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ノブシ・ザ・ブシドー ジェラルド・ゴッチ


映画は〝人間〟を描かなければならない。映画は社会を〝批評〟をしなければならない。 ……そんなもん本当に面白いのか? 映画は他人を見下す道具ではない。

※以下の本文には残酷な描写とネタバレを含んでおります。参照の際にはご注意をお願いします。

〇断じて否!


つるんだチャラ坊。腐れビッチ。怒鳴りつけるしか能がない老害負け犬クソ団塊……。人権無用のクズどもが我が物顔で闊歩しているこの世の中。こんなことが許されていいのか? 否、断じて否である!

〇レジェンド再び
 伝説の傭兵、ジェラルド・ゴッチのDNAと戦闘データーをインプットしたバイオノイドが悪党どもを大量虐殺するThis is昭和のキリング・ロードムービー。

 表題のノブシ・ザ・ブシドーは生前のジェラルド・ゴッチの通称である。粗暴で色々間違った欧米人が頭に浮かべるサムライのイメージ。

 彼は本来、兵士や警備員として卸される予定だった。しかし、アンドロイドやバイオテクノロジーの軍事利用に反対するNPO法人により奪われてしまう。彼の存在を公表し、自分たちの団体の存在意義をアピールするためだ。

〇お約束の大暴走


 だが、彼らの目論見は大きくはずれる。彼にはいわゆる〝欠陥〟があった。自律的な量子エモーショナルエンジンが、彼にささやく。〝悪〟を排除せよ、と。すぐさま、彼は行動を開始する。

 襲われると死は確実に訪れる。何しろ、特殊部隊仕込みの技術と伝説の傭兵時代の記憶を持っている。ためらいもなく、残虐に。

 彼は〝悪〟しか仕留めない。だからといって、正義の味方ではない。彼が殺す相手はあくまでも自分の意思で決めるのだ。

〇正義の基準とは?

 この〝自分の意思〟で、というところが肝である。彼のターゲットは常に不明だ。襲われて初めて分かるから厄介だ。基準が分からない。彼の〝心の中〟を読む術はないのだから。
 冒頭で書いたそのへんのクズチンピラを軽くぶち殺したと思えば、汚職をした政治家を暗殺するというふり幅の激しさ。
 そして殺戮を繰り返すうちに、彼が制作された真の目的と彼を奪ったNPO法人の陰謀が明らかになっていく。

〇グログロ・ナンセンス


 彼の殺し方にも色々バリエーションがある。ある者はハンマーで頭を一撃で済ませたかと思えば、他の者には目をえぐり、視神経ごと引っ張り出した眼球でもう一つの眼球を覗かせる。「どうゆう風に見える?」とニヒルにあざ笑う彼。そして……

グロすぎてダメです


〇選曲の謎。


 そして彼は歌いだす。バリトンの効いた美声を高らかに響かせて、ジュディ・ガーランドの「Over the Rainbow」が殺しの現場に流れ出す。リズミカルに事をなしてテンションがあがったのか、それが性癖なのかは分からない。ただ、それが嗜み。ディス・イズ・ブシドー。これがノブシの作法なのだろう。おそらく、多分、きっとそう。

〇ご安心ください。
 ゲイとレズビアンのコンビに部下思いの上司役に黒人俳優を配していることからポリコレ対策も万全で、グロな大量虐殺の免罪符となっている。これで観客は安心して鑑賞できるだろう。

〇豪華キャスト陣


 彼を仕留めるべく追跡するのは相棒を殺された刑事木島健司と、彼の開発者の一人霧島キララである。それぞれ桑島健太郎と唐沢真子が演じている。上司役にはカラーマ・スター。いぶし銀にベテランの大御所、将来が期待される新進女優を起用する。ジェラルド・ゴッチにはハリウッドスター、キリー・マクマホンをチョイスする無駄に豪華なキャスト陣。

〇CGあんまりないよ、そして続編決定


 ほぼほぼノースタントで乗り切った役者魂が功を奏してか、全米で二週連続三位と予算規模からも大成功と言ってもいい興行成績を得ることになった。本作は続編の制作も決定し、現時点でタイトルは「サトリ・ザ・ブシドー ジェラルド・ゴッチ」と判明。舞台は人権侵害の激しいかの国になるとのこと。さて、次に彼は何を歌うのか? 首を長くして続報を待ちたいところだ。

〇最後に


このコンテンツはフィクションであり、実在の人物・組織とは一切関係がありません。
数字なども同様です。すべてはフェイク。

〇スポンサー(?)からのお知らせ。m(__)m


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