プロでも使えるMIXテクニック 実際のMixの流れ編 Vol.7:Bass編 中編 ベースが占める音域とその他の要因の整理&実際の音の処理に関して

前回はベースの楽曲における立ち位置の話だったから、今回はどうすればそこにうまく居られるかをテーマにしていこう。

 

ベースの周波数のポイントの1つが、100hzから300hzにあると思う。この帯域は曲者中の曲者で、どんな楽器でも存在してて、しかも聴感上分かりやすい。つまりここの整理がミックスにおける1つのポイント。

 

ベース自体を触る前にベースのこの帯域と被るものを整理していこう。

今の所、この流れで存在して居るのはドラムトラックだからまずはキックの処理をしよう。

 

キックはこの帯域はほぼ重要な要素が無いので広いQで、5〜600hzまでざっくり切ってしまおう。キックは100~150hzまでと1Khz以上以外はあんまり要らないかな。

 

次にスネア、スネアのTOPは正に200hz前後に溜まる音があって、太さにも繋がる。ベースの為に少し削りながら、その上の帯域を少し持ち上げるイメージでいい感じ。で、Bottomはキックのカブりが多いのでエグ目にローカットして、スナッピーの音を中心に目立たせる感じのEQで。コンプでよりスナッピー感を強くすると、ゴースト感も上がってグルーヴがよくなる。

 

ここまで書いたから少しずれるが、OHのEQに関しては、キックとスネアの音が薄くなるまでローカットでOK。OHが拾った音で使いたいのはシンバルとタムとキット感なので、ここではキックやスネアの音がちょっと邪魔かな。なんでかって言うとマイクからの距離が遠いから混ざるとボヤけるんだよね、ルーム感だアンビ感だはそれ用のマイクで作れるから。

 

次にギターとの兼ね合いなんだけど、経験上ギターのパームミュートとかでグンっ!って来る低音感って、ギターやアンプの種類、プレイヤーの技量でもちろん違うんだけどが、120~250hzら辺にいる。ここはそれより下をベースに任せて、がっつり被るところはギターよりに配分してみると、上手く収まることが多い。どのみちギターはPANがどセンターのことも無いと思うから、パンで逃げながらもこの帯域はギターを贔屓しよう。

 

同じセンターにいるボーカルは、音域のカブりはあんまり気にならないけど、被る感じがするなら、前に書いたマルチバンド&サイドチェーンで時間軸で逃げるか、自称お家芸のインサートリバーブでボーカルよりも気持ち後ろに立ってるようにすればいいかな。なんでも周波数で逃げないのが出来ないと、少し前に流行ったクリアで分離良いけどパワー感の薄いThe 2000年代のスカスカな感じになる。

 

少し前の流行りが一番ダサいのはMIXでも一緒ね。

 

さて、ここまででざっくり住み分けを書いてきたので、実際のベース自体の音の処理についてに行こう。

 

まずエレベなのか、シンベなのか、エレベならアンプなのかDIなのか、ベース音源なのかで全部変わってくる。

 

長くなるから今回はエレベでシンべは次回にしよう。

 

まず、実際のレコーディングしたベースに関して把握できれば、ソフトシンセの場合でも応用は聞くと思う。ただ、同じ処理をすると大抵失敗しやすい。前にも書いた気もするけど、雑誌やmixテクニック本の類の値を鵜呑みにしない方が良い。むしろ一切数字は無視していいと思う。俺の数字も目安程度に自分で探して見ればよくて、経験上似たような感じなるってだけね。つまりやり方とその意味を身につければ、自分でいくらでもセッティングが作れるし、その次のタイミングで来たデータに対しての経験則で作業スピードがあがるからね。仕事早い人はそんだけの量を経験してるんじゃないかな。

 

出来れば、アンプ録りのときでもベースはDIを使おう。自分が録りの時はギターでも100%ラインの音は押さえる。その理由は、DIの音とアンプの音は役割が違うからなんだね。

 

DIの音は所謂ラインの音=竿自体の音。

 

直ぐ思いつく用途はReampの為の保険だよね。それ以上が書けないと、俺の筆記試験だと50点。実はハッキリとした低音やベースラインの動いてる感じが見えるのは、DIの音なんだよね。

 

イメージ&体感上、アンプの方が低音出てそうでしょ?勿論出てるんだけど、EQで切る余分な低音が多くて、MIXで言う中の使える低音ではない。

 

逆にアンプの音は、歪感や膨よかさとか、エッジ感とか、人間で言うと外見のイメージ。DIが本人で、アンプが外見(服装、髪型)で、スタイルがいい人が、何来てもオシャレな感じなって、本人が垢抜けてないと人気ブランドが余計にダサく見えるのに近い(のか?)この流れで行くと、Reampは一旦家に帰って着替える感じだね。

 

こんな訳で可能な限りDIでラインは押さえた方がメリットが多い。

 

さて、DIの音の処理に行こう。

 

ギターでもアコギでもそうだけど、クリーントーンの方が難しいよね。それはダイナミクスが大きいから、プレイヤーの技量が低いとそのバラ付きが目立つ。歪みはコンプの一種なので、そこがない分誤魔化しが効くからそんなに気にならない。

 

つまりDIの音もクリーンと同様なので音量の変化が大きいから、それに対する対応が必要。そうなるとEQとCOMPってなるんだけど、ここはマルチバンドコンプで行こう。その音階を弾いた時やフレーズ上太い弦に降りた時にメーター(波形)は大きくなるから、マルチバンドでそこだけを狙って潰すってこと。

 

普通のコンプは他の帯域自体にも掛かってるし、強い音の時になおさら音色全体に影響が出てしまうし、問題の瞬間のためだけに演奏の抑揚を潰すのはちょっと低レベルの話というか手法が古い。。

 

アンプの音は、余計なローをカットした後は、DIの音を芯に覆う様な音を作るイメージで行こう。DIの音の高域をつくとあんまり音楽的にエッジにならないから、アンプの方の歪みとかで作ると作りやすい。DIしか録ってないなら、DIのトラックからプリセンドでAMPのトラックを作ってそこでシミュレーターでも掛ければ同じ感じ。もちろんその時にのアンシュミの設定はAMP100%だね。言うまでもないか。

 

その後にそれらのトラックを1つのBUSにまとめて、軽くコンプを掛けてくっつけよう。この辺はドラムの時と一緒。

 

ついでに書くと、A==くらいベースをブリブリに歪ませたい時は、原音を歪ませると低音感や輪郭がなくなるからプリセンドで歪み専用のトラックを作って混ぜるのが正解。人気あるベースの歪みエフェクトがドライを混ぜれる理由も同じって訳だね。

 

まとめると、低音ががっつりくる曲って他の曲よりも低音が多いんじゃなくて楽器の縦が綺麗に揃ってる。それぞれの楽器の必要な帯域を綺麗に同じタイミングで出すことでああいう音圧有る音になるから、キックやベース単体の低音だけで考えない方が良い。無駄な低音の付加は、余計に低音が聴こえなくなるってのがポイントだね。

 


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