プロでも使えるMIXテクニック 実際のMixの流れ編 Vol.10:ボーカル編 Vol.2 入念な下ごしらえをしよう

先に言うと、ボーカルのミックスで1番大事なのは音量の調整だと思う。感情表現とかもここの部類だと思う。ダイナミクスがかなり広いので他の楽器より細心の注意が必要だよね。

 

じゃあその前の作業を完成していこうということで、今回はピッチとタイミングの話。

 

ピッチは誰からも重視されるんだけど、タイミングと音量を先にやった方が効率がよい。なんでかって言うと、メロダインとかTUNEとか一回プラグイン側で読み込んじゃう系は、元データを直すと読み込み直さないといけなくなるからね。無駄な行程は避けよう。

 

まずソロにして、聞こえづらい音を波形で音量を修正していこう。これは無駄なコンプを減らす為ね。だいたいのDAWなら波形の音量は掴んで直せるでしょ?必要なところを切って直すの繰り返し。オートメーションでやってる人も多いけど、そのトラックのフェーダーを触ると、オートメーションも直さなきゃいかないから、またひと手間増えるし、こっちの方が後々楽。

 

次に音の長さとかタイミングをリズムとベースを鳴らしながら直していこう。ダブルやハモリで重要なのは、音の入りと伸ばしの長さ。ここのうまさがプロの音源との差にもなる。実際はレコーディングのタイミングでとことんやって、微調整の領域だと思う。リズムに対して声が噛み合ってるかがポイント。

 

いつもの様に一瞬脱線するが、経験上上手いリズム隊の人はその曲を演奏しながら口ずさんでる。

 

で、そう言うプレイヤーの演奏は自然と歌を邪魔せずに歌いやすいところに音があるんだよね。自分が口ずさみながら、歌いづらいリズムは叩かないもんね。ベーシストもギタリストも同様ね。歌の後ろでごちゃごちゃ余計な事しないで、歌との掛け合うように隙間隙間にセンスを感じるフレーズがすっと入ってる。他の音を聞いてから最大限の気持ちで必要最低限のプレイに全力を尽くしてる感じ。

 

最近送られてきたデータでもあったのが、ギターが一番邪魔なパターン。上手い下手の前に邪魔。そして、目立ちたがり屋でかつ下手だった。関係者に話を聞くと、そのギターがリーダらしい。自分が好きすぎてアンサンブルで一人浮いてる感じね。よくあるパターン話だね。

 

本線に戻ると、ボーカルのレコーディングのコツは「母音」と「子音」を分けて考えることかな。例えば「明日」という歌詞なら、「あ」と「しのし」と「しのい」と「た」の「たのあ」の5個に分かれる訳ね。「あしいたあ」って感じ。

 

それぞれの強さと長さを意識して歌ってもらうって事。それぞれの子音はちゃん言うと、歌詞がちゃんと聞こえるし、母音を伸ばす拍数を揃えるとテイクも揃ってくる。俺が関わるボーカルレックはプロでも初めての人でもここをしっかりとやる。テイクを重ねちゃう理由を明確してあげた方が、歌う方も分かりやすいでしょ?

 

ちなみにこの辺はmelodynが強いな。音だけでいったらTUNEが1番好きだけどね。

 

ちなみに上手い人は勝手に出来てる。録る側も歌う側も体力と気力に限りがあるから、直すとこを明確にして少ないテイクがベスト。闇雲にやってるとみんな疲れて正解が分かんなくなるしね。

 

ここまでやってやっとピッチ直しに入って欲しいかな。で、ピッチ直しは絶対的に歌い手が居る状況でやった方が絶対に良い。

 

今のご時世全てをど真ん中に直すのは簡単だけど、生楽器のオケなんてピッチが安定してる訳ないから逆に浮くし、歌い手が意図してない直しは逆効果なんだよね。せめて、本人かプロデューサーに当たるような人と時間を作ろう。

 

そうすると、こっちの判断で微妙なところの判断やや美味しいから直してないとかもその場で説明できるし、歌い手側の参加意識も高くなるので良い結果になる事が多い。

 

ピッチが気になる様になったのって、ソフト音源ってのが出てきてからだと思う。ハード音源は個性や不安定要素もあって、そこまで気にならなかったんだけど、ソフトシンセのピシーッ安定してるオケが増えて来て、ちょっとの揺れも気になり出したんだろうと。

 

ピッチ修正の極意は潔癖症になるな!だね。

 

細かく聞いて気になるとこ直してると、他のところがどんどん気になって、最終的にやり過ぎになる。後、ピッチ直しはオケの中で聴こう。そのオケの中でどう聞こえるかが正解だと思うから。 

 

 今回は下ごしらえで終わったね。次回からミックスの実作業に入ろう。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?