちや宦官が暮らしている)の周りをぐるっと一周し、秋葉原に向かった。特に見るべきものはない街だった。壁にはポルノが貼られていた。
新宿は性病で溢れていた。彼らのペニスや、ヴァギナは腫れ上がり、うねうねと動き回り、今にも人を襲わんとしていた。渋谷も似たようなものだった。
港区まで来ると、港区女子が寿司を食べ歩きしていた。寿司の屋台にはマグロやイカなどが並んでいた。港区には太陽に向けたケツみたいな形をした風変わりなビルがたくさんあった。クールだと思った。
たくさん歩いてヘトヘトになった。東京には坂が多すぎる。こんなに坂があるのだから、たとえば、大坂という名前に改名すればぴったりだと思った。
東京タワーズ(東京にはタワーが二本もある。一本は高い所から街を見渡す目的で作られていて、もう一本は予備だ。さらに高い所から街を見渡すために作られたと聞いたが、僕は嘘だと思った)に登って、街を見渡すと、あたり一面がコンクリートに覆われ、これはいけないと思った。コンクリートはあまりに遠くに続いており、海を超え、アメリカ大陸にまで到達していた。また、南に目を向けると、富士山が見えたが、山肌はすべて宅地開発されており、住宅街がフジツボのように引っ付いていた。さらにその先には、福岡や長崎まで東京が伸びているのが見て取れる。これはいけないと思ったのはそういうことだ。故郷の岐阜には東京は伸びていないように思われたが、これもまた時間の問題だった。
タワーの上から見ると、やはり、ここにいる全員が変顔をしていた。OLが変顔をしており、道行くサラリーマンが変顔をしており、官僚らしきスーツ姿も、ギターを背負ったミュージシャンも、高校生も、ホームレスも、みんな一様に変顔をしているのが見えた。しかし、そんな中、一人だけ変顔をしていない君がいた。僕は嬉しくなった。

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