プロでも使えるMIXテクニックEQ編Vol.5:倍音も万能ではない。倍音の整理編+α

前回、倍音をいじる良さだけにフォーカスしましたが、実はこの倍音こそがボーカルなどを埋もれさせてしまう原因だったりします。

倍音って、二次倍音、三次倍音、、、としばらく続きますが、普通にオクターブ上の二次倍音や四次倍音ならともかく、三次倍音は「1オクターブ上の5度」、五次倍音は「2オクターブ上の長3度」、七次倍音に至っては「2オクターブ上の増6度」など、、、、元の音程とはちがう音階の音がなって来ます。

単音ならまだしも、コードなどの和音はそれぞれの音にこの倍音が関わってくる訳で、、、、、つまり大体の楽器の基音の上限である1khz以上(細かく言えば違います)はとんでも無い事になってるのがわかってきたと思います。

で、この倍音を整理してこそ、プロがMIXした様に聞こえるキモです!ここを自分の自分なりに思い通りに出来るようになれば「EQの基本」は極めたと言っちゃいましょう。

 

基本は変わらず、細いQでブーストし、あからさまに他のトラックの音の邪魔になるポイントをカット→次の邪魔を探すの繰り返し。だいだい邪魔なポイントは、極端にブーストすると「コモコモ?」「モアモア?」「モホモホ?」そんな感じの音になるので体感してみてください。

サビとかで音数が増えると歌が一気に埋もれてしまうのこいつらのせいです。この細かい処理を各トラックで行っていくと、Voの為のステージがどんどんと開けていき、サビのボーカルが正にサビのように一気に抜けて来ます。

ここで一番気をつけなければい行けないのが潔癖症です。我々真面目な日本人はどうしても神経質になりやすいです。

じゃあどうやって以下の2つを両立させるかポイント。

①倍音を整理して分離感を上げる

②場所(イントロとか平歌とか)によっては細く聴こえてしまうのは避けたい。

答えは簡単で時間軸を意識していきます。②の話に進めて行く前に基本に立ち返ります。

「しなくていいことはしない。」

数学ではなく音楽なので、濁った部分も大事な要素だったりします。ボク個人の見解ですが、すべてのトラックが頭っから同じ設定で言い訳がないと思っています。EQやコンプレッサーは必要な時にかける(コンプの場合は必要な時にのみかかる設定)のが正解で、要らない時は「素」のほうが正解。

ミックスだけの作業をすると批判家になりやすいのですが、制作側がとことん頑張った結果をもらってるので、可能な限りその意図を組んで挙げないといけない。これを実践するのは言葉にするよりかなり難しく大変です。こういうのが嫌な人は自分はプロだって偉ぶるのはやめましょう。仕事にしなくたって音楽は楽しめます。

正直僕自身、過去に何度もふてくされてますし、今もたまにイラッてきますし(笑)録り音が悪いとか、演奏が下手だとか、自分の環境が良くないとか、なんかのせいにするのは簡単だけどね、そこの先に行かないと好きなことでお金を稼ぎ続けれないよ〜。

はい、脱線おしまい。偉そうに見えたらすいません。みんなとそんなにかわらないことでけっこう悩むよってことが言いたいのです。

本線に戻ります。じゃあ、必要なときどうするかって言うと、以下の感じ

①オートメーションでon/pffを書く

②ディエッサーや、ダイナミクスEQ、サイドチェインなどを使う。 

②の方は別のタイミングで書きますね。

こうやって、必要に応じた処理をすることを意識してみてください。僕のミックスの作業時間の半分以上は音量等調整はもちろん、こういったオートメーションに費やしてます。

後、倍音で思い出したんだけど、レコーディングしてるときにボーカルがどうしてもうまくピッチがとれない時ってあると思うんですが、だいたいボーカルのせいじゃないことが多いです。 あれちょっと可愛そうなんだよね。

ここで気をつけたほうが良いのが、アレンジの話にも繋がるんだけども、ボーカルのメロディーより上の位置であまり音を動かさない事が重要。

簡単に言うとその音に耳が引っ張られるから自分のピッチが取りにくい訳。人間は自分のメロディより上に動く音に耳のピントが取られやすいらしいです。

なので、サビでコード楽器が白玉が多い理由でもあって、ギターもシンセも他のオケ音も動いてるともう迷子よね。

レコーディング経験が無いボーカルほど自分のせいだと思ってどんどんTAKEが悪くなってく悪循環もある。もう入ってるオケなら、レコーディングときだけそのトラックをMUTEしてあげて、録ってからMIXの段階で住み分ければ何とかなります。

「アレンジに関しては、別カテゴリーでも作ろうかな。日本の作家と海外の作家の送ってくるデータがあまりにも違うからそこについてそのうち書いてみようかな。」

↑に関して、2020年の今(この記事は昔のブログの現代版ブラッシュアップです。詳しくは、一番最初の記事をみてください。)まで、書いてないね、、、超ざっくり加筆すると、同時に動いてる音が日本に比べて少ない。どっちかっていうと点が多い。なんだろう、すべての音がリズムっぽいって感じます。

全部の音で一つのビートを生んでいるというか。だからこそ、ボーカルの音像がでかいし、メロディが自由よね。後、コードネームがかなりシンプル。アコギを2年も弾いてたら大体知ってそうなコード進行が多い気がします。

ここには異論もあると思うのでほどほどに。

さらに最初の方に倍音の位置のことを書いたとおり、そのうちそのコードやスケールから外れた音が聴こえてくるから、その倍音等の飽和状態を見事に整理するのが音が良い言われるプロの人のEQかなと。 

エンジニアとプロデューサーに一番必要な才能は、自分の知識と経験を持っていかに相手の才能を引き出すかだと思うんですね。曲を書いたからって全部決めたがるタイプや偉そうに相手を緊張させるタイプ、そもそも知識や技術のレベルが低いけど仕事になってる運が良いタイプとかとは何回も仕事したくないでしょ? 

一番目立たせたい事(重要なこと)を意識して、それ以外を整えていくと勝手に主役が目立ちます。音も裏方もそれでいいのよ。

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