プロでも使えるMIXテクニック 実際のMixの流れ編 Vol.14:そもそもの下準備が出来てない人の多さに気づいたので

よくある相談や送られてくるファイルで気になることがあって「ミックスとか音が細い原因って完全にそこじゃない?」ってのがあったのでまとめてみます。

 

アンシュミのギターの音が細いとか、ドラムの音が抜けないとか、全体の音のバランスが崩れやすいとか、、、まあいろいろあるんだけど。そのトラックのVUってどれくらい触れてるかい?後、プラグインの入力と出力のレベルも適正レベルかな?

 

はい?って人多いと思うんだけど、ここのが最大のキモかも知れない。こっちは意識もせずに常に確認してるから説明の必要性を感じてなかったけど、知らなきゃ知らないよね。

 

例えば、コンプに付いてるメーターのGRは絶対見るとして、インプットとアウトプットのレベルみてる?なんで、あるのかがわからないと見ないよね。ハードウェアで育った世代(何度も言うけど、俺、30代ね)って、ここを合わせていかないと、絶対に音が良くならないのを無意識に知ってる。いろんな機器をミキサーに入れて、適正レベルに揃えてから作業をするんだけど、DAWのミキサーにはこの適正レベルに合わせるつまみがない。(少し前のStudio oneかなんかについたよね。)

 

ならどうするかというと、まずはマスタートラックにVU系のプラグインを挿してみよう。出来ればハードのVUのほうが反応いいけどね。まずは意味がわかればいいのでどっちでもいいです。

 

ちなみに個人的にはVU系プラグインならこれが一番感覚があうかな。(http://www.tb-software.com/TBProAudio/mvmeter2.html)さらに無償だし。

 

VU無いところで作業するときとかにダウンロード出来るようにDropboxにインストーラー入れてある。このご時世、都度ダウンロードすればいいじゃんって思うけど、いざってときに製品名覚えてないからこうしてる。

 

まずそのトラックをソロにしてVUがどれくらい振ってるか見て、全然触れてないなら、VUの-3db~-5dbくらい触れるまでトラックの波形のボリュームをあげる or トリム系のプラグインで純粋にボリュームをあげる。この状態で出音がクリップするなら、トラックのフェーダーを下げといて。

 

このレベルの信号が来て初めて、コンプやEQがちゃんと適正に反応するのね。VUの-3db~-5dbってのは大体の値でもう少し低い方が扱いは簡単。ざっくり、その辺まで針が触れてない音は、どうやっても音が細い。もちろん触れすぎは録音レベルがでかすぎる=録りで失敗してるので、逆に波形のボリュームを下げる所から始める。

 

こういった基本的なレベルの調整をしてないのにいきなりプラグイン挿しても、ノブの位置程効果が無くて、実際にそれぞれの道具の役割を果たしてないってことになります。だから、プラグインを何個もさしたりとか、コンプのアウトプットでレベル稼いだりとかいろいろなつじつま合わせが出てきます。

 

練習するのにお薦めはプラグインは、WAVESのSSL Channnelかな。何でかっていうと「THE ミキサー」だから。これ系ならなんでもいいんですが、インプットレベルのノブとアウトプットのノブがちゃんとあり、それぞれのメーターがあるから、今回の意図を確かめやすいのね。アウトプットのノブがあるプラグインは多いんだけど、インプットって意外とないんですよね。

 

さて、ここまでが概要みたいなもんだから、こうやると意味がわかって応用できるよ的な感じに行きましょう。

 

WAVESのSSL CHANNELでも、APIのVisionでもいいから、インプットレベルのノブとアウトプットのノブがちゃんとあり、それぞれのメーターがあればなんでもOKです。

 

この辺も持ってなければ、どんなDAWにも入ってるトリム系のプラグインとVUメーターがあれば通じると思う。理解すれば、道具がなくても同じ様なことを意識すればいいからね。

 

ギターやソフトシンセのドラムの音がしょぼいって人を例にすると、だいたいこんな感じが多いんじゃないかな。

 

