マガジンのカバー画像

子どもの小説

43
「子ども」が主人公だったり、印象的だったりする話。
運営しているクリエイター

#小学校

【短編】 木星トロヤ群 第五ラグランジュ小学校へようこそ

 小惑星に着陸すると、そこには小学校があった。 『木星トロヤ群 第五ラグランジュ小学校へようこそ』という大きな看板。  校舎の一階を全て確認したが、人の気配がない。  じゃあ二階はどうだろうと階段を上ったら、廊下が壁で行き止まりになっていて『ここで宇宙服を脱いで下さい』と書かれたドアがあった。  ドアを開けると真っ白な狭い部屋があり、中に入ると「ドアを閉めて下さい、ドアを閉めて下さい」というアナウンスがしつこく流れるのでドアを閉めた。 「現在、空気充填中、空気充填中。絶対にド

【短編】 家庭訪問の日

 今日は家庭訪問なので、私はちゃんと服を着て、呼び鈴が鳴るのをじっと待っていた。 「こんにちは。ミミさんの担任の小比類巻と申します」  担任の小比類巻は、玄関ではなく冷蔵庫のドアから現れたのでびっくりしたが、時間通りに来たのでまあいいかと思った。 「ところでミミさんが見当たりませんが、どちらに?」  ミミは空想上の自由な子どもだから、多分私の頭の中にいます。 「ああなるほど、そういうことなのですね。学校では普通にミミさんと接しているので、ご家庭にも居るものだと勝手に……」