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塔の入口には、古ぼけた椅子に腰かけた老人が一人いるだけだった。 私は、老人に声をかけたり揺すったりしてみたが、何も反応がないのでしばらく待つことにした。老人は入口の番をしているのかもしれないし、勝手に塔へ入ったことで後々面倒なことになるのを避けたかったからだ。 もっとも、塔へ入ることは誰にでも許されているのだから、何か手続きが必要だとしても名前を記帳すればいいという程度のことで済むはずであり、老人が番人であるなら、きっと名簿を管理するだけの簡単な仕事を与えられているに過