A:プラグインのインプットが全然触れてない=VUも全く動いてない。

→なのにEQとかコンプでなんとかしようとしている。

→だけど、トラックフェダーのメーターは結構上がってる。

 

B:もしくはその逆。プラグインのインプットが思いっきり振ってる=VUも振り切り気味。

どのプラグインもLEDなりが赤くなってたら、しっかり気にしましょう。トラックのレベルと同じくらい重要なアラートなので無視しない様に。


簡単なBはまず、録音レベル大丈夫かな?ここまで基本的な話はしないくていいよね。ゲインが高いかもしくは無駄な低音が多いとか、そういうのだから適正レベル(適正な音?)にすれば問題ない。クリップしてたら録り直し(そうならない様録るが最低ルールね)、してなかったら波形のボリュームを調整しよう。

 

人から来たもう直せないデータや馬鹿みたいにデフォルトの音量が高いソフトシンセとかは、まずそのトラックをソロにしてVUがどれくらい振ってるか見て、VUの-3db~-5dbくらいに収まる様に調整する。

 

※追記 ここら辺をもう少し書かないとうまくいかないみたいなので追記します。

波形のボリュームあげるか、SSL Channelで言えば、インプットレベルのノブでそのプラグインインプットメーターの0db近辺にしっかり調整するのがもっとも大事。適正レベルにするってそういう事ね。ここが通じてない人がいそうだったので。

後、-3db~-5dbくらいってのも楽器によるのね。今回はギター前提で話してるから、ドラムだともう少し低くなっても問題ないです。要はVUがそれなりに触れてない音はしょぼい=振れるような音にしていこうってことです。

 

①大体のDAWで出来るトラックの波形自体のボリュームを触る

②トリム系のプラグインを挿す。

③ソフトシンセのアウトプットボリュームを触る。これは下げることしか無いと思うけど。

 

ちなみにこの時のトラックフェーダーは絶対0dbね。このタイミングで触りだすと分からなくなるから。

 

 

で、Aの場合が、音がしょぼい大体の理由

 

まず、さっきと一緒でインプットのレベルを適正に調整する。ね、これだけじゃうまくVU振れないでしょ?

上手く触れている人は元音が結構ちゃんとしてるってこと。その人はちょっと待っててもらって、触れなかった人はこんな感じをやってみて。

 

①EQで200〜1KHZくらいで、音の太さが出るところを見つけて緩めのQでしっかりとブーストする。音によっては複数箇所あるかも知れない。ギターやスネアは200〜300hz近辺になんか居る。700〜800hzくらいにもポイントが居ると思う。それより上の帯域は音のキャラクターは変わるけど、音の太さとかに対して影響がない。抜けは2〜4Khz周辺をゆるくブーストだけでいいよ。今はトラックの下ごしらえであって、楽曲に対するMix作業じゃないのを忘れないで。

 

②①の後にコンプで変なピークをしっかり整える。ここはたまに出てくるピークのみに引っかかる様なセッティングでいこう。

 

この2つを行うと、トラックフェーダーのメーターの位置がほとんど変わらくても、1.5〜2倍音が太くなって、存在感が出てくるはず。やっとここが本当のスタート地点。

 

で、トラックフェーダーは0dbのまま、プラグインのアウトプットフェーダー (無いならトリム系プラグイン)で、メーターが過去に説明したレベルに近づくように調整する。ここは過去記事を読み込んでくださいな。この下りが一度にできるから、卓系のプラグインが使いやすいんだよね。もちろん、好きなプラグインでの合わせ技でもいい。要はこういうことに気を付けて行くと仕上りが変わってくるってことです。

 

なんで、トラックフェーダーは0dbのままにしたかという、ここから先オートメーションとか書いたりするから、下ごしらえの段階は全トラックがなるべく0dbの辺りバランスが取れてることが理想的よね。


いきなりEQとかCOMP挿すなってのはこういうことね。こういう下ごしらえが出来てないと、正常に動作しないのはハードもソフトも一緒です。


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