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その他の不思議な小説

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2022年2月の記事一覧

【短編】 探偵の職業体験

 なぜか私は、誰かの別荘に泊まっていて、なぜか事件の推理をすることになった。 「ちょうど探偵さんがいるなんて、不幸中の幸いね」  別荘を所有している六十代のマダムはそう言うが、私は浮気調査専門の探偵である。  別荘に泊まったいたのは、マダムと私以外に、マダムの友人が三人いて、殺されたのはマダムの友人の一人だった。 「遅れてすみません、道に迷っちゃって」  探偵の職業体験をしたいという中学生の女の子も途中でやってきて、私は、職業体験の指導をしながら殺人事件の推理もしなければなら

【短編】 タイムマシンみたいな装置と、カツ丼の誘惑

 五秒だけ前の過去や、五秒だけ先の未来へ意識を移動できるという、タイムマシンみたいな装置だ。  見た目は、二十センチほどの長方形の箱に、過去と未来のボタンが二つ付いているだけ。 「動作確認をするときは、秒刻みで表示される時計を用意して下さい」  商品の説明を読んで、私は秒刻みの時計を目の前に置いた。 「次に、過去と未来のボタンをそれぞれ押して、時計に表示される秒数が、瞬間的に五秒戻ったり進んだりするのを確認して下さい。もしかしたら、装置の不具合により、五秒以上の過去や未来へ移