プロでも使えるMIXテクニック 実際のMixの流れ編 Vol.16: 久しぶりにEQに思うこと

しばらく書いてない間にも色々な人からスキやコメントを頂いておりましてありがとうございます。

この数ヶ月コロナとかが全く関係ないくらい忙しく(むしろ遠隔が増えて余計に忙しくなってもいます。)させて頂いているので、なかなかゆっくりとするタイミングもなくあっと言う間に時間が空いてしまいました。

その間にこうした方がいいなとか、これ言ってなかったなとか、最近はこういうプラグインを使ってます、こんな流れで作業することがあります的なのが結構出てきてまして、久しぶりに再開しようかと思ってます。

と言うことで、今回はEQ編の追記です。過去のシリーズで書いてることがほとんどな気もしますが、もっと根本的なことをちゃんと書いてないこと(触れてはいたかな)に気づきまして、先に答えから言うと「EQはカットベースがいいよ」ということです。よくあるここをカットするといいよとかではないのが今回のポイントです。

例えばキックのトラックを処理しようとすると、大まかにはこんな感じにんるかと思います。

・20〜30hzより下をローカットするかしないか?カットした方が低音の輪郭でることもあります。

・30〜70hzくらいに重心のわかりやすいポイントがあるのでその辺をブースト

・200〜350hzあたりのキックの音としては聞こえづらく他の音をマスキングしやすいあたりをカット

・2k,4k,8kと言ったキックのアタックの強調しやすい倍音のあたりを探してブースト

まあもっといろいろありますが、絵的にはアルファベットの「M」に近い形になる様なことが多かったり、そんな感じに処理をすることを提案する情報を目にすることが多いと思います。

これに関しては特に言うこともないのですが、この「M」をどうするかでその先の作業のスムーズさが違ってくるので、時間がある時にでも試してみてください。

自分に合わなかったら忘れてもらっても大丈夫です。いつも通り数字や方法を押し付ける気はないので、なんでも鵜呑みにしない感じの方がお互い楽だと思います(笑)

一瞬脱線しましたが、どういうことかと言うとその「Mの形が+-0dbより上か下か」です。大体のEQは真ん中に+-0dbがあって、それを基準にブーストとカットをしていく様なGUIだと思います。

ここで再確認して欲しいのが「ブーストはボリュームが上がる」ということです。このボリュームが上がると言うことは、その次のプラグインやミキサー上でクリップする可能性が増えます。当たりまえのことなのですが、意外とこの事を忘れてて、音質調整の方に目が行きがちでレベルコントロールは別のタイミング(次に使うコンプやリミッターの調整)に四苦八苦することありませんか?

特にミックスの終盤でレベルコントロールがシビアな時は余計に作業の手数が増えてしまいます。オートメーションやBUSとか絡んでくると余計にしんどくなります。

と言うことで、提案したいのが「+-0db」の下で同じ形になる様にカットしていく方法です。絵的にはMの山頂が0dbに当たってる感じですね。実にシンプルですが、これだけで後のレベルコントロールをあまり気にせずに音質の調整がしやすくなります。

ちなみにEQにアウトプットのノブがついてる理由が同じ様なことだと思います。だからブースト中心で行って、クリップしない様にアウトプットレベルで下げても同じっちゃ同じで、どこかしらの帯域を6dbとかブーストしてるならその分にプラグインのアウトプットを適切に下げましょうって感じですね。パライコ系は上記のGUIじゃないことが多いので、どっちかと言うと考え方の話だったりもします。

COMPはGRの分に対してMake up Gain をあげるのは浸透してますが、EQもブーストした分プラグインイン中で下げる(=もしくはカット中心に作業する)ってはあまり気にされてないなと感じることがあったので書いてみました。

過去にブーストのポイントとか話してますが、もちろんあげた分今回の様なレベルの調整してます。ほぼ無意識にやってることなので、ここをうまく書いてなかったなと思いまして。

まあ同じ結果になりつつレベルが維持されるならその方が楽じゃない?って話です。

近いうちに「リバーブの棲み分けとあえての複数混在」「格好つけすぎないミックス」「淀みこそパワー」みたいなテーマで書こうかな思ってます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?