動きが硬い肩と異常に冷たい手。原因は「鎖骨」でした~Yさんの治療より~
今回は、
肩の動きが硬く、手が冷たいという症状をお持ちのYさん
の治療を通して、
肩がもっと楽に大きく動くようにしたい。
肩が硬く、手が冷えるという症状を何とかしたい。
という素晴らしいあなた!に向けて、
風の治療家(訪問整体師・理学療法士・物理学修士)の立場でお話をしようと思います。よろしくお願いいたします。
「肩が回らない」理由が「肩」じゃない?
ゴルフスイングの相談をされたYさんの「手の異常な冷たさ」
Yさんは、60歳台の男性です。
最近定年退職されましたが、以前からのお仲間と、定期的にゴルフに行くのを楽しみにされています。
いいですね。
ひとつの理想的な第二の人生なのでしょうね。
最初にお会いした時の相談事は、
「肩が回らなくて、スイングが窮屈なんだよね。
まぁ、もともと肩は動かないから諦めているけど。
でも、もっと回れば飛距離が伸びると思うんだよなぁ~」
というものでした。
「そうですか、ゴルフと肩は関係が深いですからねぇ~。
肩を少し触らせていただいてよろしいですか?」
と、さっそく肩の動きを確認させていただきました。
が・・・
予想外の症状があったのです。
その右手に
ひゃっ
とした冷たさ
があるのです。
「なーんか、体はあっちぃのに、手はひゃっこいんだよね・・・
へぇ年らすけね。」
(翻訳します)
「なんだか、体は熱く感じるのに、手は冷たいんだよね・・・
若い頃にはこんなことなかったのにね。」
とのこと。
肩関節自体の動きは、完全ではないにしても、
概ね問題ないレベルでした。
「10年くらい前に五十肩になっちゃってね。そのころ整骨院随分通ったなぁ~」
なるほど、五十肩も経験されているのですね。
整骨院で肩の施術をしてもらって、
日常生活では困らないくらいまで回復されたそうです。
さて、さっそく、本格的に治療を行います。
治療の指標となるものは、
「手の異常な冷たさ」
です。
意外ですか?(笑)
ちなみに、足は手ほどは冷たくありませんでした。
実際に肩に触れさせていただくと、
あぁ、やっぱり・・・
ある場所がガチガチに硬くなっていました。
それは、
鎖骨
でした。
鎖骨メンテナンス方法を紹介(動画)
はい、ということで、
今回の記事の重要なテーマは、
鎖骨
です。
鎖骨は、柔軟に動く方が良いのです。
ネット上では鎖骨のメンテナンス方法がいろいろ紹介されています。
あなたに合ったものを行えばよいと思いますが、
明初庵がお勧めする、
鎖骨の動きを引き出すメンテナンスを紹介します。
どうでしょうか?
肩関節はデリケートな関節です。
一度に結果を求めるのではなく、
できれば継続的に行っていただき、
徐々に改善していく方が望ましいですよ。
さて、なぜYさんの問題は
鎖骨
なのでしょうか?
それは鎖骨が
肩の動きに重要な役割を果たしている
からです。
少し、
肩の動きと鎖骨の関係
について、お話しさせてください。
鎖骨の役割ご存じですか?
肩はどこから動いているのか?
「肩は喉の下から動きます」
と、私が顧客様にお話しすると、
「また、明初庵さんが変なこと言っている」
という顔をされます(笑)
「変」
かどうか?
確認してみましょう。
このヒトの骨模型の写真を使っていきましょう。
「肩の関節はどこだと思いますか?」
と聞かれたら、
この写真のどの場所だと思いますか?
ハイ正解です。
そうです、この○で囲まれた部分だと思いますよね?
間違いではありません。
「肩甲上腕関節」
という立派なお名前もあります。
ただ、今回は
もう少し深く
確認してみたいのです。
一般的に「肩関節」とよばれるここは、
「上腕骨」という腕の骨と、
「肩甲骨」という骨
の間の関節です。
では、
肩甲骨は、
どこに位置しているかご存じですか?
そう、背中側にありますよね。
肋骨の後ろです。
この写真の四角い赤で囲まれた部分をよくご覧ください。
肩甲骨は、肩が自由にたくさん動けるように、
肋骨から
「浮いた」
状態になっています
(実際はその間には筋肉などがあるので、浮いているわけではありませんよ)。
そんな
浮いた肩甲骨さん
が頼りにしている骨があります。
先ほどの写真の矢印の部分です。
「肩鎖関節」
という名前がついています。
これは、「肩甲骨」と「鎖骨」が作る関節です。
腕の骨が、たどっていくと鎖骨に行きつきましたね。
ではこの鎖骨は、
どこから、ここまで伸びてきているのでしょうか?
ここです。赤い矢印の場所です。
「鎖骨」と「胸骨」の間の関節。
「胸鎖関節」
です。
肩の関節の大本の場所を探してみたら、
この胸鎖関節に行きつきました。
この場所は・・・
ほぼ喉の下
ですよね?
そうです、
「肩は喉の下から動く」
のです。
もしもあなたが、
ご自分の鎖骨の付け根を触れるなら、
ちょっと触ってみてください。
そして、肩を動かしてみましょう。
ほら?
