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ブラウンシュガー


映画は〝人間〟を描かなければならない。映画は社会を〝批評〟をしなければならない。
……そんなもん本当に面白いのか? 映画は他人を見下す道具ではない。


※ネタバレを含んだ内容になります。ご注意を。

〇彼女が帰ってきた!

 あのゾーイが帰ってきた。「ドランク・ビッチ 酔拳」でぶっ壊れ演技を見せた彼女が、再びスクリーンで大暴れだ。

 今回の役どころは麻薬捜査官。舞台は近未来のようで、ナノドラッグの取締りにあたる。違法制作された微小機械群が体内に入ると、既存のドラッグと同様、有害な影響を及ぼすためだ。

 ブラウンシュガーとは新型ナノドラッグの俗称で、体内で自己増殖するため、市場に出回っているドラッグの約十分の一の量でトリップに至る代物だ。

 少量で効果が得られるとなれば組織にとっても都合がよく(既存のドラッグと同じ量を売ったとして、儲けは単純に約十倍)、反社組織の新たな資金源として注目されている。

 だが、出回り始めたブラウンシュガーには未知の部分も多く、禁断症状をはじめ人体にどのような影響が出るか完全に理解しているものはいない。

 麻薬組織の取引現場を押さえる立ち回りから、物語は始まる。

〇各種映画のパ〇リ、いやオマージュ。

 名作〝ヒート〟をはじめ、数々のオマージュを含んだガンアクションは丁寧に作られた印象で、今後の展開もおのずと期待できる。我らのゾーイもスタントなしで熱演だ。
 特に「お前たちの大切な人を思い浮かべてほしい……」からの踊り狂った銃捌きは後々アクション映画史上、十本のうちに入るものになるに違いない。

 だがしかし、この映画の真の主役は彼女ではない。

〇ワニガメは狂暴な生き物?

 原題の「Alligator snapping turtle and Brown Sugar」の通り、本作の主演はワニガメである。

 ワニガメは、本来おとなしい生き物だ。目の前を通り過ぎたエサを反射的に噛みつくだけだ。獲物を積極的に駆る生物ではない。決して人間を襲わないのだ(カミツキガメとよく混同される。ワニガメとの違いは機会があればいずれ)。

 だが、証拠隠滅を計った売人によりトイレに流されたナノドラッグが、この件に関わった者の運命を狂わせる。
 下水にはワニガメがいた。ペットとして飼われたが、その飼育の難しさから手に負えず捨てられたのだ。そして、持ち前の生命力を発揮して生き延びたわけだ。

 想像通り、80年代・B級映画的な展開が繰り広げられる。ナノドラッグを図らずしも摂取したワニガメは突然変異を起こし、人間たちを襲い始める。自分勝手な人類に復讐するかのように。

〇そうそう、これなんだよ。

 ご覧の通り、何のひねりもない展開である。だが、それが良い! この〝お約束〟こそが、観客が求めてきたものなのだ。

 お前らが見たいものはこれだろうとばかり、ワニガメは躍動する。ゴア殺しコレクションだ。腕や足、小腸など噛み千切るのはデフォルトで、ドリルのように回転しながら飛び込んだりとアクロバティックな噛みつきを披露してくれる。

 しかもナノドラッグの影響なのか、噛みつかれた場所からまた別の子ワニガメが現れる始末だからたちが悪い。

 この難敵にゾーイ扮する捜査官:ショウ・トキサトが立ち向かう。自衛隊特殊部隊出身の彼女をもってしても、この難敵には苦戦を強いられる。

 亀だけに銃弾は硬い甲羅にはじき返され、かといって接近戦は愚の骨頂。鋭い噛みつきの餌食になる。

 それでもショウ捜査官は奮闘する。恥じらいもなく、堂々とオツのパイをフルオープンにしながら、ワニガメ軍団と大立ち回りを繰り広げる。知恵と度胸の即興アクションは、若干安いCGを補って余りある。興味を持った方はぜひ劇場で確かめて欲しい。片オツを噛み千切られても、懸命に戦う彼女の勇姿にスタンディングオベーションは必須と言えよう。

〇デマ?


 余談ではあるが、タイトルにあたって某世界的ロックバンドからクレームが来たという噂が立った。あの名曲からだろう。だが公開から数か月たっても公式アナウンスがない以上、都市伝説に過ぎないようだ。

〇最後に


このコンテンツはフィクションであり、実在の人物・組織とは一切関係がありません。
数字なども同様です。すべてはフェイク。


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