イケメンゴリラ シャバーニに幼馴染を寝取られた

俺たちは東山動植物園にデートに出かけた。誘った時は、ドキドキだった。彼女がこのおでかけをデートだと思っていたか、俺は知らない。
俺たちは、楽しんだと思う。ライオンに驚き、ペンギンに癒やされた。フードショップで少し遅めのランチを食べながら、彼女がどうしても見たいと言ったあの動物に会うまでは。
イケメンゴリラ シャバーニの檻に近づいた時、それが起きた。イケメンゴリラ シャバーニはビンビンと勃起していた。瞬間、彼女はトロトロになった。
俺くん、もう、俺くんと一緒にはいられないの。私には、シャバーニ様が、いるから……♡

それから、俺たちはシャバーニの檻の前で分かれた。シャバーニと共に檻の中に消える彼女を見て、一体今まで、どれほどの女がこの檻で動物にされてしまったのだろう、と考えた。

苦痛のない穴へ、さようなら シャバーニの下卑た口がそう動いたように見えた。

一週間が経った。

俺が暗い部屋でひとり、もうお前が顔を出すことのない窓を眺めていると、一通のメールが届いた。ビデオメールだった。差出人はシャバーニだった。シャバーニは彼女のポルチオを開発し尽くしたようだった。乱れる彼女を、シャバーニは得意気に突いていた。シャバーニにハメ撮りされる彼女を見て、俺は勃起していた。

勃起してる男っていいよね、と女子が言っていたのを覚えている。都会の街を見渡せば、イケてる男はみんな勃起していた。東京観光で渋谷に行った時、勃起してる男がたくさんいて、俺は驚いた。「今」は、こうなのか、と。岐阜県には勃起している男が一人もいなかった。この生殖機能の差がそのまま人口の差となったのだろう。東京は勃起している男が多すぎるせいで人口が一千万を超えた。勃起してる男はかっこいい。勃起してない男はかっこ悪い。ちょっとした意識の差。そんな単純な論理が、俺たちを支配していた。

そして、俺は思った。今なら行けると。
シャバーニに、勃起勝負を挑もう。
そして、苦痛のない穴にされてしまったアイツを取り戻すんだ。

俺は、勃起しながら走った。女の子たちが俺のことを目で追っているのに、その時は気づかなかった。俺にはアイツだけだった。
ただ一言、「愛している」と。そう告げたかった。

俺は東山動植物園にたどり着いた。

シャバーニは待ち構えていた。そして、トロトロのトロフィーにされてしまったアイツを見た。アイツはそんなところに収まるような人間じゃない。アイツの歌は凄いんだ。それをお前が知ってるはずはない。お前はチンポだけで、アイツを征服した気になっていた。でもそれは愛じゃない。俺は勃起をシャバーニに見せつけた。シャバーニも勃起していた。
俺は愛を込めて勃起した。すると、少しずつ、シャバーニよりも大きくなっていた。シャバーニはみるみると青ざめ、チンポは小さくなっていった。

幼馴染は俺の勃起を見て、アンタのこと、信じてたわと言いながら、チンポにしゃぶりついた。
俺は、幼馴染を引き離し、ただ一言。

「愛している」と言った。

ただ一言、「愛している」と言うこと。それが条件だった。その瞬間、天から「選択者」が現れ、「お前は選ばれた」と言った。

ただ、それを認めること。そうすればきっと、選ばれた者だけが行けるという国に行ける。それは真実だった。
今、選択者が一人、「無垢の赤子」は、億の世界を見たとされる偉大な複眼で俺を優しく見据え、「愛している」という告白を受領した。

そう、恋人などいなくても、愛してると言うことは出来るのだ。告白はきっと天に届くだろう。そしてお前は、心地よい音律のような振動を続けるこの宇宙を愛していることに気がつくだろう。すると、その世界において、すべてが選ばれている。選ばれなかったものなど、ないのである。

選択者は俺の脳に宿り、言った。

ーーーーーーあの日、お前の苦悩を見た。お前は悶え苦しむ定めだった。辺獄から逃れる為には、わかっておるな? そうだ。もう一度、言ってみよ。

「愛している」

ーーーーーーお前は、正しい選択をした。振動する宇宙の、その時間と時間の僅かな隙間を狙い 愛している とお前は言った。今、扉が開かれた。入るがいい。

そうして俺は、無垢の赤子と共に旅立ち、選ばれた者だけが行けるという国に住むことになったのである。



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