【短編】 妹と輪ゴムとビデオテープ
部屋で輪ゴムを無くした。もちろん一つや二つ無くしても困ることはない代物である。しかしどうにも納得がいかなかった私は、その喪失感を演劇風に表現することにした。
「おお神よ! あなたは輪ゴムのようなつまらないものまで私から奪うのか? 幼い頃、私から妹を奪ったように!」
私には妹などいないのだが、喪失感を表現しているうちに妹が昔いたような気分になったのだ。
「あなたが無くしたものはこれね」
後ろを振り向くと迷彩服を着た女が私にライフルを向けて立っていた。
そしてライフルの先