鎖骨がくるくる動いているのが感じられませんか?
腕の骨の周りにあった関節は、大変不安定です。
実際は、たくさんの靭帯や、筋肉で、
脱臼しないように守っています。
一方で肩は自由に動くシステムを持っています。
そのシステムの一翼を担っているのが、
鎖骨
であり、
喉の下の胸鎖関節の動き
であるのです。
痛みが出ないように行うことをあなたが約束していただけるなら、
今度はあなたの鎖骨が動かないように、
片方の手で押さえてください。
そして、その鎖骨が動かないように、
押さえている手とは反対の腕をゆっくり動かしてみてください。
なんだか窮屈ですよね?
これがYさんの鎖骨の状態でした。
鎖骨と腕の動きがとても関連があるんだよ、
という論文もたくさんあります。
下はひとつの例です
(要約の文は私がかなり意訳して行いましたので、厳密な正確性はご勘弁ください)。
Yさんの手はなぜ冷たい?
鎖骨の動きが悪かったYさん。
そのため、
「肩が回らないんだ」
という状態になっていました。
しかし、影響は肩の動きだけではありませんでした。
そうです。
手が冷たくなっていましたね。
その理由を述べます。
下の図をご覧ください。
腕へ延びる私たちの、
動脈・静脈、そして 神経
皆、とても重要な器官です。
ですが、途中で
とても狭い隙間
を通っているのです。
鎖骨
第一肋骨
前斜角筋
中斜角筋
これらが作る「小さなトンネル」の中を通っているのです。
それが先ほどの図ですね。
(本当は小胸筋という筋肉も関連しているのですが、情報が煩雑になるのでここでは割愛させてください)
このトンネルが、いろいろな理由で
さらに狭くなってしまうことがあります。
そして、主に感覚障害を引き起こすことがあります。
これを、
胸郭出口症候群
といいます。
胸郭出口症候群についての詳細は、ここでは割愛しますが、
主な症状は、腕を持ち上げたときの痛みやしびれがあります。
Yさんは、これらの強い不快感の自覚はありません。
しかし、治療してみると、鎖骨の動きの悪さだけでなく、
斜角筋などの首の筋肉の硬さも感じられます。
私のYさんへの治療は、
完全に「胸郭出口症候群」の患者さん向けのものとなっておりました。
たとえ、胸郭出口症候群の症状が今は無かったとしても、
私は、
将来Yさんがそのような
不快な症状を持つ可能性がある
と考えました。
ですので、
予防
の観点から、このような治療を行わさせていただきました。
胸郭出口症候群について、ご興味関心を持たれた方は、まずはこちらを。
胸郭出口症候群の症状の中には、手の異常な冷えが生じる可能性があるとしたサイトです。
【再掲】(動画)
ということで、もう一度自己メンテナンス方法を確認しましょう。
「なんで首をかしげるのかな?」
と思われた方もいると思いますが、
前述の首の筋肉(斜角筋)を、柔らかくする狙いもあります。
痛くないように。
「痛いくらいしないとダメ!」
なんていう考えは「迷信」です。
どうぞご安全に行ってください。
よろしくお願いいたします。
その後のYさん
治療中のYさんは、
「いやぁ、こんな施術は初めてです。整骨院とは違うなぁ~」
と終始ニコニコ。
「なんだか、手がポカポカしてきたなぁ」
という感想が聞かれた時、
私の治療が良い方向へ向かっていると確信できました。
治療後も、
「うわぁ、こんなに肩が楽になった!
なんだか首も楽な感じがします。
ありがとうございます!」
と喜ばれていました。
実際に肩の可動域も大きくなっていました。
そして、最後に胸郭出口症候群のリスクがゼロではなかったことを、
Yさんが心配しすぎないように注意してお伝えしました。
さて、さらにその後のYさんですが・・・
「すっごいスコアが良くなりましたよ!」
という報告はまだいただいておりません。
あはは。
いや、笑っては大変失礼ですね。
ゴルフはやっぱり、
「大人のスポーツ」
肩の可動域が広くなったくらいでは、
そうそう簡単に、
結果にはつながらないのでしょうね。
でも、楽しくにゴルフへお仲間と出かけられているとのこと。
Yさんは、エネルギッシュで、
とても心が温かい人です。
次にお会いした時には、ぜひ握手をさせていただいて、
その手の「温かさ」も
感じられたらうれしいなぁと思っています。
最後に
最後にまとめをさせていただきます。
ゴルフスイングの相談をされたYさんの治療を通して、鎖骨の重要性について解説させていただきました。
鎖骨の動きが硬くなると、血管や神経を圧迫する可能性があること。胸郭出口症候群という症状について、基本的な情報を紹介させていただきました。
鎖骨の動きを引き出すような自己メンテナンス方法を動画で紹介しました。
お話は以上です
長文をお時間を割いて最後までお読みいただき、
本当に感謝しております。
ありがとうございます。
私は文章にするのが苦手ですが、
できるだけ伝えたいことを書いてみました。
もし間違いや不明な点がありましたら、
ぜひコメントやメールで教えてください。
喜んで加筆修正いたします。
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